どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ちからたろう

2021年08月02日 | 絵本(昔話・日本)

     ちからたろう/文・西本鶏介 絵・飯野和好/フレーベル館/1997年

 

 むかし、お風呂の嫌いなじいさまとばあさまがいて、いつも垢まみれ。それでも 子どもが欲しくなり 垢をめりはり はいで 男の子の人形をつくりました。

 ご飯を食べさせると いっぱい くえば いっぱいだけ、にはいくえば にはいだけ、ずんずんおおきくなっていきます。しまいには いちどに 百杯のもの ごはんを たべました。ところが からだが おおきくなっても 口をききません。

 もうご飯をたべさせる余裕がなくなったころ、男の子が 百貫目の鉄棒をつくってくれと 口をききます。じいさま、ばあさまから、ちからたろうという名前をつけてもらった男の子は鉄棒を担いで、旅に出ます。

 みどうこたろう、いしこたろうという大男と力比べし、二人を家来にして、旅をした ちからたろうは、化け物にさらわれそうになった娘をすくうため、化け物と対決します。

 

 屋敷の人から感謝されるところでおわり やや尻切れトンボで物足りなさが残ります。しかし、力比べ、化け物との対決は、絵本ならではの迫力です。


月の娘

2021年08月01日 | 絵本(昔話・日本)

     月の娘/リサ・W・ギルバート・作 フラヴィア・ウイードゥン・絵 ときありえ・訳/評論社/1996年

 

 作者はアメリカの方、母と娘の作品です。日本の民話よりとありますが、しいていえば「かぐや姫」でしょうか。

 

 森のはずれに住む農夫と奥さんは、心から子どもがほしいとねがっていました。

 ある日、窓のむこうの光にむかっていくと、木々のあいだに女の子が一人いました。

 「あなたたちが、ずっと子どもをほしがっていたから かあさんが あたしをここによこしたのよ。この人たちの子に おなりなさいって。あたしのかあさんは 月の女神なの」

 それから三人は家族のようにくらしました。

 月の娘は村じゅうの人に愛されます。何年かすぎ、月の娘は月の女神のもとにかえると、夫婦にきりだします。夫婦はいかないように頼みますが、月の娘が銀のしずくのような涙をこぼすと、涙に すきとおった羽がはえ 地上近くまでまいおり、チカチカまただきしたのです。それはたくさんのホタルにかわったのでした。

 

 人物はうさぎそのもの。日本で月といえばうさぎを連想するのですが、外国ではどうでしょうか。幸せそうに暮らす三人が印象的ですが、日本の民話よりとありながらベッドや家具が西洋風というのも、外国の方の世界です。