Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

ハンス・プフィッツナーのチェロ・ソナタ嬰へ短調作品1を聴きながら二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩く

2008-07-16 05:48:56 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は二俣川から鶴ヶ峰駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1869年生まれのプフィッツナーの作品。
リヒャルト・シュトラウスと並ぶドイツ最後のロマン派作曲家で、
指揮者としても活躍したが、生まれはロシアのモスクワである。
フランクフルトのホッホ音楽院で音楽を学んでいる。
チェロ・ソナタ嬰へ短調作品1は、1890年に作曲された。

第1楽章「非常に速く」は、悲愴感を漂わせる重々しい主題と
軽快だが悲劇的な感じを思わせる主題によるソナタ形式で書かれている。
ゆったりとチェロが聴かせる部分があり、ロマン派らしい。
主題をもとにした展開部もそんなに長いわけではないが悪くない。
再現部のチェロがピッチカートで奏し、ピアノをかけあうところ
最後の情熱的な部分が印象的で、最後は最初の主題が登場し静かに終わる。
第2楽章「非常にゆっくりとそしてゆったりと」は、
チェロのゆっくりと語りかけるような旋律と、
それにやさしく応えるピアノの伴奏により曲は始まる。
ある時はチェロが主役に、ピアノが伴奏の脇役となり、
ある時はピアノが主役になりチェロが伴奏的な役割を演じながら、
時には激しい情熱を込めながら、音楽は進行していく。

第3楽章「急速に」は、スケルツォ風の短い楽章で、
軽快なテンポで流れるようなピアノの旋律が印象的である。
第4楽章「速すぎずに」は、ピアノが最初主題を弾き、
チェロがそれに続き、その簡素で古典的な主題をもとに
曲は展開され、徐々に情熱的となりクライマックスを築き、
最後に主題が再び現れ、勇ましい感じで終わる。
20歳の頃の音楽院在学中に作曲された若い時期の作品ではあるが、
それにしてはなかなか完成度が高い作品である。
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グスタフ・マーラーのピアノ四重奏曲断章を聴きながら横浜から星川駅まで歩く

2008-07-15 05:32:37 | グスタフ・マーラーとアルマ・マーラー
昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1860年生まれのマーラーの作品。
交響曲や歌曲の作品は残しているが、室内楽の作品はほとんどない。
若い時期から才能を発揮したマーラーは、
15歳でウィーン楽友協会音楽院に入学し、
在学中には楽友協会からピアノと作曲に関して、
何度か賞を受けたようである。
そのピアノ四重奏曲断章は第1楽章のみの形で残っており、
ウィーン楽友協会音楽院在学中の1876年頃に作曲されたようで、
同年初演されているが、学生時代の習作といってよく、
作曲の手法は未熟と思える部分はある。
とはいえ、若い日のマーラーを知ることのでき、
第1主題はマーラーらしさを感じさせる曲である。

感傷的な感じで始まる3つの音を要素とした第1主題は、
「速すぎず」という指示がドイツ語でされている。
これに対抗する第2主題はシューベルト風で、
流れるような旋律は哀愁ただよわせる部分と
明るい部分の旋律があり、時にしてハンガリー的な
ロマ(ジプシー)の音楽を思わせるところもあり、
ブラームス的な部分も感じることができる。
曲はこの2つの主題をもとにしたソナタ形式で書かれ、
この2つの主題は展開部で様々な形に展開され、
再現部では提示部とは構成の違った形で再現される。
ヴァイオリンのカデンツァが最後に置かれているのも
このような曲のジャンルでは異例な感じである。
最後は第2主題の一部が現れ、静かに終わる。
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パウル・ヒンデミットのホルン・ソナタを聴きながら鶴ヶ峰駅から和田町まで歩く

2008-07-14 06:33:39 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は鶴ヶ峰駅から和田町まで歩きました。
途中聴いたのは、1895年生まれのヒンデミットの作品。
グレン・グールドが残した録音の中に、
ヒンデミットの金管楽器のための作品集があったので、
いい機会だと思って聴いてみた。
トランペット・ソナタは1939年に作曲された作品である。
第一楽章は「力強く」という指示があり、軽快な感じで始まる。
新古典主義的な部分も感じさせるが、ピアノ伴奏が現代的でいい。
第ニ楽章「中庸の速さで~活発に」は軽快な感じで短い楽章である。
第三楽章「極めてゆっくりと」は、ピアノの瞑想的なソロから始まる。
最後はゆっくりとした足取りで、壮大さを感じさせる終わり方である。

ホルン・ソナタヘ長調も1939年に作曲されている。
第一楽章は「中庸の速さで」という指示がある。
新古典主義的な部分も感じるが、やはりピアノ伴奏が現代的だ。
ホルンのゆったりと吹く感じがいい。
第ニ楽章「穏やかな速さで」は、ピアノのゆったりとしたソロから始まる。
ホルンが加わって、のびのびとしたホルンの吹奏がいい。
第三楽章「活発に」は、動きのある軽快な音楽で、
ピアノとホルンのかけあいがよく、終楽章にふさわしい。
プーランクの作品を思わせるような爽快感がある。
ヒンデミットの室内楽曲も初めて聴いたがなかなかである。
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ロベルト・シューマンのピアノ・ソナタ第2番を聴きながら西谷駅から二俣川まで歩く

2008-07-13 06:48:15 | ローベルト・シューマンの作品
昨日は西谷駅から二俣川まで歩きました。
途中聴いたのは、1810年生まれのロベルト・シューマンのピアノ作品。
シューマンは数多くのピアノ作品を残しているが、
今回聴いたのは以前買っていて一度も聴いたことのなかった
イエルク・デームスの演奏による13組のCDの中から、
ピアノ・ソナタ第2番ト短調作品22などである。
この曲は1838年に作曲された作品であり、翌1839年出版された。
まだクララとは結婚していない時期の作品である。
クララの父は1836年にクララとの交際を禁止したが、
その中でつらい思いをしていたシューマンの気持ちを
のぞかせるかのような悲愴感ただよう曲である。

第一楽章は「できるだけ速く」という指示があるか、
そして悲愴感ただよう主題が流れるような速いテンポで奏される。
ベートーヴェンのソナタを意識したようにも思える。
第ニ楽章アンダンティーノは叙情的なおだやかな曲である。
第三楽章スケルツォは「きわめて急速に明瞭に」という指示がある。
軽快な弾むリズムが印象的な三部形式による短い楽章である。
第四楽章のロンド(プレスト、プレスティシモ)は、
悲愴感のある主題の展開の手法はなかなかである。
やはりベートーヴェンのソナタを感じさせる
しかしシューマンらしいロマンに溢れた終楽章である。

このソナタの終楽章は最初別の楽章があてられていた。
プレストのロンド・ソナタ形式によるにト短調の曲を
比較のために聴いてみるとこれはこれでいい。
なぜ取り替えたのかはわからないが、
終わり方が気に入らなかったのだろうか。

クララ・ヴィークの主題による即興曲作品5は、
1833年に作曲されたようだが、この即興曲は、
その後1850年に第2版が出されているが、
今回聴いたのは第1版の方である。
クララ・ヴィーク(のちのクララ・シューマン)が作曲した
ロマンス・ヴァリエ作品3の主題をもとにした作品である。
クララがシューマンに献呈したことに対する
ロベルト・シューマンのお返しの曲であり、
(献呈はクララの父親フリードリッヒ・ヴィークである)
この音楽のやりとりをもとに二人の愛は深まっていったのであろう。
ベートーヴェンを思わせるところもあるが、
シューマンらしいロマン派的で情熱的な作品である。
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クララ・シューマンのピアノとヴァイオリンのための3つのロマンスを聴きながら二俣川駅から三ツ境駅まで

2008-07-12 14:38:46 | 古典~現代音楽ドイツ編
昨日は二俣川駅から三ツ境駅まで歩きました。
途中聴いたのは、1819年生まれのクララ・シューマンの室内楽曲。
クララ・シューマンはロベルト・シューマンの妻である。
子どもの頃からピアノで非凡な能力を発揮していたようで、
ライプチヒのピアノ教師として有名であった父親からピアノの特訓を受け、
音楽理論や作曲法についても早い時期から習得していったようである。
ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス作品22は、
ロベルトが精神障害をきたす1854年の前年の1853年に作曲された。
この1853年はロベルト・シューマンの家にブラームスが訪れた年でもある。
ちなみにクララ・シューマンはブラームスとの不倫説も有名であるが、
その真偽のほどはともかくブラームスとの親交はあったようだ。
不運なことに当時は、女性の作曲家が人々に注目されることが少なく、
当時の音楽誌の中での評価も冷ややかなものであった感じである。
そのようなことがCDの解説書では触れている。

ロマンス第1番では、ヴァイオリンの甘美な旋律を
ピアノの伴奏が時には優しく、時には情熱的に包み込む。
ロマンス第2番は、少し哀愁を帯びた旋律をヴァイオリンが奏でる。
三部形式で書かれており、中間部は対照的に明るく軽快な感じだ。
ロマンス第3番は、流れるようなピアノの伴奏が印象的だ。
ヴァイオリンが奏でる主題はゆったりとしたロマン的な旋律である。

ヴァイオリン、チェロとピアノのためのトリオ作品17も
3つのロマンスと同じ1853年に作曲された作品である。
第一楽章アレグロ・モデラートは冒頭に哀愁ただよう主題が奏され、
いかにもロベルト・シューマンの影響が強く現れている。
彼女の作曲家としての非凡な才能を示しているような楽章で、
ソナタ形式で書かれた展開部の対位法的な主題の扱いはなかなかいい。
他の楽章に比べると10分を要す長い楽章で、内容的には充実している。
第ニ楽章テンポ・ディ・メヌエットはスケルツォの楽章で、
三部形式で書かれ、最初は優雅な舞踏的な音楽で軽やかである。
中間部は対照的に叙情的な感じのする部分である。
第三楽章のアンダンテはゆったりとした情緒あふれる楽章で、
しかし時には情熱がこもったロマン的な音楽である。
第四楽章のフィナーレ(アレグレット)で奏される主題は、
第一楽章と第三楽章と関連しているようだ。
フーガ風な展開を見せ、ポリフォニック的な部分もあり、
彼女の並々ならぬ才能を垣間見せてくれる楽章である。

クララ・シューマンもなかなか素晴らしい室内楽曲を
残していたということを知ったのは驚きであるし、
私にとっては大きな発見でもあった。
その後クララ・シューマンは女性作曲家が、
正当に認められていないことを知り、
37歳になると作曲活動をやめたようである。
才能がありながら残念な話である。
音楽の世界は本当に奥が深いものだ。
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