エクスナレッジよりムック本が発刊されました。
住宅の寸法について特集された専門家向けの書籍で、ぼくの設計した事例からもいくつか寄稿しています。
設計とはつまるところ、材料を選び寸法指定をすることに尽きますので、「寸法」は究極のテーマといえるかもしれません。
ぼくの師匠の建築家 村田靖夫は、それはそれは寸法にキビシイ先生でした。
一見何気なく見える空間が、ピリッとした緊張感をもつ。それは緻密な寸法設計によって成り立つことを、修行時代には叩きこまれました。
村田さんのもとで設計をし始めてまだ間もない頃のことです。
「室内の高さは15センチ刻みでしっかりイメージできるようにしろ」と言われました。
和室の基本寸法である180センチを基準として、そこから15センチ刻みに、195センチ、210センチ、225センチ、240センチ。
窓や天井の高さを示すそれらの寸法を自在に操ることによって、そのスペースに最もふさわしく心地よい高さ関係を生み出すというわけ。
それらの高さ寸法を熟知していた村田さんは、平面図(間取り図)を見ただけで、その空間のプロポーションの良し悪しを一目で見抜いていました。
村田さんが特に好んだ天井高さは225センチでした。窓の高さを天井いっぱいまで開けると、屋外や庭に向けて空間が伸びやかに続いているのが感じられるのです。
それよりも天井が高いと間延びをしてしまう。そんな流儀がありました。
一般的によいとされているよりも、ひとつ抑制の効いたキリリとした寸法体系が生み出す空間性。
そうした流儀に触れる時期があったのは、ありがたいことだったのだと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます