木漏れ日の下に車を止める。
サイドブレーキに手をかけても火傷しそうな猛暑である。
「この先になにがあるのかしら」
助手席の妻がつぶやいた。
「なんだろうな。もう少しだけ行ってみようか」
私は襟元に風を送りながら答えた。
来たこともない道である。せっかくだから通ってみようということになった。路上にせり出すように緑が茂り、勾配は明らかに山奥を示している。
二人とも引き返すつもりはさらさらない。少々道に迷ってもおつりが来るくらい、久しぶりの二人だけの時間は手持無沙汰である。
「行ってみましょ」
「うん」
私は再びサイドブレーキに手をかけた。とてもデートコースとは言えない細く険しい山道だが、我々に相応しい道であろう。
車は年老いた忠実な番犬のようにゆっくりと再発進した。
今日は結婚記念日である。
サイドブレーキに手をかけても火傷しそうな猛暑である。
「この先になにがあるのかしら」
助手席の妻がつぶやいた。
「なんだろうな。もう少しだけ行ってみようか」
私は襟元に風を送りながら答えた。
来たこともない道である。せっかくだから通ってみようということになった。路上にせり出すように緑が茂り、勾配は明らかに山奥を示している。
二人とも引き返すつもりはさらさらない。少々道に迷ってもおつりが来るくらい、久しぶりの二人だけの時間は手持無沙汰である。
「行ってみましょ」
「うん」
私は再びサイドブレーキに手をかけた。とてもデートコースとは言えない細く険しい山道だが、我々に相応しい道であろう。
車は年老いた忠実な番犬のようにゆっくりと再発進した。
今日は結婚記念日である。