連日の雨である。止んだと思っても、シルクを垂らしたような細かい霧雨が降っている。これはなかなかに気持ち良い。宵闇の霧雨を突いて、肩を濡らしながら飲みに出かける衝動に駆られるが、本降りになると帰りが困るなと思って二の足を踏んでしまう。そういう判断にまた、年齢を感じてしみじみする。
朝の通勤途中に女鳥羽川を覗くとたいそうな水量である。小学生のころ水彩画の水入れが必ずなったような、どうにも救いようのない色をしている。清濁併せ呑むという言葉があるが、清も濁も一緒くたに呑み込むと、結局濁になるのだ。すべての道は濁に帰する。混沌は偉大である。
天気予報は今日も雨。さすがにこう湿り気が続くと、晴れ間が恋しくなる。せっかくの雨だから一句でもひねれば憂さ晴らしになるが、かび臭い頭では振っても出てこない。仕方ないから、温かいコーヒーでも淹れよう。