北海道を旅した。
二十五年前、学生時代にも旅した大地である。
そのときは寝袋の入った大きなリュックを背負い、ヒッチハイクをしながら、
パンの耳を食べ、観光地を避けて自然の中をさまよった。
二十五年経った今、
妻を連れた観光旅行は、飛行機に乗り、レンタカーを借り、
寿司屋に入り、ビール園でジンギスカンをたらふく食べ・・・・
だが
だがそれで、なんなんだ?───
───そう、二十五年前の自分が問う。
そこにどんな感動があるんだ?
旅行の終盤、予定のコースを外れ、観光パンフレットにない道に車を走らせた。
何もない、と言えば、確かに何もない場所である。
そのとき撮った一枚。
ようやく、北海道に帰ってきた気がした。