た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

熱帯夜

2024年09月13日 | essay

 二階は暑いので、一階の和室で寝る。それでも布団が暑いので、畳の上に転がり出て寝る。頭上を虫の音が飛び交う。それならば秋が来るわけだ。しかし虫たちもその保証がないことに不安だろう。このまま灼熱の日々が続き、いつの日か地球は太陽のように燃え上がって灰燼と化すのではないか。半分溶けかかった保冷剤を頭に当てる。水滴が額を伝おうが枕に落ちようが構わない。秋は本当に来るのか。この夏は本当に終わるのか。体をのけ反らせて、電気ショックを浴びたように四肢を震わせる。体に纏わりつく熱気を振り落とさんばかりに。もちろんそんなものは振り落とせない。我々の「業(ごう)」は、そんな簡単に振り落とせない。

 保冷剤を首筋に当てるが、すでに溶け切ってゲル状になっている。保冷剤を畳の上に投げ捨てる。

 救いの手はあるのか。

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