伊吹いりこ出汁 レッスン後の雑談にて
母が私のところに歌のレッスンに来ることになりました。
母は、その日の「無料お試しレッスン」が、楽しく有意義だったらしく、これからも定期的になるべくなら毎週レッスンに来たい…ということになりました。
これまでホントにどれだけ反りが合わず、反発しまくって、喧嘩もしまくり、何年間も断絶状態になっていたこともあったことか。
こんな親子、あんまりいないと思うよ。いや、殆どいないよ。
普通、この歳になったら、母には感謝して仲良くするのが自然で当たり前。
いやもっとずっと前から仲良し母子って私の周囲にはいっぱいいてそれはほとんと「常識」ですよねー。
私は、まあ、いろんな事情があり、もう一生母と心から和解することなんかあり得ない、
母が亡くなったらこのブログに、母について、心の奥底に沈殿させてしまった想いを赤裸々にブチまけまくるぞ…と思って、
何年も前から「Isoye」というカテゴリーを密かに作っていたのです。
母の名は「イソヱ」
これで小説ができるぞというほどだ。赤裸々な事実に加え、不平不満批判満載の超力作になるかも、、
でも、それを本気で書きながら、生前はどうすることもできなかった母親との関係を自分なりに整理して、あわよくば浄化できたらそれでいいかもね…のつもりも本気。
私は、母Isoyeが死んだら真剣に書こうと思っていたのであります。
しかし、カテゴリー「Isoye」はこんなに意外なところから始まった、、、、
母は、私が仕事を退職して無職になったとき、「アンタに歌を習いに行こうかなあ」と、ボソッと言ったのです。
えー--マジ!? きて! きてほしい。 そしたら、母と私の新しい世界が始まる…ことは容易に想像できました。
でも、母もどれほど本気かわからないしなー。母には第一に卓球がある。
でも、母は自分の他に、仲間を連れてきてくれようともしている様子。
無職になった私に仕事を与えようと思っている様子。
私が高松に戻って来てピアノのレッスンを始めたときも、いちばん最初の生徒さんは、母の友人でした。
母のレッスンは、枠的には発声練習20分、歌20分。超高齢者にはこれくらいが適当なのでは…
そして、初日「体験レッスン」は発声練習のあと「故郷」をレッスンしました。
兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷
「う」の発音とか、特に単語の最初の子音とか、そんな基本的なことをレッスンしました。
イソヱさんは、私がメロディーを弾かなくてもきちんと正しい音程で歌えるのだ。これもびっくりしました。
2種類のキーで歌ってみていただいたところ、高いほうが気持ちいい…と仰るので、最後にはそのキー(E♭)で、
私もピアノ思う存分弾いて、イソヱさんにも思う存分、とっても気持ちよく歌っていただきました。
母は、コロナに罹り、声が出なくなってしまったというので、私は、オバハンのひっく~い声を想像してたんだけど、
彼女の声は子供のような澄んだきれいな声なのでした。これ、遺伝子だ…と思った。私ら娘ふたりもコレでやってきた。
もう絶対ずっと続けてほしいと思いました。
それに、超高齢なんだし、レッスンの時間を心ゆくまで楽しんで貰えたらそれでいいと思っていたけど、
彼女には、それだけではない、もっと良くなりたい、うまくなりたいという上昇志向があるのです。
イソヱさんにはすごい経歴があります。
社交ダンスのアマチュア選手権全国1位。
卓球は、県、四国、優勝経験数多、全国入賞経験。新聞掲載歴多数。
そんな人なので、歌も遊び半分で適当に楽しくやるつもりはないのだ。86歳になっても。
だから私、真剣にやるよ。
こうして、今頃になって、母と音楽で繋がれるって、スゴイことだ、本当に嬉しいし素晴らしい。
子供の頃、私は母に怒鳴られまくりながら毎日1時間のピアノの練習をさせられて、それでピアノが嫌いになったのでした。
でももう、そんなことはホントにどうでもよくなった。
私は今、音楽三昧の毎日を暮らしている。いろんな紆余曲折がありまくって、今ここ。
母は、私がテレオペの仕事を辞めるといったとき、当然反対しました。
そんなことになったら、飲んべーで日々の酒量も多い私ですので、だらだらと朝から酒飲んで依存症の道をまっしぐら…と思ったらしい、、、
その母がレッスン当日は、なんか私が元気溌剌に見えたのか、
「やっぱり、仕事って、辞め時というのがあるんやろうのぅ…」と申すのです。
そうよ、おかあさん。私、今ほんとにたぶんこれまでの人生で、いちばん充実の日々。
SYOさんとの日々が最高!と思ってた。それはSYOさんに与えてもらった日々。
でも、これからは自分で創っていく。神さまも強力にフォローしてくれるはず。
母とは、レッスンのあと、「伊吹いりこ」の話をしました。
伊吹いりこは、頭とハラワタを取らずに出汁をとるべきと、、、
実家では、「伊吹いりこ」以外使ったことがない、しかし、頭とハラワタは除いていたというのです。
「それは、もったいなすぎる」といって、母に頭とハラワタ入りの出汁を味見してもらいました。
「うわー甘いのぅ!」と母。
「そうやろう、これまでどれだけ損しとったことか!頭とハラワタこそが伊吹いりこの真骨頂なんや。」
こうして、きっとこれからもレッスン後の和やかな他愛ない雑談タイムも続いていく、、、