(↑栗原はるみさんの「白菜と肉団子の鍋」。オイスターソースで味付けした鍋汁は絶品。大きな白菜の3分の2をクタクタに長時間煮、肉団子は油で揚げての一手間、二手間。気軽に作れるわけではないけど、一回作ったら忘れられないお鍋)
(↓以下やや本のネタバレを含みます)
久しぶりに爽やかな風が自分の心の中を通り抜けるような、
そんな本に出会いました。
自分が選ぶとなると、絶対サスペンスですから。
基本そういう路線が子供の頃から大好きなのでね。
読書の幅のとっても狭いまんじゅう顔です。
今回の本は、
自分の娘くらいの年齢の友人からクリスマスプレゼントとしてもらいました。
日本への留学生だった女性。
言葉や習慣の違う国に、このコロナ禍の下過ごし、
色々な苦労があったことでしょう。
本に挟んであったカードには「この本はわたしの人生を変えました」と書かれていました。
そんな言葉に引っ張られて読み始めたら、
なかなか面白い。
一気に読み終えました。
『生きるぼくら』 原田マハ著 (徳間文庫)
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作者の原田マハさんっていうお名前は知ってたけど、
本自体は読んだことがありませんでした。
若い人を中心に人気の作家さんの一人みたいですね。
引きこもりの問題、離婚の問題、いじめの問題・・・、
最初の方は若い人たちが直面する現代の問題が前面に出てきてたので、
全編かなり重苦しい話と思いきや、
3分の1くらい読み進めていくと、ものがたり全体に光が差し出して、
最後の方はキラキラと。
本の中身も後半は稲作の話が中心なんですけど、
わたしが子供の頃に見た、水田の水面に太陽の光が当たって
キラキラしているようなそんな光が感じられて、
わたしの心も明るくなりました。
人のものの価値観って、自分自身の持って生まれた性向だけでなく、
周りの環境によって形作られていきますね。
ある環境の中にどっぷりいると、
そこにある価値観が当たり前になり、
心が麻痺してしまって、
その場の価値観にがんじがらめになってしまうことも。
その場所を抜け出して、違う環境に身を置いた時、
人は周りからまた別の刺激を受けて、変わっていけるし、
成長していけるのだということを若者に伝えようとしてると感じます。
閉塞感のある時代だからこそ、
今ある自分の中、家の中、環境の中にこもってないで、
思い切って出ていくというアクションが大事なのかもしれませんね。
物語を構成する二つの大きい舞台、
東京という街と蓼科という田舎の、
環境や人間関係のコントラストも甚だしく、
本当のところはこんなにスッキリしていないはずだけど、
コントラストの白黒を際立たせることで、
読む側に心地よさを残してくれてるのかなと思いました。
今の時代、こういうスッキリさって大事だなって。
生々しい現実はもちろんあって、
実際に蓼科でも、
最愛の祖母が認知症で壊れていくのをそばで見てないといけない主人公の葛藤も描かれていて、
こんな風にスッキリいかないのは当然のことで、よくあること。
そういういいこと、悪いこと全てを含め、
自分の人生にまとめこむのが蓼科での暮らしということで、
それこそが「生きる」ということだと教えられます。
「あんなに小さな一つぶの種籾から、青々と育ちつつある稲、その力。『お米の力を信じて、とことんつき合ってあげなさい』と、コメ作りを始める前にばあちゃんが言ってた。
自然に備わっている生き物としての本能、その力を信じること。
すなわち、生きる力、生きることをやめない力を信じること。
『お米の力』という言葉を、『人間の力』という言葉に置き換えてみる。すると、それは『自分の力』という言葉になる。
『自分の力』を信じて、とことん付き合ってあげなさい。ーーーー自分自身に。ばあちゃんにそう言われている気がした」(文中より)
それまで自分のことばかりに目がいってクヨクヨし、
「地面にへばりついたままで、伸びでいけないじゃないか」
と怯えていた主人公が、
蓼科という大自然の中に身を置き、
思いがけずに稲づくりをやり始め、
稲と自分を重ねて「内なる力」に気づいていくくだりは、
置かれているところは違えぞ、
同じようにくすぶっていると感じている人たちの心に
一筋の光を投げかけるのだろうと思います。
一方、
人生の最終カーブを回ってる年齢のわたしは、
この本を通して、
不便なところ、楽しいと思えるものがないところ、
人間関係がややこしいところなどとレッテルを貼り、
バブル期にわたしたち世代が背中を向けた田舎、故郷の、
その自然とそこに住む人々が持つ豊かな癒しの力を今強く感じ、
郷愁に浸ることとなりました。
一人の外国人留学生の心を支えた1冊。
どっぷり日本的な内容でも、
物語の根幹にある「人間の力」「自分の力」を信じる心は万国共通ですね。
本を読み終えた時、
彼女がこの本から得たものを色々想像しつつ、
この日本でこれからも
しっかり根を張って力強く生きていって欲しいなと心から願い、
祈りました。
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本当に生きるということを、実感をもって考えさせられる1冊でした
ワタシは年末年始にかけてダン・ブラウンのオリジンを読んでいてラングドン教授と旅しておりましたー(笑)
画像じゃないから文具見れないんですけど(笑)いつか映画になる事を楽しみに!!
今年は本を読む習慣つけたいと思います。
&今年は手帳がますます楽しくなりそうですー♡
今年も宜しくお願いいたします。
あぁ、ダン・ブラウンですか〜〜。『オリジン」、わたしも読みました。3冊組なので、読み応えがありますもんね。映画化も楽しみです。
まんじゅう顔、今年も手帳、そして雑貨、お菓子など、cheerさんからも色々情報いただきたいです。よろしくね!!!
ただ「リーチ先生」だけは感動しました
おすすめは「本日は、お日柄もよく」
「旅屋おかえり」「さいはての彼女」「スイート・ホーム」
「総理の夫」も面白かったです
まだ予約はいっぱい入れてますが読んでないものもたくさん
わたしも図書館通いをして、おすすめの本から何冊か読んでみたいと思います。
原田さん、そうみたいですね。面白い肩書きの方だなと思いました。そっちの方もちょっとチェックしてみたくなりました。「リーチ先生」探してみます!ありがとうございます!!!
色々な立場で考えてしまいました。今食べているお米はよく知る人が作っているお米でして、読後に改めて感謝しながらいただいています。
原田マハさんの作品では、旅屋おかえり、がそのときの気持ちにぴったりで好みだなぁと思いました。
美術館に足を運ぶことが多いときは、原田さんの美術系の作品が面白いなあと思ったり、気持ちが乗っていないときには美術系の作品を選ばなかったり途中でお休みしてしまったり。
今回を機に、未読の原田さんの作品の中で、翔ぶ少女、と、常設展示室、を選んで読み始めたところです。
確かにね、いろんな立場で読むと、さらに面白いですね。
『旅やおかえり』がももさんのお気に入りなのですね??わたしはまだ全然彼女の他の本を読んでませんので、いろいろ情報を得ながら、図書館で手に入れられる本から少しずつ挑戦していきたいと思っています。
ウ〜〜ン、楽しみ!!!