さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

地の果てでの越冬 ~マゼランと世界一周(7) 22

2010年01月01日 | ポルトガル

ジェロニモス修道院の2階へ上がります。この数百年、どんな人たちがこの階段を上がったことだろう…。

礼拝堂が見渡せました。なんと壮麗 w(゜゜)w

じーざす!

地の果てでの越冬 ~マゼランと世界一周(7) 

南米の沿岸をいくら南下しても、西へ抜ける海峡は見つからない。やがて季節は冬に近づき、空気は凍りついてくる。この見知らぬ土地には人も動物も、食料になるようなものも何もない、ただの荒地だった。話が違うではないか。しかしここまで来て、マゼランに引き返すなどという選択肢はあまりにも屈辱だった。

 彼はとある湾で越冬することを決意した。食料を徹底的に切りつめ、この恐ろしい荒涼とした地の果てで冬ごもりをすることに決めたのだ。反乱が起こったのも当然であろう。マゼランが約束したはずの海峡は発見できず、こんなところで凍死させられてはたまらない。しかしマゼランは電光石火の作戦で反乱軍のリーダーをしばりあげ、そいつを処刑してしまう。

 数ヶ月の辛く厳しい忍耐を経て、やがて季節は春のきざしが見えてきた。その頃、思わぬことに、この地に住む原住民がひとり姿を現した。毛皮をまとい、その背丈は普通の人の2倍もあるという巨人であった。のちにパタゴニア人(足の大きい人)と呼ばれる人種である。この男は人なつこく、陽気に近づいてきてすぐに船乗りたちと親しくなった。鏡を見せると自分の姿に驚き、ネズミを差し出すと生きたまま丸ごと食べてしまったという。マゼランは「めずらしいものは標本として必ず持ち帰る」という委託を受けていた。恐ろしく暗い犯罪が行なわれた。この大男に鈴を与えると、彼は大変喜んだ。次に見せたのは手かせ足かせである。がちゃがちゃと鳴る装身具をつけて彼は有頂天になり、次の瞬間に囚われの身となったことに気がついたのである。

 そして春の到来と共に、生け捕りにした大男を乗せ、ふたたび船団はまだ見ぬ海峡を求めて出帆したのである。