続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

立ちのぼる生命『宮崎進展』③

2014-05-06 06:53:32 | 美術ノート
 どうにも重い。この重さのなかにはもちろん生命の予感/エネルギーが潜伏していることは間違いないのだけれど、どうにもやりきれない重圧がある。

 隣にいた戦友の呼吸が止まることの衝撃、自分が生きていることの奇跡。慟哭というより自身の危険の切迫への驚愕。来る日も来る日も泥の風が吹いたかと思うと、鉄より固い凍土の風に曝された忘れ得ぬ原風景。逃れえぬ捕虜としての肉体労働。
 過酷、陰惨、耐えがたい屈辱・・・あらゆる負のスパイラルの地獄を生き抜いた記憶。

 絶望の日々は原体験として作家の胸中を離れることがなかったかもしれない。解放、自由、心地よい風に吹かれても常にその原風景が平和の景色を遮ってしまう。
 作家は作家自身の存在が、崩壊感覚である危機感と共存していると考えたのではないか。

 劣化し、廃棄するしかないボロ布(ドンゴロス/麻布・麻袋)の末路。うねるように凸凹の羅列が大きな画布を蔽いつくしている。よく見るとそれらは全て引きちぎられた痕跡のある汚物と化した小布である。その集積が放つ目をむくような異様な反撃。
 疲弊し死滅した霊魂が大地から立ちのぼる気炎を吐いている。

「美しいか?」
「醜悪である」
「現実だよ」
「・・・」
「しかしね、魂は地上の空気を浄化して再びの日を待っている。見えるかね」
「見えません」
「・・・」

『ポラーノの広場』319。

2014-05-06 06:42:48 | 宮沢賢治
人道にはたくさんたき火のあとがありましたし、みんなは繃帯をしたり白いきれで顔を擦ったりしながら歩いてゐました。

 顔はfaceと訳して、Faith/信仰。

☆腎(大切なところ)である同(平等)の化(教え導くこと)を包んだ他意を吐く(言う)。
 信仰を察(おしはかる)譜(物事を系統的に書き記したもの)である。

『城』1615。

2014-05-06 06:20:58 | カフカ覚書
貯えてあった薪をみんな焚きつくしてしまって、せっかく気持ちよくあたたまっていたのが、残念ながらすぐまた冷えきってしまったというのだった。

 薪/Holz→Holle/地獄。
 あたたまる/warm→warum/なぜ、どういうわけで。

☆留められているとしても地獄はすでになかったが、はっきり言えば、予言者の受け入れが、どういうわけか残念ながら再び冷酷だというのである。