続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮 [1-4-2 LIVRE OBJET 後からの試作]

2015-12-01 06:45:59 | 美術ノート

 何か分からないが、幾層かに重ねられた穴のある物体は、地表面ではないか。
 その上にあるものはおそらく建屋。人工物の抽象化であり、それを太い鉄線などで頑丈に固定されている景である。さらに言えば、明らかに重量のあるそれら物体が浮いている景である。

 わたし達が居住する地表面(花崗岩・玄武岩)は固いが(リソスフェアー)、その下(超塩基性岩・スピネル構造)は柔らかい(アセノスフェアー)。上昇するマントル、沈み込む海洋プレート、地表面は必ずしも固定されていない。浮いているし動いているという微かな、しかし大きな変動がある。

 若林奮は、天体の動き、地球内部の動きの上下の垂直方向を、振動として捉えている。
  幾層にも重ねられた地層(水脈)に、どんなに深く固定の力を加えても、下部は浮いている。アセノスフェアー(柔らかい)の上の地表面である。


 信じている強固な地表面、その上に加える人智を持った圧力は絶対の固定を約束しない。千年、億年の単位かもしれないが、やがて変移・変形・崩壊の様相を内包している。

 《動いている=振動》は小さな現象(飛葉)から無限に伸びる時空へと広がりを見せる。相対的な関係の把握をモデルとして試作している。
 《後からの》の意味は、到底目測では知り得ないことを、《先の研究により学習し、知り得た事実を踏まえて》ということだと思う。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』156。

2015-12-01 06:19:57 | 宮沢賢治

ところが改札口には、明るい紫がかった電燈が、一つ点いてゐるばかり、誰も居ませんでした。

  改札口はカイ・サツ・コウと読んで、解、察、講。
   明るいハミョウと読んで、妙。
   紫はシと読んで、詞。
   電燈はデン・トウと読んで、伝、套。
   一つはイツと読んで、逸。
   点いてはテンと読んで、展。
   誰はスイと読んで、推。
  居ませんでしたはキョと読んで、拠。


☆解(さとり)を察(明らかにする)講(はなし)の妙(不思議)は、詞(ことば)で伝えている。
  套(被い)逸(隠れているもの)を展(ひらき)推しはかることを拠りどころにしている。


『城』2161。

2015-12-01 06:11:34 | カフカ覚書

あの子の血のなかに、どこかアマーリアと似たところがあるのですわ。また、わたしは彼に信用されているたったひとりの人間なのですけれど、そのわたしのもなにもかも話してくれるわけではありません。


☆あの子の気質のなかにはアマーリア(作り話/マリア)とだいたい近いものがあります。またわたくしは先祖だと確信していますが、すべてが確実だというわけではありません。