『石枕』とは古墳出土品の中にあって遺体の頭の下に置く、装飾を加えた石製の埋葬品のこと(図録解説より)らしい。
石枕と名付けられたこの作品、枕にしてはあまりにも巨大である。おそらくこれを枕にできる生物は皆無であって、有り得ないそういう大きさに造って『石枕』と名付けたのである。
この巨大な枕に適う頭を自然界では想定できない。怪物もしくはこの世のものではない想像上の生物・・・。街などひとたまりもなく破壊されるような巨大生物、想定不可能な巨人。
装飾のないきわめて簡素な造りの立方体、中が空洞であることを知らせるためか人の出入り口らしき開口部がある。
目には見えないものの枕・・・たとえば風、空気(大気)の石枕だろうか。
大いなる自然への表敬であると解釈する。
(写真は神奈川県立近代美術館『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)