続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮《石枕》

2015-12-07 07:43:10 | 美術ノート

 『石枕』とは古墳出土品の中にあって遺体の頭の下に置く、装飾を加えた石製の埋葬品のこと(図録解説より)らしい。

 石枕と名付けられたこの作品、枕にしてはあまりにも巨大である。おそらくこれを枕にできる生物は皆無であって、有り得ないそういう大きさに造って『石枕』と名付けたのである。
 この巨大な枕に適う頭を自然界では想定できない。怪物もしくはこの世のものではない想像上の生物・・・。街などひとたまりもなく破壊されるような巨大生物、想定不可能な巨人。

 装飾のないきわめて簡素な造りの立方体、中が空洞であることを知らせるためか人の出入り口らしき開口部がある。


 目には見えないものの枕・・・たとえば風、空気(大気)の石枕だろうか。

  大いなる自然への表敬であると解釈する。


(写真は神奈川県立近代美術館『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』161。

2015-12-07 06:39:15 | 宮沢賢治

二人がその白い道を、肩をならべて行きますと、二人の影は、ちゃうど四方に窓のある室の中の、日本の柱の影のやうに、また二つの車輪の輻のやうに幾本も幾本も四方へ出るのでした。そして間もなく、あの汽車から見えたきれいな河原に来ました。


☆字の図りごとを吐く。如何に兼ねた考えを字の図りごとで営(こしらえるか)。
  詞(ことば)の法(やり方)で、双(二つ)の質(中味)を注(書き記す)。
  字を翻(つくりかえて)注(書き記し)営(こしらえる)。
  自(おのれ)の赦(罪や過ちを許す)倫(すじみち)を覆(ひっくりかえす)。
  記の翻(形を変えてうつす、つくりかえる)詞(ことば)の法(神仏の教え)を推しはかる。
  換(入れ替えて)記す字が現れる講(はなし)は幻の記である。


『城』2166。

2015-12-07 06:22:52 | カフカ覚書

クラムは、村にやってくるときと村から出ていくときとでは、まるで違って見えるそうです。ビールを飲むまえと飲んでからとでは違うし、目ざめざめているときと眠っているときとでも違い、ひとりきりのときとだれかと話をしているときとでも違う。また、そのことから推して知るべしですが、お城にいるときとは、がらりと別人のように見えるということです。


☆クラム(氏族)は、来世に来る時と出ていくときとではまるで違って見えるそうです。存在を欺く前と欺いてからでは違うし、生きているときと死んだときとでも違うし、すべての先祖とも違うし、話しているときとでも違う。このことによって終末(死)は全く異なっていることが理解できるのです。