『聴取室』
室内いっぱいに大きなリンゴがある。リンゴが巨大なのか、室内が狭小なのかは定かでない。窓外の景色も遠景であり、この部屋はかなり高いところに位置している。
リンゴが青いのは青いリンゴなのか未熟なのか・・・。
ここに於いて何を聴取するというのだろう。
室内いっぱいの大きなリンゴも、リンゴに相当する小さな部屋も常識的にはあり得ない。
描くことの妙、視覚の錯乱、ここ(画布)では世界を自由にできる。通念を覆し、鑑賞者の眼を欺くことなど簡単である。
不条理をあたかも条理と化し、観念の尺度を伸縮自在に変えて見せることの妙。
わたしたちが信じて疑わない物象への確信を簡単に揺るがす画布の上の世界。
《在るように描く》絵画の物理的常套手段、《あり得ないことを在るように描く》手段は、精神界を自由に解放する。
リンゴ(知恵の実/思考→想像)は室内(物象)に対峙しうる、あるいは超える柔軟性(伸縮性)を持つものである、という告発を聞く。
(写真は『マグリット』西村書店刊より)
カンパネルラが「あれたうもろこしだねえ」とジョバンニに云ひましたけれどもジョバンニはどうしても気持がなほりませんでしたからたゞぶっきら棒に野原を見たまゝ「さうだろう。」と答へました。
☆運(めぐりあわせ)の記の字は謀(はかりごと)也。
現れ、兼ねたものを問うこと。
あの人たちがなにを考えているのやら。わたしたちにはてんでわかりません!あなたは、クラムがどんな調子でフリーダとつきあっていたか、ご自分で、あるいは、人の話によってでもお聞きになったことがおありですか。
☆(死に行く)人たちは何を知っているのでしょう。わたしたちは分からないし、また話を聞いてもクラム(氏族)がどんな調子でフリーダ(平和)に接しているのか分かりません。