続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『旅行者用折り畳み品』

2016-07-18 06:56:02 | 美術ノート

 『旅行者用折り畳み品』
 (アンダーウッド・タイプライターのカバー/高さ23cm)という注。

 旅行者の荷物としては、ごく小さい部類のものである。折り畳み品の意味が不明であり、折り畳むような使用目的がない。
 カバーは被うものであり、畳んでは意味をなさない。これから遠方へ出かけようとする旅行者に必携なものなのだろうか、むしろ不要としか思えない。

 Underwood・・・樹の下のやぶ、《真相はやぶの中にある》などという。やぶをついて蛇が出るともいう。とにかくこの作品における鍵ともいえる(Underwood)の文字。

 本来、カバーだけでは形を保つことのできない品物であり、何か物体があってそれを保護する二次的なものである。
 旅行者が荷物をコンパクトにする(折り畳む)というのは常識である。しかし、折り畳む意味のないものを指して折り畳み品と名付ける意味がない。むしろ全く遠い距離、隔絶された意味の並置としか思えない。

 しかし、仮に、旅行者を人生の旅行者と考えると、この物は幾重にも折り畳んでコンパクトにした真意の謎を包含しているということではないか。

 カバーに隠れた中身にはUnderwood(樹の下の多くの謎・やぶ)が折り畳まれている、見えないが圧縮されたそれらは、いずれ本体であるタイプライター(文字)によって明かされる到着地点があるはずである。
 旅行者であるわたくし(デュシャン)は、このようにコンパクトにして覆い隠したやぶ〔未開の謎〕を必携している。


(写真は『マルセルデュシャン』㈱美術出版社より)


『城』2379。

2016-07-18 06:22:50 | カフカ覚書

わたしの言う真意をよくわかってくださいね。わたしは、クラムの批評をしようなどと思いあがっているのではありません。あなたが比較に反対なさるから、ふたりをくらべてみているだけのことです。


☆わたしの言うことを真っ直ぐにわかってください。クラム(氏族)に判決を下そうなどとは思っていません。全く反対なので比較をしているだけです。