続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『美しい言葉』

2017-10-02 06:56:58 | 美術ノート

 『美しい言葉』

 美しい言葉、美辞麗句には片腹痛いような嘘が含まれていることが多いが、バラは確かに美しい容姿・美しい香りを有し、見る人を魅了する。
 バラは言葉を放つことはないが、その秀麗な美しさで人の胸を打ち感動を伝える。
 言葉が意思伝達のツールだとしたら、立派にその媒介の役目を果たしている。

 この絵では、蒸気の形をとりもう一つのバラの形を見せている。もちろん有り得ない現象であるが、見えない形を想起するイメージという作用を人は無意識理に抱く。《無い、けれども有る》のである。
 バラに対する感想は、バラ以上の膨らみをもって鑑賞者を刺激する、要するに《もう一つのバラ》であり、自分の中の想いのバラである。
 バラの妖気・香気は、自分の中の《美》へと誘い込む。
(バラはバラである)だけなのに触発された幻想は掴みどころのないイメージとして、もう一つのバラを生み出す。美への興奮、美への憧憬である。
 確かにバラは、淡く美しい言葉を放っているかもしれない。しかし、それは三日月の南中が見えないのと同じように《有るけれど、見えない》ものである。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『山男の四月』77。

2017-10-02 06:44:28 | 宮沢賢治

山男はまんまるになつて一生けん命遁げました。ところがいくら走らうとしても、足がから走りしてゐるらしいのです。たうとうせなかをつかまれてしまひました。


☆太陽の談(話)には逸(隠れている)照(あまねく光が当たる=平等)がある。
 冥(死後の世界)は頓(一々修行の段階を経ないですぐに悟りを開く状態)であり、総て則(きまり)は喪(なくなる)。


『城』2769。

2017-10-02 06:31:55 | カフカ覚書

ところで、わたしも、ときには使者の仕事を高く買っていないようなことを申しますが、それは、あなたをだまそうという意図があってのことではなく、不安からなのです。


☆けれども、わたしは、Kがときおり死者の小舟を貶めるように言いますが、それは欺く目的ではなく、恐怖からなのです。