経済の世界とお医者さんの世界には、結構共通点が多いと常日頃から感じている。経済はお客さん『消費者』あっての商売であるが、お医者さんもどんな名医でも患者さんが元気になりたいという気持ちがなければ手の打ちようがないといわれる。
相場は全てではないが、経済の世界では相場の動きが、経済が健康か健康でないかを結構教えてくれるケースが多い。相場を決めるものは需給関係が基本であるが、お金が一番臆病な生き物といわれるとおり心理的な要素が相場に大きく影響する。
病気も、経済と同じで、ファンダメンタルズ、つまりからだの中から治療しないと健康体にならない。それと同時に、病は気からと言われるように、気持ちの持ちようで、良くもなり、悪くもなる。いかに患者自身の心理的な要素が病気の治療に大きく関わっていることはしばしば指摘されているところである。
前置きが長くなった。8月18日のNY株式市場は、コンピューターメーカーのDellの株価が3.2%下げ、米国ナンバー2の自動車メーカーFord Motorが北米工場を減らしそれに伴う人減らしを発表したあと2%値下がりしたなど冴えない展開が続いていた。
ところがClosing Bellが鳴る1時間前ごろから動意付き、閉めてみたら5連騰、前日比46ドル高、週間では293ドル、2.6%上げて、11,381ドルで取引を終了した。S&P500種平均もNasdaqも小幅ながら値上がりした。
8月8日、米FOMCは短期の金利目標であるFFレートをここ2年で初めて一端休止すると発表した。その日の株価はいずれまた再利上げすると読み値下がりした。ところがその後注目のインフレ指標を裏付ける卸売物価指数、FOMCに大きな影響力を持つ消費者物価指数がエコノミストの予測を大きく下回ったとの発表をきっかけに、再利上げなしとの期待感が週後半にかけてマーケットに生まれ始めていた。
パレスチナでの一時停戦を材料に一時バレル70ドル割れの場面を見るなど原油相場が沈静化したこともかすかな期待が投資家心理に働いたことも幸いした。とかく不評の米FRB議長バーナンキさんの裁量よろしきを得れば、米国経済は一気にリセッションに突入するという最悪のシナリオを回避できる。米国経済はソフトランディングに成功するとの見方が徐々に増えてきたことがNYダウ5連騰の背景にあるのかもしれない。
病気でも経済でも高をくくると決まって失敗する。米国経済も国連を舞台にしたイラン核開発をめぐる駆け引き、米中間選挙の行方、住宅不振などなお不透明な要素を多々抱えている。ネガティブ要素も頭に入れながら、明日が見えない時代を明るく乗り切りたい。(了)
江嵜企画代表・Ken
相場は全てではないが、経済の世界では相場の動きが、経済が健康か健康でないかを結構教えてくれるケースが多い。相場を決めるものは需給関係が基本であるが、お金が一番臆病な生き物といわれるとおり心理的な要素が相場に大きく影響する。
病気も、経済と同じで、ファンダメンタルズ、つまりからだの中から治療しないと健康体にならない。それと同時に、病は気からと言われるように、気持ちの持ちようで、良くもなり、悪くもなる。いかに患者自身の心理的な要素が病気の治療に大きく関わっていることはしばしば指摘されているところである。
前置きが長くなった。8月18日のNY株式市場は、コンピューターメーカーのDellの株価が3.2%下げ、米国ナンバー2の自動車メーカーFord Motorが北米工場を減らしそれに伴う人減らしを発表したあと2%値下がりしたなど冴えない展開が続いていた。
ところがClosing Bellが鳴る1時間前ごろから動意付き、閉めてみたら5連騰、前日比46ドル高、週間では293ドル、2.6%上げて、11,381ドルで取引を終了した。S&P500種平均もNasdaqも小幅ながら値上がりした。
8月8日、米FOMCは短期の金利目標であるFFレートをここ2年で初めて一端休止すると発表した。その日の株価はいずれまた再利上げすると読み値下がりした。ところがその後注目のインフレ指標を裏付ける卸売物価指数、FOMCに大きな影響力を持つ消費者物価指数がエコノミストの予測を大きく下回ったとの発表をきっかけに、再利上げなしとの期待感が週後半にかけてマーケットに生まれ始めていた。
パレスチナでの一時停戦を材料に一時バレル70ドル割れの場面を見るなど原油相場が沈静化したこともかすかな期待が投資家心理に働いたことも幸いした。とかく不評の米FRB議長バーナンキさんの裁量よろしきを得れば、米国経済は一気にリセッションに突入するという最悪のシナリオを回避できる。米国経済はソフトランディングに成功するとの見方が徐々に増えてきたことがNYダウ5連騰の背景にあるのかもしれない。
病気でも経済でも高をくくると決まって失敗する。米国経済も国連を舞台にしたイラン核開発をめぐる駆け引き、米中間選挙の行方、住宅不振などなお不透明な要素を多々抱えている。ネガティブ要素も頭に入れながら、明日が見えない時代を明るく乗り切りたい。(了)
江嵜企画代表・Ken