8月4日、米労働省は、7月の米国非農業部門の雇用統計を発表した。それによると雇用数は予測を大きく下回る11万3,000人増にとどまり、一方失業率は0.2%増の4.8%へ拡大した。8月8日に開かれる米FOMCで利上げ打ち止めを決める余地が生まれた。
米国は過去2年以上にわたり、短期の目標金利を異常なレベルとされる1.0%から連続17回、0.25%の小刻みの利上げで5.25%まで持ってきた。ところが雇用が減り、失業率が増えたことで利上げを継続すればオーバー・キルとなる新たなリスクが生まれる。
米国の金融政策の番人が年初にグリーンスパン氏からデータ重視のバーナンキ氏に変わった。グリーンスパン氏は、マーケットとの巧みな対話で特に株式市場の信頼を集めていたから、住宅バブルという副産物を作りながらも、原油の史上最高値の危機をしのいだ。
ところが、バーナンキ氏は基本的にデータ重視である。データ重視のスタンスを鮮明に出したために、データを先読みするマーケットに動揺をもたらした。さらにバーナンキ発言が微妙にぶれた。そのため必要以上にマーケットに不安感が生まれて株式市場は時に乱高下する不安定な状態が続いた。
次回FOMC会合前には大きなイベントは予定されていない。今回の7月の米雇用統計は利上げ継続か利上げ打ち止めかを決める決定的なインパクト与えるかもしれない。
利上げ打ち止め必至とマーケットが読めば、NYダウは上昇するであろう。NYダウが上がればNYダウと見事に連動している日経ダウも上がるだろう。一方、為替市場では、金利差有利で対ユーロ、対円で買われていた米ドルが売られやすくなり、ドル安・円高、ドル安・ユーロ高へ転換する可能性が強まるであろう。
ECB(欧州中央銀行)は、8月3日、短期金利を0.25%上げ3.0%とした。英国中央銀行も0.25%上げ年4.75%とした。日本の金利は現在0.1%といまだ異常な低さである。しかし、先の長い話であるが、この先時間をかけて来年央には年1.0%程度まで利上げするとの見方が台頭している。
米国は今年は中間選挙の年に当る。景気がオーバーキルとなればブッシュ政権は持たない。穏やかなドル安であれば議会の圧力も多少とも緩和できるだろう。利下げの方向が見えてくれば、日欧も望む米国景気のソフトランディングの可能性も生まれてくるだろう。
7月の米雇用統計のインパクトの今後の成り行きが極めて注目されるゆえんである。(了)
江嵜企画代表・Ken
米国は過去2年以上にわたり、短期の目標金利を異常なレベルとされる1.0%から連続17回、0.25%の小刻みの利上げで5.25%まで持ってきた。ところが雇用が減り、失業率が増えたことで利上げを継続すればオーバー・キルとなる新たなリスクが生まれる。
米国の金融政策の番人が年初にグリーンスパン氏からデータ重視のバーナンキ氏に変わった。グリーンスパン氏は、マーケットとの巧みな対話で特に株式市場の信頼を集めていたから、住宅バブルという副産物を作りながらも、原油の史上最高値の危機をしのいだ。
ところが、バーナンキ氏は基本的にデータ重視である。データ重視のスタンスを鮮明に出したために、データを先読みするマーケットに動揺をもたらした。さらにバーナンキ発言が微妙にぶれた。そのため必要以上にマーケットに不安感が生まれて株式市場は時に乱高下する不安定な状態が続いた。
次回FOMC会合前には大きなイベントは予定されていない。今回の7月の米雇用統計は利上げ継続か利上げ打ち止めかを決める決定的なインパクト与えるかもしれない。
利上げ打ち止め必至とマーケットが読めば、NYダウは上昇するであろう。NYダウが上がればNYダウと見事に連動している日経ダウも上がるだろう。一方、為替市場では、金利差有利で対ユーロ、対円で買われていた米ドルが売られやすくなり、ドル安・円高、ドル安・ユーロ高へ転換する可能性が強まるであろう。
ECB(欧州中央銀行)は、8月3日、短期金利を0.25%上げ3.0%とした。英国中央銀行も0.25%上げ年4.75%とした。日本の金利は現在0.1%といまだ異常な低さである。しかし、先の長い話であるが、この先時間をかけて来年央には年1.0%程度まで利上げするとの見方が台頭している。
米国は今年は中間選挙の年に当る。景気がオーバーキルとなればブッシュ政権は持たない。穏やかなドル安であれば議会の圧力も多少とも緩和できるだろう。利下げの方向が見えてくれば、日欧も望む米国景気のソフトランディングの可能性も生まれてくるだろう。
7月の米雇用統計のインパクトの今後の成り行きが極めて注目されるゆえんである。(了)
江嵜企画代表・Ken