脳を鍛えて認知症を予防する:川島隆夫先生講演会
江嵜企画代表・Ken
脳を鍛えて認知症を予防すると題して、2月7日午後2時から東北大学加齢医学研究
所所長の川島隆太先生の講演会が地元、神戸国際大学キャンパスで開かれ楽しみにし
て出かけた。階段教室は開演2時前に満席となり、一部補助いすを用意する大盛況
で、認知症に対する関心の高さを裏付けた。質問いれてぴたり1時間半、立て板に水
よろしくユーモアまじえて川島先生は一気に話された。
認知症にはテレビが一番よくない。スマホも脳を睡眠状態にさせるからテレビと同
じだ。スマホを見ながら赤ん坊に授乳させているお母さんが増えた。母親は赤ちゃん
の目を見てお乳をやらないといけない。赤ちゃんは母親と30センチの距離しか見えな
いのはそのためだ。
知的好奇心を刺激してやることが認知症予防に一番効果がある。手紙を書くこと。
絵を描くこともいい。人との対話を毎日欠かさない。声を出して読む。同時にいろい
ろのことを考えて行動する料理も認知症予防にいい。概して面倒くさいことをすると
脳に負荷がかかるので認知症予防に効果がある。体を動かすこともいい。気持ち早足
で毎日30分でいいから、続けるといい。
人は加齢に伴い体力は右肩下がりに低下する。防ぎようがない。ところが脳は衰え
ないどころか、脳に荷重をかけてやると加齢無関係に脳は確実に成長することが最近
の研究で裏付けられてきている。新しいことに常にチャレンジすることが大事だ。
アンチ・エイジングをうたったサプリメントはやめること。ネズミを相手に大量に
サプリメントを投与して効果が出るということで人間に効果があるという考えが間違
いだ。人間で実験できないからネズミで実験する。ネズミに良くても人間にそのまま
いいはずはない。其処にサプリメントの落とし穴がある。
バランスのとれた食事をとることが大切だ。年を取れば野菜ばかり食べればいいと
いうひとがいる。それは間違い。魚がいいといわれ魚ばかり食べている人もよくな
い。肉はいけないといわれ肉を食べないと脳は老化する。要はバランスなのだ。
一般的傾向として、肥満の人は認知症になりやすい。酒飲み、たばこの吸い過ぎも
認知症になりやすい。脳に水たまりができ、脳が縮むから認知症になりやすい。血圧
の高い人も認知症になりやすい。
作動記憶(ワーキングメモリ)の訓練も効果がある。1・3・5と読み上げるとそれ
を逆に5・3・1と返答する。3ケタ、4ケタ、5ケタと桁数を増やしていく。自分
は8ケタまで出来るようになった。また、赤色で「あかい」と書く。青色で「青い」
と書く。それを青色で「あかい」と書いて、文字は{あかい」のまま。それを「青
い」と読む。そういう訓練をすると認知症予防に効果がある。
1時間半の講演を紙一枚に書けない。認知症予防の対策は始まったばかりだと川島
先生は話しを終えられた。認知症予防は、知的好奇心を持ち、日々新たな気持ちで
チャレンジすることにつきるのではないかと思いながら会場を後にした。(了)