帽子をかぶる範囲が冷たいような感じがして痛い
先日来られた娘さん(社会人)の話ですが、「肩や背中が凝って頭が時々痛い、、、、、。痩せない!」と訴えていました。
一緒に来られた彼女のお母さんが言うには、「この子は、時間があったら寝ているんです」ということでした。
ニコニコした顔をしていましたが、どこか疲れた感じがありましたので、「もしかして」と、脳疲労の診断をしたら、案の定脳疲労の反応がありました。
その反応をスタッフにも知ってもらうために、2人のスタッフにも確認してもらいました。
この診断は、手指の敏感さが要求されるのですが、この患者さんは非常にわかりやすかったので、スタッフにも確認してもらったわけです。
※脳疲労とは、九州大学名誉教授の藤野武彦医博が提唱した言葉ですが、その診断方法はまだ確定されてないように思われますので、私は「脳の軽い炎症」を「脳疲労」と判断しています。
藤野武彦医博著『脳の疲れをとれば、病気は治る!』が出版されたのは、2010.02.17で、その著書にはメタボリックシンドロームと脳疲労のことは書かれていますが、「脳疲労の原因は脳の炎症」とは書かれておらず、脳疲労の原因を、
過剰なストレス⇒脳疲労⇒五感異常⇒食行動異常⇒肥満(メタボリックシンドローム・生活習慣病)と解説しています。
また、脳疲労の研究者である(独)理化学研究所分子イメージング科学研究センター・センター長の渡辺恭良先生も、「脳科学と社会」「脳科学と教育」「非侵襲的脳機能計測を用いた意欲の脳内機序と学習効率に関するコホート研究」などを発表していますが、平成16年の資料なので、その段階では「脳疲労と脳の炎症」に付いては述べられて居ません。
しかし、時代が進んだと言いますか、研究者が増えたと言いますか、次第に「脳疲労は脳の炎症」という考え方が出てきたようです。
たとえば、2014.11.01に出版された、『実験医学・増刊号「炎症」』羊土刊に、「炎症疾患としての肥満/メタボリックシンドローム」という項目があり、
【従来、メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を中心として糖質代謝や血圧の異常が集積する、文字通り「代謝症候群」として捉えてきたが、近年では、その病態に「慢性炎症」が深く関与することが注目されている。感染や外傷に代表される急性炎症と異なり、メタボリックシンドロームは、発赤、発熱、腫脹、疼痛などの特徴を認めないが、炎症性サイトカインやケモカイン、種々の炎症細胞など急性炎症と共通のメカニズムが病態に関与する】という一節があります。
炎症性サイトカインとは:サイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質の一種で、ほかの細胞に情報を伝える役割を持つ)という生理活性物質で、炎症反応を促進する働きを持つ物質のことである。
ケモカインとは:体の炎症部位や特定の細胞から分泌されるタンパク質で、特定の白血球細胞表面Gタンパク連結型受容体に結合し、特定部位への誘因や体内での移動を引き起こす。
この『実験医学・増刊号「炎症」』の一節で、藤野武彦医博著『脳の疲れをとれば、病気は治る!』で語られた「脳疲労」の原因は、「脳の炎症である」ということができると思います。(もう既に証明されているかも知れませんが…)
さて、それで、その娘さんにはどのような治療をしたかと言いますと、オステオパシーで頭蓋骨を整えて、軽く経絡を整えました。
ただ、頭蓋骨を調整するときに、顎関節の歪みもありましたので、ついでに顎関節も調整しておきました。
そして治療を始めて10分程度で「脳の炎症感」を確認したら、すでに炎症反応は消えていて、治療が済んでから、
「どう? 頭はすっきりした?」と聞くと、
「目が、目が凄くはっきりしています」と応えていまして、待合に移ってから、彼女のお母さんにも、
「目がはっきりしているわ」と話していました。
私は頭の状況を聞きたかったのですが、「目が」、「目が」と目のことばかりを話していました。
それでも、「目が良くなったと言うことは脳が良くなったということだから、ま、いいか」と、それ以上は訊きませんでした。
最近、目に特化した治療の開発を行なうために、自分の頭蓋骨をいろいろ動かしていたのですが、面白いことに聴力が上がってきたようで、今まではテレビの音量を「28~30」にしていたのに、このところ「22~25」のほうがうるさくなくていいのです。
頭蓋骨を動かすと聴力も良くなることは、患者さんの治療でわかっていたのですが、自分で具体的に感じたことには感動しました。(笑)