フジッコ第59回株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
西宮文化協会行事として昨年3月、さる会社の鳴尾工場見学の機会があった。正直どんな会社なのかも知らずに参加した。品質管理室から順番に案内された。食品を扱う会社だから当たり前だが、安全管理が徹底して行われていることにまず驚いた。もう一つ驚いたことは見学ルートからみて人の姿をほとんど見かけなかったことである。オートメーション化が徹底して進められていることが強く印象に残った。
見学会の席で、当社が、家族3人で、昭和35年(1960)に、なんと地元、神戸市東灘区住吉南町で起業化したことを知り、俄然親しみを覚えた。日本一の富士山を目指す意味を込めて(株)富士昆布と名付けた。社名を昭和60年(1985)に「フジッコ」に改名、平成3年(1991)本社を神戸市中央区に移した。
ささやかながら100株の株主となり、初めてとなる当社株主総会が6月25日(火)午前10時から神戸ポートピアホテル本館地下1階「偕楽の間」で開かれ楽しみにして出かけた。
足元の業績は、当期の売り上げは641億円(前年比2.0%増)も人件費、エネルギーコスト増で売上原価比率が上り、営業利益52億円(3.4%減)、経常利益55億円(同3.2%減)となり、有価証券売却などで純利益41億円(4.1%増)を捻出した。
当期売り上げの製品分野別比率は、総菜製品33%,昆布製品28% ,豆製品22%、ヨ―グルト製品10%、デザート製品5%、ワインその他2%だった。カスピ海ヨーグルトの売り上げがテレビコマーシャルもあり売り上げ68億円と6.8%増加し業績に貢献した。
株価は直近高値2,900円から急落、2,050円でようやく下げ止まった気配である。配当は中間10円、期末10円と据え置いた。質疑応答でさる男性が鋭く社長に質した。
福井正一社長は「株価は毎日見ております。がっかりしております。減益予想の発表に株価が過剰に反応したことに大いに反省しております。他社との差別化を進め独自商品の開発にさらに努力し株価上昇のための手を打ちます。配当は安定配当を維持しますが今後段階的に上げていきます。」と神妙に答えた。
ある男性株主が「当社は職種から見て特に女性センスを発揮しなければならない。ところが女性の役員がおられない。」と指摘した。社長さんは「現在、マーケティング部門で商品コンセプトを担当している役員職の女性がいます。その部署の半分は女性です。女性センスのさらなる活用を念頭に株主様のご意見を生かしたい」と答えた。
職種がらこの日質問した10人の内、女性の質問者が過半数を占めた。質問冒頭に手を挙げた女性株主は「レシピメニューをもっと充実してほしい。例えばキッコーマンは次々新メニューをスマホなどに掲載して売り上げ増加に貢献している。」と指摘した。社長さんは「レシピメニューの重要性は十分に認識している。レシピ充実に一層の努力をする」とかわした。
ある女性株主は「海外でフジッコの名前を聞いたことがない。様々な価値ある商品を持ちながら外国で知られていないのはもったいないではないか」と指摘した。社長さんは「先般、台湾で開いた製品展示会は大盛況をいただいた。カスピ海ヨーグルトはじめ煮豆、昆布製品が人気を集めた。広く海外にも当社製品をアッピールしたい」と答えた。
フジッコさんとは図らずも西宮文化協会の鳴尾工場見学でご縁をいただいた。地元神戸で産声を上げた企業であることもその時知った。まだまだ伸びしろを残している企業である。世界の「フジッコ」目指して益々発展してほしいと思いながら帰路についた。(了)