対メキシコ輸入関税を10月までに25％まで引き上げるとホワイトハウスが発表、ＮＹダウ大幅安、ＮＹ原油バレル53ドル台へ5.9％急落、ＮＹ外為市場で1ドル＝108円台（学校で教えてくれない経済学）

米国はメキシコから2018年、3,465億ドル輸入した。ホワイトハウスは5月30日、メキシコからの不法移民を阻止するためとして、メキシコ製品1,230品目に5％関税上乗せを6月10日実施、毎月関税を引き上げ10月までに25％に達すると発表した。最も打撃を受ける米産業は部品の3分の２をメキシコから輸入している米自動車メーカーである。一方、米中貿易戦争はエスカレートを続けている。米国は現在、メキシコ及びカナダとNAFTA貿易交渉最中にある。トマト、カリフラワー、レタス含め生鮮食料品も対象に含まれている。関税引き上げ分は米国の消費者に価格転嫁される見通しだ。126のアメリカの産業がメキシコからの輸入品に依存している。カナダの3.3倍を占める。米国は既に鉄及びアルミに関税引き上げを実施している。メキシコはアメリカとインテグラル（Integral;身体の一部）の関係にある。」と5月30日付ワシントンポスト紙電子版にAndrewVanDam記者が書いた。

31日付のWSJ紙電子版は「ホワイトハウスの筆頭経済アドバイザー、クドウロー氏はメキシコに対する輸入関税引き上げに反対を表明した。」と伝えた。WSJ紙は「米自動車メーカーは対メキシコ輸入関税引き上げ措置に反対した。一方、中国報道官は「米国がファーウエイ関連の人物をブラックリストに挙げたことに対抗して信頼できない（Unreliable）米国人をブラックリストに指名した」と伝えた。中国は600億ドルの米国品に25％報復関税を賦課すると6月1日付けで発表した。米中貿易戦争はますますエスカレートしてきた。

31日のNY市場はメキシコに対する米国の関税引き上げ措置発表を受けて全面安の展開となった。NYダウは354ドル、1.4％安の24,815ドルで取引を終えた。ナスダックは17,453ポイント、1.5％安、S&P500は 2,752ポイントで1.3% 値下がりした。ドイツＤａｘが1.5％安はじめ欧州株が続落した。上海総合は2,898ポイントと0.2%安、香港ハンセン指数は26,901ポイントと0.8％安だった。米国債が買われ米10年債利回りが2.21％台まで下落、NY外為市場でドルが続落、対円で、1ドル＝108.38円、1ユーロ＝121.09円で取引された。対メキシコ関税上げでNY原油（WTI）はバレル53.26ドルと5.9％急落、NY金はオンス1，305.90ドルと小幅に反発したと5月31日付ブルームバーグ電子版が報じた。

6月1日、NHK/BS「ワールドニュース」で英BBC，ドイツZDF，フランスＦ2共に「アメリカはメキシコ移民全面禁止に向けてメキシコに圧力をかけるために10月までに関税を25％へ引き上げると脅しをかけた。10万人のメキシコ人が足止めされている。米上院議員の中にも政治の道具に貿易交渉を絡ませることは疑問だと話している。アメリカだけでなくメキシコで生産しているドイツメーカーも被害を受ける。」と伝えた。ドイツZDFは「メルケル首相はハーバード大学名誉教授の称号を30日受けた。メルケル首相は名指ししなかったがトランプ米大統領の政策に賛同できないと同大学で語った。」と伝えた。英BBCは「英労働党幹部の反ユダヤ主義発言の暴露で労働党は困惑を極めている。」と伝えた。（了）