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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

ありがたい教6(ふるさとにて)

2012-07-01 11:00:20 | こころ
 
 亡父の一周忌のため、先月ふるさと宮崎に帰ってきた。
 法事の前後は大してやることもないし、折角なので2泊して、通った高校や昔お世話になった家を久しぶりに回っていた。
 いやいや通っていた高校はだいぶ年季が入ってはいたが、当時の面影そのままで、懐かしく見て回った。教わった先生方はもうおおかた亡くなっているはずだが、あの人たちのお陰で、僕はこうして生きていくことができる。
 よく泊まりに行った旧い友人の家では、やはり親父さんが亡くなっており、お線香を挙げさせてもらいながら、おばさんと昔話をしていた。「あの頃に戻れたらいいのにねえ」と。

 そして自宅の近所も。亡くなっていたけれどパン屋のおじさん、お菓子屋のおじさん、小児科の先生、それぞれ少しずつかもしれないけれど、あの人たちにもお世話になった。「○○君、○○君」と、かわいがってもらった。
 もう更地になっていて元は何の店だったか忘れてしまったが、そこの人たちにも、やはり何かしらお世話になったことだろう。
 当人たちも忘れているに違いないけど、その人たちのお陰で、今日の僕がある、当たり前ながら(悟空の〈元気玉〉みたいに、少しずつ皆から力をもらっている)。そうして僕だけでなく、誰かを育て上げたあと、皆死んでゆく。
 だから僕も(もちろんあなたも)別の誰かを少しずつ世話しながら、老い、そして死んでゆく。とりあえず僕は、自分の子供を育て、合気道の稽古で子供たちに教えていこうと。(いずれ忘れられてしまうのだけど)

 ついでながら、できることならいつまでもシャキッとしたおじいちゃんでいたいと思う。そして、態度の悪い奴らを「コラッ」と叱りつけるようでありたいものだ。

 〔写真はご存知、ネジバナ〕

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