思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

日本の政治家の皆さんへ。エマニュエル・トッドをお読み下さい。

2005-04-21 | 書評

日本の政治家の皆さんへ。エマニュエル・トッドをお読み下さい。

明治政府がつくった新宗教=「国家神道」の総本山の靖国「神社」(本来は神社ではありませんが)のとっくに終わっているイデオロギーを日本の伝統!!??などと思っている保守政治家の皆さん、少しは思想について勉強してください。あなたたちは、税金を毎月もらって生活しているのですからね。大臣たちの日々の発言、そのあまりの見識のなさと無知には言葉もありません。「平和な国」です。よくこれで国がつぶれないものだと感心します。

そこで、読書のお勧めです。世界の政治家が読んでいるベストセラーですが、日本の政治家は読んでいない、エマニュエル・トッドの本です。

2年前に邦訳が出た「帝国以後」(藤原書店)
フランスのシラク大統領が、アメリカ外交の歴史的な大転換を自信をもって行ったのは、トッドの情熱的でかつ冷静な学的分析、巨視的な人類学による新たな世界像の提示によるといわれます。単純なアメリカ追随外交では、日本は計り知れない損失を受けることを認識してもらわなければ、「国益」を損ないます。

2001年7月に邦訳がでた「世界像革命」(藤原書店)
副題が「家族人類学の挑戦」となっていますが、伝統だの、家族制度だのを論じるならば、こういう新しい研究成果を踏まえなければバカバカしい先祖帰りにしかなりません。

書籍代はちゃんと別に支給されている政治家の皆さん、まじめに勉強してから発言してくださいね。

小泉首相にいたっては、明治政府が作った国家宗教の「靖国」と伊勢神宮の違いも知らないで、「なんで伊勢神宮に参拝しても批判されないのだろう?」と以前テレビで発言していましたが、絶句するしかありません。それとも「おふざけ」なのですかね~?

「日本主義」のイデオロギーではなく、世界的な普遍性をもつ頭脳が求められているのです。明治天皇讃歌の「君が代」を強制するのが仕事ではあまりに悲しいですね。

ロシア革命の中心人物、トロッキーは、1933年にこう書いています。
「日本の政治家たちの力は、一般的思想の驚くべき貧困と結びついたシニカルな現実主義にある。だがこれは彼らの弱みでもある。近代国家の発展を支配する法則に対する理解は、彼らにはまったく無縁である。・・・このような知的構造をもった人々は、ある一定の条件のもとでは、例外的な成功をおさめることができるかもしれないが、それと同様に、国を未曾有の大災厄に投げ込みかねない。」(「破局に向かって突進する日本」)
予言は的中してしまったわけです。


2005.4.21 武田康弘




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