いざという時のため、という理屈でアメリカ軍と自衛隊の共同の軍事訓練が始まりました。
中国が仮想敵国だそうです。
中国が日本に攻めてくる!?そんなことを本気で考えている人がいるなら「病気」でしかありませんが、
実はそれがウソだということは、当事者たちも分かっているのでしょう。
軍事力には、強烈な自己保存、自己拡張の「本能」があります。
お金と同じです。それ自体が自己目的化するのです。
明瞭な意志、その「力」をコントロールする健全な思想のパワーが弱まれば、ただちに増殖を始めてしまいます。
極めて分かりのよい直接的な力―単純な暴力という力で問題を解決し(もちろん解決はしませんが)、己の優越を示すというのは、男が金や暴力で女を支配するという発想や、東大だから一番偉い!という発想と同じです。
こういう不幸を呼ぶ不毛な発想を断つのは、とてもやっかいです。
文明は「力の論理」に乗って発展してきたわけで、それを覆すためには、人間の生きることーその意味と価値に対する見方をおおもとから変えなくてはなりません。
多くの人がエロース豊かな生を生きるためには、その「力」の論理を支えている「所有」に価値を置く見方の変更が必要です。知識・履歴・財産の所有を追いかける人生から、存在そのものの魅力を広げる生き方への転換です。( 「主観を消去する日本というシステム」クリック)私たちの「哲学の会」―それが発展した「民知の会」を支える中心理念は、『所有から存在へ』なのですが、それを生き方のエロース革命と呼んでいます。
アメリカも世界中から嫌われる露骨な「力」の論理から、柔らかな共生の論理へ転換する必要がありますが、相当に困難な話です。軍事力の維持を自己目的化し、そのためにさまざまな「脅威」を意図的に作り上げる政策を転換するためには、アメリカ人の生の実存的回心が必要だからです。
私たちも日本人という枠組みを越えて、ひとりの人間としてどう考え、生きるのがよいか?というおおきなスケールで物事を捉えたいと思います。囚われのない普遍性の強い見方ができれば、皆の「得」になるのですから。
中国・韓国とのダイナミックで生産的な関係の構築は、日本とアジアの発展と世界平和のために何よりも大切なもの。私はそう確信します。
為にする宣伝、扇情的な言説(石原慎太郎のような)に惑わされるのは、誰にとっても「損」なことです。
武田康弘