思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

大はしゃぎーロシア近海ー「北朝鮮のミサイル発射実験」への対応

2006-07-07 | 社会思想

軍事評論家は嬉々としてしゃべりまくり、安倍官房長官は鬼の首でも取ったかのように高揚し、テレビ局は、バラエティ番組のようなハシャギよう。

北朝鮮のミサイル発射実験は、確かに非難されるべき愚行です。

しかし、ただロシア近くの海上に落下させた北朝鮮のミサイル実験を、日本にミサイルが打ち込まれたかのごとくに騒ぎ、あるいは、打ち込まれるかもしれないというムードを演出し、日本全土のミサイル防衛構想や米国との軍事共同作戦=自衛隊と米軍の一体化路線を推し進める口実に使うとは、これまた愚かな行為です。

そのような言動は、危険―危機を増大させることがあっても、減少させることにはならないーこれは少し理性を働かせれば誰でもが分かることです。

わが日本人にありがちなヒステリー=自己感情の絶対化は、米国の世界戦略=軍事支配の思惑と符号して、再び軍事大国への道を開きかねません。
豊かな思想のない感情の絶対化は、国を暴走させ、大厄災に投げ込みます。慌てず騒がず、という落ち着きが必要です。煽られては損です。

思い起こしてみれば、アメリカほど巨大なウソをつく国はありません。この間のイラクへの先制攻撃―やってはならないという「国際ルール」を破り戦争を仕掛けた理由は、フセイン大統領が生物兵器と共に核兵器を開発し所有している確かな証拠があるーその脅威を取り除くためというものでしたが、実際には何もなかったことが見事に!証明されました。

このアメリカの国際ルール破りの戦争を全面的に支持したのが、小泉首相ですが、ウソ情報を真実だと言い続けた責任、戦争=イラクへの無差別ミサイル攻撃=劣化ウラン弾による大量殺戮を支持した責任をまったく感じない鉄面皮には、ただ驚き呆れるだけです。

挙げればきりがないほどの「無責任性と自己感情の絶対化(本人が純粋に思い込んでいるから恐ろしい)」ですが、これは残念ながらわが日本人によく見られる性癖です。「思想」を育む環境にないと、「感情」を「思想」の替わりに用いるしかなくなります。純粋培養された為政者(二世議員などには特に多いようです)は、広い思想―恋知(哲学)の営みがなく、すべてを現実対応という名の「政策論」の次元で論じてしまいます。

この「一般的思想の驚くべき貧困と結びついたシニカルな現実主義」がどういう結果を招くか?は、歴史が証明済みです。中国への侵略戦争から始まりアメリカへの攻撃―無条件降伏という最悪の事態を招来したのは、「日本主義」=国体イズムでした。広い思想のない狭い主義(イズム)は、皆を不幸にします。

武田康弘


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