思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

人のため、は間違い。自分のため、も間違い。

2006-12-05 | 私の信条

人のために何かをしよう、人のために何かをしなければ、と言う人は、けっして人のためにはなりません。

一番警戒しなければいけないのは、「あなたの為に何かしたい」という人です。激しい自我の欲望が裏返っただけのことですから。他者を自分のものにしたいが為の言説に過ぎません。

他人のためというのも、自分のためというのも、共に「閉じられたエゴ」を満たそうとする営みです。根源的な不幸から抜けられません。



自分の心の感じ方を大切にし、自分の体をよき状態に保ち、自分の頭を鍛えていく・・・・自分自身の内側をよきもの=健康なものにしていく努力が、まわりの人や物への自然な心配りを生むのです。愛とは、自身の充足が生み出すものです。自己の欠乏がつくるのは、愛ではなく盗みです。「閉じられたエゴ」に他者を取り込むことでしかありません。


深い納得、心の底からの悦びを求める。よきものに憧れる。これが豊かな生を育む源です。

他人のため、あなたのため、と言うのは、不遜です。裏返って、自分のためというのも同じです。どちらも人間を「閉じられたエゴ」として見ているのです。決して他人のためにも自分のためにもなりません。必要なのは、「ために」ではなく、「気遣い」の心です。自他の心身を気遣うこと。

人間の心が健康=自然であれば、心は、よきもの・うつくしきもの・ほんとうのものに惹かれます。その状態が、自他への優しさ、配慮、愛、を生みます。
あなたのため、私のため、という言い方=発想仕方は、どちらも同じで、どちらも間違いだと思います。

武田康弘








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする