思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

日本政府・文部科学省による「反・道徳教育」から子どもたちを守るために。

2007-03-11 | 教育

子どもの心を特定のイデオロギーで縛る「思想教育」が本格的に始まろうとしています。これは極めて恐ろしいことであり、自由と民主主義の根源的な危機だと言えるでしょう。
ウヨク思想の安倍政権が続けば、間違いなく、主観・実存から出発する思想の自由・生き生きとした個人の羽ばたきは抑圧され、消されていきます。保守主義・国家主義という名の「エリート」支配の下で、人権、自由、民主主義は形骸化し、紋切り型の考え方・生き方しかできない社会になっていきます。

私は一人の哲学者として、また30年教育に携わってきた者として、上記のことは「間違いない」と断言できます。

10日の中央教育審議会は、政府が教育員会に対して是正・勧告・指示できる権限を強化する「地方教育行政改正法」を進める答申案を文部科学大臣に提出しました。今の通常国会にこの改正法案は提出される予定です。

この中で、学校教育法改正では、【わが国と郷土を愛する態度】を義務教育の目標に盛り込むことを提言していますが、一昨日のブログにも明記した通り、これは、道徳の本質=「自分が自分に課す規範・態度」をその大元から否定する【反・道徳思想・教育】でしかありません。

言うまでもなく、社会体制を変え、文化を発展させた歴史上の人物は、それまでの伝統や国家のありかたに対して異議を唱え、それに挑戦した人々です。わが国最大の宗教である浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)は、時の天皇制国家権力から流罪の刑に処せられた人物であり、自由民権運動の中心者のひとりで、近代天皇制の明治政治から忌み嫌われた植木枝盛は(うえきえもり)は、現・日本国憲法にもっとも強い影響を与えた私擬憲法草案者です。一つひとつ上げればきりがありませんが、真に人々の幸福に寄与したのは、時の政府や伝統に挑戦した人物なのです。

国を愛し、伝統を尊重するのももちろんよい生き方ですが、今までの国ありようや伝統の文化を批判し、それに挑戦するのもまた素晴らしい生き方です。

どのような思想や態度を持つか?は、ひとりひとの人間に委ねられていることであり、それを侵害する現政権と官僚たちによる上記のような「反・道徳的」な思想や教育は、原理次元における「悪」であり、論外です。特定の態度(愛国心や伝統尊重)を強要されれば、人は、深く心の声を聴き、己の主観・実存を育てる営みができなくなります。心の内奥を掘り進める生とは無縁な、外的価値に従い、外的価値に振り回される人生しか歩めなくなっていきます。個人の心の真実=道徳を否定する「国家主義」による教育は、実存の飛翔―思想の自由を抑え、狭めることで、結果として社会・国の発展を阻害する極めて愚かな所業です。

官僚(役人)や政治家や「事実学」しかない学者の、生の原理への無知―哲学の貧困は、恐ろしい結果を招きます。私たち市民は、現・政府や文部科学省の方針には従わないことが必要です。全国の教師や父母のみなさん、子どもの心と頭の健全な発展のためにネットワークを組み、ぜひ連帯しましょう。ひとりひとりがメディアになり、感じ、思い、考えたこと、知りえた事実を発信し合えたら、と思います。

武田康弘





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