心から、
内面から、
内側から、
内発的に、
心身全体で、
内から湧き上がる力で、
という人が生きるための原理、幸福のための基本条件を大元から踏みにじり消去するのが、外なる価値の脅迫です。
競走馬のような生き方を自らに強要するイデオロギーは、毎日毎日テレビで喧伝される外的価値の刷り込みにより果たされます。外、外面、勝ち負けが個々人の脳を支配します。この外なる価値の刷り込みのためにスポーツ界と芸能界が総動員され、称揚や非難の対象が決められ、人々に特定の価値意識を共有させます。マスコミ人はそのための先兵となり働きます。
幼少期からの点数主義・成果主義・勝ち負け主義の暗黙の想念による教育が、精神の奥深くを侵し、内的な自分自身の人生を歩むこと阻んでいますが、そのことを明晰に意識できる人はとても少ないのが現実です。
評論家や大学教師は、「知」(単なる事実学の累積を既成の価値観で支えるに過ぎない紋切知)によって、人々の内発性を抑え込む役割を果たし、哲学もまた大学内の一教科・過去の哲学書の読解という陥穽に嵌り、現状維持のために「高尚な」理窟を紡ぐというテイタラクです。
一人ひとりの人間の内的充実・内的豊かさ・内的輝きとは無縁な生き方は、どんなに積み上げても、積み上げれば積み上げるほど、虚しさが増し、心は空疎になり、病気となり、自他を抑圧するおぞましい精神となります。旧態の権力者として振る舞う人は、権力の私物化によって外的価値に呪縛されている自らの精神の空虚さを埋めようとするのですが、巻き込まれる人々はその「害毒」(ときにそれは猛毒となる)の被害者となります。
生きるための原理、幸福のための基本条件は、
心から、
内面から、
内側から、
内発的に、
心身全体で、
内から湧き上がる力で、です。
武田康弘