思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

NHKBSの「日中国交正常化40年」の感動と、石原氏らの言動がもたらす巨額の国益損

2012-09-22 | 社会批評

昨晩、NHKのBSで「1972年・北京の五日間、日中国交正常化40年」を見ました。素晴らしい番組で、心底感動しました。

当時の関係者のナマナマしい証言、舞台裏、歴史的経緯と世界情勢の変化・・わたしが20歳のときの出来事なので懐かしく思い出すと同時に、当時は知らされなかった事実が赤裸々になり、感無量でした。

それにしても石原氏親子をはじめ現代の保守政治家のあまりのレベルの低さ、人間的な未成熟、愚かとしか言いようのない言動との対比は想像以上でした。周恩来をはじめとする中国側要人の厳しさと優しさと大きさ、田中角栄首相と大平正芳外相の不退転の決意、共に人間的な豊かさをもっていたのが分かります。

現代の保守政治家のキツネ憑きのような顔、深みや豊かさのない貧しい顔との違いは驚くべきものです。ナショナリズムを煽り、偏狭な愛国主義や天皇主義を謳い、民主的平和的な憲法の全面的な作り替えを主張する顔と声は、子どもの勝手・我儘(わがまま)と同じようですが、こういう輩が国家権力をもてば、悪しき官僚政治以下の恥ずかしくかつ危険な国家になることは間違いありません。

また、知らなかったので驚いたのは、わが国の中国への侵略戦争への反省と謝罪がされたのは、この時がはじめてだったということです。1945年の敗戦(アメリカ・中華民国・イギリス3カ国による『ポツダム宣言』を受諾し『降伏文書』にサインした)からなんと27年もたっています。

わが日本人の恥知らずな精神に改めて自責の念を持ちました。これでは世界に尊敬される国にはなりようがありません。せっかく中国に対する多大な援助を行い、それに対して中国人の多くが感射していても、石原都知事のような挑発的言動・中国人を下に見る侮蔑発言を繰り返せば、すべて水の泡どころか、計算不能な程の多額な損失となります。中国との関係悪化は計り知れない国益損ですので、石原都知事の罪=責任は言語に絶するものと言わねばなりません。もちろん東京都の暴走に乗じて尖閣の国有化をはかった野田政権も同罪です。政府の方針・意向に逆らって東京都が勝手に行ったことであれば、政府や日本企業には非難の矛先は向かわず、デモは、「反日」ではなく「反石原」となったのに、です。

『明治憲法』(大日本帝国憲法)下での一人ヨガリのわがまま=外交の失敗が日本を孤立させて泥沼の戦争へと突入した事実をもう忘れたのでしょうか?それともまた戦争をしたくてウズウズしている男たちがなにか画策しているのでしょうか?(なお、ついでに言えば、戦争は賛成した人だけが行うべきであり、戦争反対者は一切協力せず、が正しいのです。他国が日本本土を攻撃し支配するのでない限りは)

せっかくの「日中国交正常化40年」の年になんということをしてくれたのか!
狭い人、小さな人、好戦的な青年将校のような人、日本チャチャチャのお軽い人、明治に郷愁をもつ天皇主義者、彼らが権力を握れば、最悪の官僚政治のそのまた一段下まで落ちることにしかなりません。

民主主義国家では、主権者はわたしたち一人ひとりの市民・国民であり、政治家は主権者の「一般意思」の代行者なのです。政治家個人がもつイデオロギーを現実化するために権力行使をすることは許されていないのです。これは原理です。

武田康弘

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする