人間は、その社会の道徳や規則に反することもするものです。
遵法主義者ー道徳主義者とは、ギリシャ神話(プラトンによるソクラテスの対話編「饗宴」)に出てくる厳禁の神のアナンケのような存在ですが、このアナンケを打ち負かし、自由と柔らかさと平和をもたらしたのが恋愛の神、エロースでした。規則や道徳に縛られ過ぎないことは、よく=楽しく豊かな人間性をもって生きるためには大切です。
問題は、その質と程度です。特段に他者への迷惑とならないことであれば、一人ひとりが自由に思い通りに行為することは、よいことであり必要です。固い、うるさい、細かい、というのは、ほんとうの道徳ではなく、規則のほんらいの意味でもありません。
テキトウ、ほどほど、まあまあ、うるさいことを言わない、というのは、最大のよいなのです。この人間の生の真理を分からない愚かな者が「正論」を吐くのを見ると、吐き気がします。
アナンケのような厳禁の精神をもつ人間は、皆を不幸にする最悪の存在です。お話になりません。それがいまの日本で、世界1位の管理社会と認定されています。
武田康弘