「ニューヨークタイムズ」が先月、社説で書いた通り、ゴーン氏の裁判は、(世界の民主国から)日本の司法制度が裁かれるものでもあるのです。
裁判前に何カ月も拘留して毎日長時間の取り調べをする国は、軍事独裁国家を除き日本以外にはありません。そういう基本すら知らずに、ゴーン氏は有罪か無罪かを論じるのは、論外で、話になりません。テレビに出てしゃべる人のレベルの低さには呆れ返るだけです。検察庁のしていること自体が日本国憲法に反し、人権思想に反する行為で、まさに、罰せられるべきものなのです。
民主主義の中身は人権思想であり、人権を守ることを目的とするのが民主主義の政治であり国家制度なのですが、そういう基本を踏まえないのが検察特捜部で、話になりません。いままでの検察官の行為の多くは憲法38条に反していますが裁判官も同罪です。じっくり読み直してください。
こういうデタラメな検察庁の言動を支えるのが、安倍首相の中心ブレーンである麗澤大学教授の八木秀次(政府の各種諮問機関の委員)の思想です。「反人権宣言」(ちくま新書)を出し、北欧の人権先進国であるスウェーデンを「終わっている国」と断定し、悪口の書き放題です。民主主義の内容が人権思想であることも弁えず、「反人権」を謳う社会思想家を政権のブレーンとする国は、もちろん世界中に日本だけです。
日本が民主政治の原理原則がない国であることは、元「ニューヨークタイムズ」東京支局長の言う通りです。
検察庁という行政機関を監督するのは、三権分立の原則に則り、国会(国権の最高機関=憲法41条)からの行政監視なのですが、それすら知らない国会議員も多く、参議院に設けられている行政監視委員会は、まったくというほど機能していません。10年前に山下栄一委員長(公明党)は、獅子奮迅の努力で、検察や警察にも視察を行いましたが、いまは再び沈滞です。現行の制度では行政監視委員会に行政機関の憲法違反を疑われる行為をやめさせる権限がなく、非力なのですが、それでも頻繁に視察すれば大きな力となります。ぜひ、国会議員のみなさんには超党派で頑張ってほしいと思います。
それにしても、法務省の役人の課長級以上が全員検察官というのでは、「独裁国家丸出し」と言われても抗弁のしようがない酷い話です。
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4月18日(金泰昌さん来館時)
武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室・客員調査員。「日本国憲法の哲学的土台」を講義)
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以下は、fbのコメントです。
澤田一眞さんは、ドイツ在住で専攻は哲学です。
澤田 一眞 日本の刑事司法の問題はもうずっと以前から国際社会で問題視されてきました。国連の「拷問禁止委員会」で日本の「人質司法」が問題視され、何度も是正勧告を受けても日本政府、法務省は無視を続けています。無視どころか、委員会で日本の制度を「中世」と批判されると日本の上田「人権人道大使」はShut upを二度繰り返して国際社会の場で大顰蹙を買いました。この事件は象徴的だと思います。日本の政府、法務省、検察庁の姿勢は今もって国際社会にたいしてShut upなんです。何と恥ずべき政府を我々は持っているのでしょうか。言葉もありません。