ティコのウラニエンボルクの天文臺は、ヴィヨンのマンの監獄であり、前者が星のきらめく大空のみえる快適な部屋の中で、後者が日の光りも射さない地下牢の壁にとりかこまれて、めいめいの思ひに耽つてゐたとき、──おそらく、打開の方策も盡きはててしまつた自分の前途に絶望し、まつたく意氣沮喪してゐたとき、突然、楕圓發見の榮光が、二人をつつんだのである。ひとりは晴れわたつた空に、ひとりは温氣を含んだ壁に、──すなはち、かれらの前に立ちふさがり、絶えずじりじりとかれらを壓迫しづづけてゐるもののなかに、不意に二つの焦點のある、かれらの魂の形をみいだしたのだ。
花田清輝「楕圓幻想」のよく知られた劇的な一節。
かっこよすぎるティコ・ブラーエとフランソワ・ヴィヨン。
私がティコ的なのか、ヴィヨン的なのかはわからないが、とりあえず、私に見えるのは、執念のように枯れない植物だけ……
花田清輝「楕圓幻想」のよく知られた劇的な一節。
かっこよすぎるティコ・ブラーエとフランソワ・ヴィヨン。
私がティコ的なのか、ヴィヨン的なのかはわからないが、とりあえず、私に見えるのは、執念のように枯れない植物だけ……