★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

『坊っちゃん』の時代

2012-05-16 23:02:06 | 文学


文学作品をマンガにしたもので原作を超えたものはまだ読んだことがないが、『『坊っちゃん』の時代』5部作は、明治末期の文士達そのものをできるだけ再現しようとした点でそもそも着眼点が違うし、非常な勉強量によって支えられた作品で、漱石や鴎外や啄木、果ては「煤煙」なども読み返してみようという気にさせる傑作だと思う。「舞姫」のマンガは数あれど、結末部分が変わってたり、だいたい酷い。この5部作だと第2部が「舞姫」中心であるが、エリスが(というか、とりもなおさず豊太郎=鴎外が……)ちゃんと人間として描かれているのはこのマンガぐらいかもしれない。果たして、我々が行っている大学教育は、このマンガほどの啓蒙をしているかどうか……、恥ずかしくなった。

37年ぶりに室蘭でSL

2012-05-16 22:00:34 | 日記


わたくしは蒸気機関車に日常的に乗っていた最後の世代の一人だと思うが、1970年代の初めあたりはまだ中央西線でSLが走っていた。なんとなく覚えている。トンネルで窓から黒煙が客席に入ってくる様を……。室蘭で37年ぶりにSLが運行するとかニュースになっていた。