★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

猫と正論

2016-09-14 23:58:13 | 文学
教授会に出たら

暗闇の中に猫がいます


ああツァラトゥストラを読みかえしたい気分だ。


『図書館戦争』はかなり以前に学生に勧められたがまだ読んでいない。図書館の自由を守るために軍隊つくって専守防衛する話らしい。図書館のなかで図書を守るためとはいえ、銃を撃ちまくったりついでに上官に恋したりするするらしいのだ。まったく、こんな世界になったらわたくしは怒りのあまり憤死してしまいそうである。たまたま117頁を開いたら、「正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使っているのはどっちだ?」という台詞があった。中学生が感動してしまうような台詞である。しかし、だいたいにおいて、組織の中で吐かれる正論が正論ですらないのが実情であり、正論の使い方を学ぶ前に、正論の作り方を学ぶのが先決である。

図書館がなんとなく女子を美しく見せるのはわかる。

われわれは図書館をふるさとのようにも感じる。だからこのようなフィクションが書かれて人気が出たりするであろう。好きな本が焼かれるのをみれば我を忘れて銃をとる人たちもいるであろう。辛いと思うのは、図書館を守るために日本の政府を敵に回して平気なほど、日本の国が嫌われていることであろう。そんな国の人びとが美しく見えるはずがないし、ふるさとと思われるはずがない。もうこの点は、絶望的である。

そんな陰惨な現実を顕わにしてはあれなので、頁のあちこちでしゃべっている主人公の女の子は、かなりチャラそうで美しくはなさそうであった。