
西村寿行といえば、近所の男木島の出身である。生まれたのは、昭和5年だから、開高健とか野坂昭如とかの世代である。たしかデリダやジーン・ハックマンもこの年の生まれではなかったであろうか。戦争が終わった時に、ちょうど反抗期。ある意味大変幸運な世代である。一生懸命、パンチを繰り出そうとしていると、世の中自体が本当にひっくり返ったのだ。ふつうは、そうじゃない。で、「君よ憤怒の河を渉れ」という感じになる(以上、イメージ)
中学のとき、西村寿行はちょうど長者番付で話題になっている頃で、酒を飲んで泥酔し、編集者に「今すぐくたばれ」、「おまえはクズのなかのクズ」などと言い放ったあげくひっくり返っていた、というような武勇伝?が新聞だか週刊誌に載ってた(個人の記憶です)→ウィキペディアにも同じようなことが書いてあったから、本当なのかもしれない。
「鬼女哀し」を読んでいたら疲れてきたので、小林秀雄の壺の文章なんかをなめなめしてみたが、西村寿行と小林秀雄は似ている。編集者に乱暴をはたらいたことが似ているのではない。そこも似てるが、「反省なんか頭のいいやつがやれよ、おれはしらねえよ」と虚空をにらんでいるところが似ている。そして、案外使っている漢字が難しい。