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手如柔荑 膚如凝脂 領如蝤蠐 齒如瓠犀 螓首蛾眉 螓首蛾眉 巧笑倩兮 美目盼兮
荑、脂、蝤蠐、瓢、蛾、これらをあわせると美人になるであろうか。そうではなく、これらは自然物だが、ある種の虚構じみた趣で、逆に自然物である美人がそれを越えた美に昇格するのではなかろうか。
もっとも、たいがい人間のほうが虚無である。おもしろくもないことで気を遣って笑い、そのくせ、他人の人生を馬鹿にして気を遣わない。そういう人種がたいがい教育者ぶって、ほんとDas Unheimlicheである。だからこそ、芋虫とかに美人のうなじを形容するみたいなことを古人達はしていたのではなかろうか。不気味さはその救いがたい人間ではなく、清い芋虫を経由して浄化され、真に美しいものに行き着くのである。