メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ペンダーウィックの四姉妹 1 Sunnyside Books 夏の魔法 ジーン・バーズオール/作 小峰書店

2024-11-11 16:39:18 | 
2014年初版 代田亜香子/訳

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これも家族小説を調べて見つけた

「サニーサイドブックス」シリーズは他にもたくさんあるのかな?
検索しても一部しかヒットしなかったけれども

サニーサイドブックス 海外編 【既10巻】

比較的、最近の作品だったのか
作者紹介に「初めて書いた本」とある/驚
マサチューセッツ州に夫、ネコ4匹、ウサギ1匹、カタツムリ、犬と住んでいるそう

オルコット、パトリシア・マクラクラン、ネズビットのバスタブル家など
これまで読んだことのある作家名も出てくる

いろんな出来事があっても、最後は明るく終わる物語は気分が良い


【内容抜粋メモ】

登場人物

ペンダーウィック一家
父 植物学教授 時々ラテン語を交えて話す
母 がんで亡くなった
ロザリンド 長女 12歳
スカイ 11歳
ジェーン 10歳 サブリナ・スターの物語を書いている
バティ 4歳 エリザベス
ハウンド 愛犬

ミセス・ティフトン コテージの所有者 ブレンダ
ジェフリー 息子
デクスター・デュプリー ブレンダの恋人
キャグニー アランデル邸の庭師
ミセス・チャーチル 屋敷の家政婦
ハリー トマトを栽培している



ペンダーウィック一家は夏休みにアランデルのコテージで過ごす
途中で道に迷って、ハリーが教えてくれる
ミセス・ティフトンは美人だが、お高くとまってて
庭に入ると怒るから気をつけるよう注意する

立派な屋敷と庭に驚き、庭師キャグニーがハンサムで好きになるロザリンド
ガーデンクラブのコンテストが近く、ミセス・ティフトンは優勝を狙っている

息子ジェフリーは一人っ子で寂しい思いをして暮らしている
ジェーンは早速、サブリナ・スターの新作に彼をモデルにして登場させる



MOOPSは姉妹の会議で秘密厳守の誓いをたてる
ネズビットのバスタブル家をマネしている

ジェフリーと庭で衝突した際、ミセス・ティフトンの悪口を言ったスカイは謝り
たちまち4姉妹と仲良くなる

キャグニーは2羽のウサギ、ヤズとカーラを飼っていて
動物好きのバティは毎日ニンジンをあげる
サッカーが得意なジェーンとスカイと一緒にサッカーもするジェフリー

音楽好きのジェフリーの部屋にはアップライトピアノがある
母は祖父と同じ軍人にしたがっているが、本当は音楽がやりたいと打ち明ける

ジェーンとスカイは窓に近い木から外に脱出する
あとで、キャグニーが縄ばしごをつけてくれる

屋敷の家政婦ミセス・チャーチルは絶品のジンジャーブレッドケーキが得意で
姉妹、ジェフリー、ハリーも呼ばれる

来週はジェフリーの11歳の誕生日でパーティーに4姉妹を招待する
ミセス・ティフトンの恋人デュプリーも来る

チャーチルは4姉妹にフォーマルなドレスを着せるため屋根裏に案内する
1階は美術館みたいだし、屋根裏は宝物がどっさりあって興奮する

ミセス・ティフトンとその母フラムリーの何百着ものドレスが並び
4姉妹にピッタリなドレスを選び、寸法を合わせて縫ってくれる

フラムリーはブレンダが17歳の時に亡くなり
フラムリー将軍は悲しみのため無口になり、ブレンダは父に反抗して結婚した

ジェフリーの父は生まれる前に行方不明になった
ロザリンドは親が亡くなることよりひどいのは、自分に会おうとしない親をもつことだと思う



ドレスを着た4姉妹は父に写真を撮ってもらい、キャグニーも「カワイイ」と褒めてくれる
だだっ広いダイニングルームでミセス・ティフトンに挨拶する

ジェフリーはデュプリーから欲しくもないゴルフセットをもらい
カントリークラブで教えてもらえと言われてしょげかえる

デュプリーが出版業界に勤めていると知って
ジェーンは自分の書いた小説が完成したら見せる約束をする

ミセス・ティフトン:ジェフリーは祖父と同じようにペンシー・ミリタリーアカデミーに入学するんです

ジェフリーは戦争なんか行きたくないが母は話を聞いてくれない
ミセス・ティフトンとデクスターが話している声が聞こえ
ペンダーウィックの娘たちは下品で階級が違うと悪口を言っている
デクスターは何度もプロポーズしていると分かる

ミセス・ティフトン:私はただジェフリーにとって一番いいことをしたいだけ
デクスターは11歳からでもペンシーに入学できると押す



バティは1人でウサギを見に行き、ミセス・ティフトンに注意されて驚いてる間に
脱走癖のあるヤズが逃げだしてしまい
責任を感じたバティは1人でキャメロンの家に帰ろうとしてハウンドに助けられる
バティが大好きなハウンドはヤズをくわえてもってくる



ガーデンクラブのコンテストの日
ジェフリーらはサッカーボールにデクスター、ペンシーと名付けて
頭に血がのぼり、ジャスミンを植えた壺に激突し、ミセス・ティフトンはまた激怒し
ジェフリーは1日外出禁止をくらう
アランデルの庭は準優勝で、優勝できなかったことを悔しがるミセス・ティフトン



ジェフリーはスカイに音階も数学と同じだと言って、グランドピアノを一緒に弾こうとして
取っ組み合ってるところにミセス・ティフトンが帰ってきてまた怒られる

ミセス・ティフトン:
野蛮で下品な娘たち
父親は頼りないし、母親はどこに逃げたのか、娘たちの世話に嫌気がさしたんでしょう

スカイはぶちギレて、反論する
スカイ:うちの母は死んだんです!

スカイはロザリンドにミセス・ティフトンが「盛りのついた猫みたいにキャグニーを追いかけ回してる」と言っていたと話し
ショックで眠れずに、夜中、外を散歩していて
キャグニーが見知らぬ美人の女の子キャスリーンとキスしているのを見る

2人にバレないように逃げるつもりがスイレンの池に落ちて、キャグニーがコテージまで運んでくれる
額にひどい切り傷をつくって、キャグニーにとっては12歳の子どもにすぎなかったのだと傷つく



ジェフリーはミセス・ティフトンとデクスターにペンシーまで連れて行かれた

庭で見張っていたジェーンは、デクスターに本が書きあがったから見てほしいと頼むと
適当にぺらぺらめくっただけで「お粗末だ」とこき下ろし、ショックで部屋に引きこもり
原稿を1枚ずつ破いていると、父が心配して声をかける

父:
デクスターは車の雑誌で、小説に関する知識はハウンドと変わらない(お父さんのユーモア好きだな
母さんはよくジェーンの想像力は世界の八番目の不思議だって言っていた

ジェフリーはバックパックを背負って家出して来る
モップスを開いて話し合う

ジェフリー:
このままだとペンシーに入れられるから、ボストンのチャーチルの娘さんを頼って学校に通う
お父さんに会えるかもしれないし

ジェフリーの書き置きを見て、うろたえたミセス・ティフトンがジェフリーを探してコテージに来る
父は母親と話し合うようすすめる

ジェフリー:ペンシーには行きたくない

ブレンダが5歳の時、祖父から泳ぎを強制されたのがトラウマとなって
今でも泳げないと話してくれたことを引き合いに出す



一家が帰る日
キャグニーは花の植木をロザリンドにプレゼントする

キャグニー:
キャスリーンとは話が合わない
君が男の子を好きになる年ごろになったら、モテると思うよ

チャーチルとジェフリーが追って来て、ペンシーに行かなくてもよくなったと話す
ミセス・ティフトンと話し合い、ボストンの寄宿学校に通い
ニューイングランド音楽院のクラスを受ける予定

バティはお気に入りの背中の羽をジェフリーに貸してあげる
みんなは“とりあえずバイバイ”をして別れる


コメント

ブッデンブローク家の人びと 下 岩波文庫 赤帯 433-3 トーマス・マン/作 岩波書店

2024-11-04 12:57:00 | 
1969年初版 1997年 第28刷 望月市恵/訳

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ついに最終章


【内容抜粋メモ】(私的なメモ程度なので、間違ってる可能性大/汗

登場人物
ヨハン・ブッテンブローク 問屋商人
アントアネット 妻
コンズル 息子 共同経営者
エリザベート 息子嫁
トーマス 長男 トム
ゲルダ・アーヌルドセン 妻
ヨハン 息子 ハンノ
アントーニエ 長女 トーニ
アーロイス・ペルマネーダ ホップ商人 再婚
エーリカ トーニとグリューンリッヒの娘
ワインシェンク支配人 夫
エリザベート 娘
クリスチアン 次男
クララ 次女
ジーヴァート・ティーブルティウス牧師 クララの夫
クロティルデ ヨハンの甥の娘
イーダ・ユングマン 乳母兼家庭教師
アントン 召使い

マルクス 支配人 共同経営者
ゴットホルト ヨハンの亡き前妻の息子 コンズルの腹違いの兄
レーブレヒト・クレーガー アントアネットの父 当世風の老紳士
ユストゥス 放蕩息子
グリューンリッヒ 代理業



トムはハンノが母の影響で音楽に傾倒して、自分と隔たっていくのを不安に思う
自分が幼い時から父のそばで商売を学んだ経験から
ハンノにも折に触れていろいろ質問するが、明解な回答は得られない

歯の障害から胃や心臓も影響を起こし、健康がすぐれず、自信もないハンノ少年
唯一の友だちは貴族に生まれながら乞食のような生活をしているカイ

カイの母は出産とともに亡くなり、父メルン伯爵は人目を避けて生活している
カイは物語をつくる才能がある

ハンノは一族のマップに自分の名前を見つけて美しい平行線を引く
トムに問い詰められると、「もう書くことがないから」と答える(すごい伏線/汗



エーリカの夫ワインシェンクは商慣習により告発され、裁判も不利に進められて
3年半の実刑を受ける

ハンノは初めて観劇して夢中になり、クリスマスプレゼントに人形芝居セットとオルガンをもらう
クリスチアン:君、忠告するが、こういうものにあまり熱中しないことだよ

クロティルデは修道院に入る
そこでは町に功績のある家族に生まれた無資産の娘の老後を保証している



エリザベートは老齢で肺炎になる
家族が見守る中、ひどい苦しみようで「なにか眠る薬を! みなさん、可哀想だと思って!」と嘆願するも
生命を延ばすのが義務の医師はさらに意識を保つ処置を続ける(読んでて苦しすぎるよ・・・↓↓↓
最期「参りました!」と言って息を引き取る

世話をしていたゼヴェリーンは、エリザベートの絹の服を持ち出そうとしてトーニが止める
トム、ゲルダ、クリスチアンが揃って遺品分配をして、トーニは大半の家具をもらい

クリスチアンは女優と結婚して、家庭に必要な食器が欲しいと主張して
トムと再び激しい言い争いになる

クリスチアン:兄さんはいつもボクに冷たかった
トム:君が頭が変になっても、僕は涙を一滴もこぼさない

クリスチアン:
働きたくても、働けなかったら?(その気持ちは分かるな
バランスを失わないことが、兄さんにはなにより大切なんだ
しかし、そんなものもっとも大切なものじゃない

トムは荒廃した実家をできるだけ早く売り払ったほうがいいと言う
トーニ:安全な港、自分の家という所があったから切り抜けられた と訴えたが
ゴッシュにより2万8000ターラーで買いたたかれ
よりによって買ったのは、トーニの宿敵ヘルマン・ハーゲンシュトレーム

でも、トムも言う通り、ヘルマンは家族が増えたから買っただけで恨みは持ってないと分かる
学生時代、レモンパンと引き換えにキスした話さえ持ち出した
それから間もなく家は改築された



トムは40代にしてすっかり燃え尽きている
正規の教育を受けずに商売の世界に入ったため、最高の地位につけない不満をもって

オシャレは潔癖症と思えるほどに徹底され、周りから冗談にされている
いろんなお面をつけて、常に緊張し、精魂尽きていることにトム本人も気づいている

アムルガルトが嫁いだラルフがピストル自殺した記事を読んで驚くトーニ

ハンノは夏休みの1か月間、トラーヴェミュンデの療養ホテルに滞在する
こののんびりした空気を存分に味わい、夜は熱に浮かされずに眠ったが
あっという間に過ぎ去る



ワインシェンクが刑期を半年残して釈放された
以前の軽快さは消えて、引きこもり
ロンドンで仕事を見つけたら家族を呼ぶと言って消息を絶ってしまう



ゲルダは27歳まで独身でいたが、30万の持参金でトムと電撃結婚した
そのゲルダのもとに毎日のようにトロータ少尉が通って、音楽を演奏するようになり噂となる
演奏後に静かになる時間が耐えられず、以前から食欲不振、不眠、めまいなどに苦しむトム

トム:父さんは存外早くいなくなるかもしれないよ お前が代わってやってくれるんだよ!
トムは息子に失望し、希望を捨てる

哲学の本で死に関する章に引きつけられる
死とは幸福 故郷へ、自由な世界へ呼び戻されること
すべてが始めも終わりもなかった
あるのは、無限につづく現在
学校で、教会でそれを教えてもらったことがあったろうか?


トムは泣いて、翌日から本のことを一切忘れ、遺言状を作成する

かかりつけ医から海の空気を吸いに行ったほうがいいと言われて
クリスチアンも同行してトラーヴェミュンデの療養ホテルで2週間滞在する
クリスチアンは窓から飛び降りたくなる衝動について力説する/汗

ギーゼケ参事会員:人生は空疎ですよ
クリスチアン:もう生きていたくないですよ
ゴッシュ:犬に食われてしまえ!
(モンティ・パイソンのスケッチで上流階級の男たちが愚痴を競うのを思い出した

1875年
トムは激しい歯の痛みで眠れず、参事会も途中離席してブレヒト歯科医に来る
(この医師は、患者同様、治療に恐怖を感じてるんだよね・・・/汗

麻酔もそこそこに力技で抜歯して“梃子”で神経4本抜かなきゃならないって地獄!
歯医者から出て、家に帰ろうとして、突然ぶっ倒れるトム

ゲルダ:今まで一度だって塵一つつけていたことのない人が、最後にこんなことになるとは騙し討ちだわ

トーニは兄が今夜もつかどうか分からないと聞いて牧師を呼ぶ
トーニ:苦悩を終わらせたまえ・・・

トムは亡くなる
大勢に死亡通知を書いていて、ハンノも手伝うが、おかしな名前を見つけて爆笑する(大丈夫か?

あちこちから高価な花輪が競うように届き、弔問客は引きも切らずにやって来た

クリスチアンは兄の死後1年経ってハンブルクへ去り、女優のアリーネと結婚
幻想と強迫観念が悪化し、妻と医師により精神病院に入院させられる

ヨハン・ブッデンブローク商会はトムの遺言により、1年で解散する
そのため、在庫や倉庫は売り急がれて換金された

家は7万5000マルクでゴッシュに売られ、ゲルダとハンノは小さな新しいヴィラに引っ越した
以前からお手伝いの域を越した言動でゲルダと対立していたユングマンはクビになって故郷に帰った



15歳になったハンノは日曜に『ローエングリン』を観劇して夢中になり
宿題を1つもやらずに月曜の朝を迎えて絶望する

遅刻寸前に教室に滑り込み、もう一度×をつけられたら落第になるのを怖れつつ
ラテン語の授業で名前のBからあてられた時、前の席の生徒が教科書を見せてくれてなんとか切り抜けたのに
みんなが怖れるウーリケ校長により結局×がついて、復活祭に進級する見込みはなくなる

父が亡くなったのに、後見人のキステンメーカーと牧師が代わる代わる
将来何になるつもりか毎日のように聞いてくるし
音楽もハンパで、有名になるのも怖いしとカイに話す

帰宅し、自分の幻想曲を弾いて、夕食をとり
明日の朝また5時半に起きて宿題をする決心をする
これがヨハン少年の毎日の生活だった



急に「チフス」という病気の恐ろしい説明がつづく



ハンノが亡くなって半年!
ゲルダは嫁に来た時と同じ荷物だけで、アムステルダムの父の元に帰るため
ゼゼミ、トーニに見送られる
ヴィラはゴッシュにより売却される

フリーデリーケ:また会う日があってよ
トーニ:ほんとうにそうだったら!
ゼゼミ:その通りですよ!


***


トムの突然の死にビックリ
代々続いた商会を解体するよう遺言したのは、息子に対する愛情にも感じた
少なくとも「フランバーズ屋敷の人びと」のラッセルみたいに息子を虐待することはなかったし

ハンスの死もまた突然
チフスを調べたら、日本では治療可能な病気と分かってひと安心/汗
その前の章で描かれた学校生活は地獄そのもので
生きながら死んでいたと言えるほど

そして、3冊に渡った長編の終わり方もまた唐突だった/驚



トーマス・マン年譜
妹で女優のカルラ、妹ユーリア、長男クラウスも自殺してるってどうしたんだ?

解説
作品の隅々まで海の風が吹いている

トムが読んでいた本はショッペンハウアーの哲学書で作者も読んだ

本作がイギリス、フランスの若者の心を打ったのは、市民時代の終わりである点
その後は帝国主義か、労働者階級か決定していないが
とにかく19世紀後半から20世紀前半にかけて、市民時代が終わったことは確かである


コメント

ブッデンブローク家の人びと 中 岩波文庫 赤帯 433-2 トーマス・マン/作 岩波書店

2024-11-03 15:05:16 | 
1969年初版 1997年 第27刷 望月市恵/訳

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商会の100周年を祝うお祭り騒ぎは、冒頭の木曜日の集まりと同じく一族の華やかな1ページを飾るが
トムが喧騒の中で死んじゃうんじゃないかってくらい異常な状態

その最中に来た電報の内容は語られないのが気になる
トーニがもってきた青田買いの話が大失敗したのでは?とハラハラする

誰も彼もトムにおんぶに抱っこで
歴史ある大会社がピラミッドの頂点にいる家主1人の肩にかかっているのも異常すぎる

弟クリスチアンが常にどこか患っているのも、家族の中で居場所がなく
商人の家に生まれながら商才がなく、芸術的な趣味を伸ばすこともなく
行き場のないストレスがたまってるからではないかという気がした

頼みの一人息子の継承者ヨハンは、母の影響で音楽に傾倒していく終わり方も商家には暗雲の予感

トーニの結婚はことごとく失敗に終わるし
一族を盛り上げようとする試みも完敗しそうな感じがする

完璧な家名と美貌なのに、なぜこんな人を選ぶ?ってツッコミたくなる
最初から上手くいきそうもない相手ばかり
家と家の結びつき重視の結婚てこんなものなのか?

その反動で娘の結婚生活にどっぷりハマるのもどうかと思うし
他の名作に出てくるヒロインと違って、子どもっぽいところや、感情がつい仕草や言葉に出たり
貴族趣味、地位、権力に弱く、ことごとく裏目に出ちゃう感じが人間臭くて、逆に魅力的


【内容抜粋メモ】(私的なメモ程度なので、間違ってる可能性大/汗

登場人物
ヨハン・ブッテンブローク 問屋商人
アントアネット 妻
コンズル 息子 共同経営者
エリザベート 息子嫁
トーマス 長男 トム
ゲルダ・アーヌルドセン 妻
ヨハン 息子 ハンノ
アントーニエ 長女 トーニ
アーロイス・ペルマネーダ ホップ商人 再婚
エーリカ トーニとグリューンリッヒの娘
ワインシェンク支配人
エリザベート 娘
クリスチアン 次男
クララ 次女
ジーヴァート・ティーブルティウス牧師 クララの夫
クロティルデ ヨハンの甥の娘
イーダ・ユングマン 乳母兼家庭教師
アントン 召使い

マルクス 支配人 共同経営者
ゴットホルト ヨハンの亡き前妻の息子 コンズルの腹違いの兄
レーブレヒト・クレーガー アントアネットの父 当世風の老紳士
ユストゥス 放蕩息子
グリューンリッヒ 代理業



遺言状を公表する日
エリザベートはクララの後見人をユストゥスに頼む
トムは支配人マルクスを共同経営者に向かえる

1856年
クリスチアンは芝居狂で、常に体のどこかが痛んだり、不快だと漏らす
トムは弟を支配人に雇い入れ、最初の数週間は機嫌よく働いていたが
すぐに飽きて、クラブなどに入りびたり、放蕩仲間とたわむれるようになる

ゴットホルト叔父が亡くなる

エリザベートは夫の影響でさらに信仰が強まり
朝夕の礼拝のほか、日曜学校を開き、「エルサレムの夕べ」と称した会で手芸などをするようになり
屋敷には毎日、牧師や怪し気な双子らが訪れ、トーニはあからさまに批判する

トーニ:
主よ、主よって口ぐせのように言ってる人間が必ずしも完全な人間とはいえないわ
たいがいの人間はインチキ師よ

18歳のクララはジーヴァート・ティーブルティウス牧師と結婚

トムはトーニの同級生ゲルダ・アーヌルドセンと結婚する
実家が大金持ちだって自慢してた子で、高慢ちきなトーニを嫌っていた
その持参金は10万ターラー ヴァイオリンを弾く趣味を持つ
新婚夫婦はトーニの見つけたブライテ通りの新居に住む

そして、トーニの初恋相手モルテンはドクトルになった
エーリカはどんどん父グリューンリッヒに似てくる→寄宿学校へ入れる

トーニは毎日が退屈で、再婚して兄の助け、一族の助けになりたいと切望している
ミュンヘンに旅行した際、ペルマネーダというホップ商人と出会い意気投合する

クリスチアンは嚥下障害、呼吸困難を訴え、ティーヴォリという女優の間に子どもまで作ってしまう
あちこちに借金もして、「商人はすべて詐欺師だ」と公言したことでトムがとうとうキレる
父の遺産の5万を渡して、ロンドンで独立することに賛成する

1857年
予想通りペルマネーダが屋敷を訪ねて来て、食事に呼ばれ、すすめられるままに滞在する
トムに向かって「親友、妹さんは素晴らしい“上玉”ですな!」て失礼極まりないな/汗
トムは早速身辺調査して、そこそこ儲けていると分かり、おぜん立てする

トーニはそのうち親戚の前で恥ずかしい思いをさせられるだろうと予測しながらも
散々迷った挙句、働き者に変えてみせると言い放ち、プロポーズに「イエス」と言う
持参金は再婚だから1万7000ターラー



トムは毎朝、理髪師ウェンツェルにヒゲを剃ってもらいながら政治などの話をするのが日課
狭い世界で有名になろうと野心を燃やす

クリスチアンは共同経営者が急死し、一気に商会は行き詰る
クララは酷い頭痛に悩まされやつれていく

トーニはミュンヘンでの暮らしがこれまでとあまりに違って戸惑いまくる
しかも、ペルマネーダはトーニの持参金が入ると会社を辞めてだらだらしてまったくアテが外れる
夫婦の間をとりもつはずの子どもも産まれてすぐに亡くなってしまう
“可哀想なトーニ!”

1859年
トーニはエーリカを連れて実家に帰り、母に泣きつく
ペルマネーダが酔って帰り、可愛い料理女のバベッテと浮気してる場面を見てしまった上に
夫を責めると、とんでもない暴言を浴びせられた

トムは酔った男の失態を笑って済ませば、今後、優位に立てるし
一族のスキャンダルにもならずにすむと説得(そりゃないよ・・・↓
トーニはミュンヘンに帰るつもりはないと断固拒否する

浮気はきっかけの1つで、結婚当初から自分の身分ゆえに冷遇されていて
実家より他で住むことはできないと分かったと明かす

弁護士ギーゼケに相談すると、夫の浮気だけでは離婚できないと言われる(!
トムがペルマネーダに手紙を書くと、意外にもあっさり離婚に同意し、持参金も返してくれた
離婚理由は「当事者間の越えがたい嫌悪」になる(それはありなんだ/驚
最後に、ペルマネーダの暴言は「犬ころに食われろ、売女!」だと分かる

1861年
トムとゲルダに待望の男児が生まれ、名前はヨハン
代父はユストゥスとウーヴァーディーク市長
代々的に洗礼式を行い、イーダとアントンは新居に移る

1862年
ジェームス・メレンドルブは糖尿病を患っていたため、家族から甘いものを食べるなと言われていたが
小さい部屋を借りて、好きなだけケーキなどを食べている時に亡くなった!

代わりの参事会員の座を巡り、37歳のトム、ヘルマンの間で選挙になり、トムが継ぐ

1863年
トムは10万を投じて新居を建てて、一家で引っ越す
向かいの花屋イーウァーセンの妻ってアンナか?!

トム:
『家が建てられると、死神が住まいする』て諺があるね
最後が始まった感じだね

クララが亡くなり、遺書のような手紙が母に届いて
自分の遺産12万マルクを夫にあげてほしいと頼まれて
トムに相談なく譲ったことがバレて激怒するトム

トム:ボクは無視され通しだ!
これも1つのきっかけに過ぎず、参事会員となってからは、妬みも多くストレスがかかっていたから

1867年
エーリカは20歳となり、トーニの事情から社交界と縁なく育ったが
好ましい結婚をして、家名を高めてくれるよう期待され
ワインシェンク支配人と結婚し、トーニは3度目の結婚生活のように世話を焼く

1868年
エーリカは女児エリザベートを出産

トーニはラルフ・フォン・マイボームが借金して3万5000マルクをトムから借りたいと伝える
土地からの収穫物ですぐに返せるという話をトムは断るが、考え抜いて支払うことにする

42歳のトムはすでに疲れきっていて、アントンに暇を出し、家ではひどく倹約していたが
これを初めての大仕事として賭ける



トーニは今年で商会が100周年になると気づいて、大きい祝賀会をやらないとダメだとトムをせかす
トムは次々とやって来る祝い客の相手をし、屋敷には楽団まできて大音量で演奏し
耐えられないほどの暑さなのに、急に雹が降ってカオス!!
電報を読んで「あれっぽちの雹で・・・」と絶句する



教会のオルガン奏者エトムントがピアノを弾き、ゲルダがヴァイオリンを弾く
ゲルダは現代音楽に心酔している
♪愛の死 『トリスタンとイゾルデ』

7歳になったハンノは2人の演奏を真剣に聴いて音楽の才能が目覚める
ゲルダはハンノにピアノを習わせる

1869年
8歳の誕生日を迎えたハンノは、一族の前で自作の幻想曲を披露する
トーニ:いまに第二のモーツァルトになるわよ!



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ブッデンブローク家の人びと ある家族の没落 上 岩波文庫 赤帯 433-1 トーマス・マン/作 岩波書店

2024-11-01 15:07:31 | 
1969年初版 1997年 第31刷 望月市恵/訳

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先日読んだ『フランバーズ屋敷の人びと』がとても気に入ったため
長編の家族小説を探して見つけた
“ファミリー・サガ”“ファミリー・ツリー小説”とかいうのかな?


“ドイツのあるブルジョア家庭の変遷を4代にわたって描く”

冒頭から雪崩のごとく人名が出てきて、何度かくじけそうになるも
ネットで家系図を見つけて、それをチラチラ見ながら読み進めたら
魅力的なヒロインに焦点が当たってきた辺りから引き込まれて一気読み

この時代の結婚は動物と同じだな/汗
ある程度、体裁のいい教育をしたら、ある日突然家族から切り離されて
見ず知らずの男の家に嫁がなきゃならない
そのショックたるや想像を越える

体裁よく奴隷のように売り飛ばしたも同然だ
牧師まで味方に引き込んで、宗教を利用するなんて胸が悪くなる↓↓↓

1830年頃の女性の水着ってどんなだったんだろう?とフシギに思って調べてみた

今のような水着がなかった時代。1900年前後のフランスの海水浴の様子をカラー映像で|カラパイア

ほぼ洋服を着たまま海に入ってたのか/驚
下着も股のあいたステテコみたいなのを履いて、使い捨てだったとかビックリの連続

下着の歴史、19世紀ヴィクトリア朝の驚くべき仕掛け!|日本で唯一!ファッション業界で”稼ぐ”ためのファッション史専門学校

小説だけ読んでると、こうした生の生活部分は見えてこないけれども
現代と比べると、ロマンティックどころじゃない感じ

やたらと発音の違いを強調する文章が多いのもフシギ
日本語にもいろいろ地方ごとの特徴はあるにせよ
身分の差はないから、かなり違和感を感じる


【内容抜粋メモ】(私的なメモ程度なので、間違ってる可能性大/汗

登場人物




ヨハン・ブッテンブローク 問屋商人
アントアネット 妻
コンズル 息子 共同経営者
エリザベート 息子嫁
トーマス 長男 トム
アントーニエ 長女 トーニ
クリスチアン 次男
クララ 次女
クロティルデ ヨハンの甥の娘
イーダ・ユングマン 乳母兼家庭教師
アントン 召使い

ゴットホルト ヨハンの亡き前妻の息子 コンズルの腹違いの兄
レーブレヒト・クレーガー アントアネットの父 当世風の老紳士
ユストゥス 放蕩息子
グリューンリッヒ 代理業
シュワルツコップ 水先案内人の親方
モルテン 息子 医師を目指す



家族、かれらと親交の深い人々が集まる場面から始まる
木曜は1週間おきに一族全員が顔を合わせて食事することになっている
みなフランス語や低地ドイツ語を混ぜて喋っている

アントーニエは8歳
クリスチアン7歳
詩人ホフステーデが詩を披露して盛り上げる

ヨハンは前妻をとても愛していたが、ゴットホルトを産んで亡くなったため
息子を憎み、結婚資金を渡しただけで無視している状態
キリスト教を篤く信仰するコンズルは板挟みに苦しむ

一家はメング通りの家を買って越したばかりの祝いも兼ねている
以前住んでいたラーテンカンプ商会が急激に落ち目になって屋敷を手放すことになった

ごちそうを食べたクリスチアンは腹痛を訴え、お抱え医師ドクトル・グラーボは
どんな症状でも「鳩の肉とフランスパン」を処方する(なぜ食べ物?



2年半後 1838年 クララ誕生
コンズルは細かい日記をつけていて、家族が誰でも読める所に置いている

これまで重い天然痘にかかったり、頭に桶が倒れてきて助かりそうもないと言われたのに助かったり
船から落ちた時も助けられたりで、自分が神に護られていることに何度も感謝する

家訓「わが子よ、昼は仕事に喜びもて励め されど、夜、安らかに眠れるごとき仕事にのみ励め」を守っている

トーニは母の実家クレーガーで一時期暮らし、貴族趣味が移り
高慢ちきで周囲を下に見るクセがつく



引っ越してから6年後
アントアネットが病死
ヨハンもコンズルに経営者の座を譲って亡くなる
この時、商売を縮小し、その後、うまく進まなくなる

16歳になったトーマスはもうコンズルの仕事を手伝いはじめる
クリスチアンは芝居が好きで、女優の楽屋を訪ねたことが噂になる

トーニは寄宿学校に入れられる
校長テレーゼ(ゼゼミ)と姉ケーテルセン夫人(ネリー 未亡人)はその後も親交が続く

トーニは貴族のアルムガルト・フォン・シリングの“フォン”の名前をうらやむ



グリューンリッヒは仕事でコンズルを訪ねて家族に紹介され、トーニ(18歳)に惚れ込む
(もしかして、最初からトーニ目当てだったのかもな

グリューンリッヒがプロポーズしてきたと親から突然言われて泣き出すトーニ

トーニ:
私があの男に何をしたというの!?
あの男のことなにも知らない!

父母はトーニもいずれは一家のために商人の妻になるのだし
帳簿を調べたら急成長している働き者で
ハンブルクで何不自由ない生活が送れるのだと説得する

親がいない時にグリューンリッヒがやって来て、はっきりした返事を聞きたいと迫る
トーニ:誤解です 私、イエスとは言いません!

グリューンリッヒは跪いて哀願し、トーニの同情の言葉をうまいこと受け取って帰る
親は牧師まで仲間にして「汝は父と母を捨てて夫に従うべし」という一節を教会で熱弁する(こわっ!

トーニはすっかり参ってしまい、同情した父母は少し考える時間を与えようと
水先案内人の親方シュワルツコップ老人の家で夏休みを過ごすようすすめる



トムと一緒に海辺の町トラーヴェミュンデにやって来て
医師を目指して帰郷している息子モルテンに会う

海岸には親交のある名家が集っている
メレンドルブ家、ハーゲンシュトレーム家、キステンメーカー家、フリッチュ家・・・

貴族らを軽蔑しているモルテンは、トーニが挨拶している間、石の上で待って交わろうとしない
モルテンと毎日散歩に出かけて、これまで考えたこともない階級社会の話にも興味を持つ

モルテン:
すべての人間が自由で平等
真実は抑圧され、発言は封じられたのです
支配階級の家族集団に属していないぼくたちはあなたから深い溝で隔てられています


夏休みが残り少なくなり、別れを惜しむモルテン
グリューンリッヒについて聞き、トーニはモルテンが好きだと言う
モルテン:ボクがドクトルになる日まで誰にもイエスとおっしゃらないでください!
2人はキスして約束する

グリューンリッヒから婚約指輪が届く
トーニは怒って父に返し、モルテンと約束したと書く
“お金だけが人間を幸福にしてはくれないと思う”

父からの返事はグリューンリッヒにNOの返事をしたら命を投げ出すとまで思い詰めていて
それを断ったら、私の娘とはいえない、と脅すような文句

グリューンリッヒはシュワルツコップにモルテンが2人の間を割こうとしていると話す(卑怯な男だなあ
驚いた父は息子にすぐ学校へ戻るよう言い渡す

泣きながら馬車に乗るトーニ
トム:君の気持ちがよく分かるよ 本当だよ しかし、どうすることができる?

トーニは父の日記を読み、面々と続く一族の系譜を見て使命を感じ
グリューンリッヒと婚約と自ら記す



コンズルは娘の持参金として8万マルクで手を打つ
ハンブルクで住むと思っていたら、郊外のアイムスビュッテルにヴィラを買った

1846年 トーニはグリューンリッヒと結婚
トーニ:さようなら、パパ 私、いい娘だった?



トムは花屋の娘アンナと恋愛関係になっているのを秘密にしていたが
父に言われて遠方アムステルダムに行くことになり別れの挨拶に来る
トム:幸運を祈っているよ 自分を大事にするんだよ!(誰とも付き合うなって遠回しに言ってるのか?

トーニ 女児エーリカ誕生(結婚した年に早くない?

世の中は革命の空気が漂いはじめる
コンズルが議会に行くと、権利を主張する市民に囲まれて出られなくなる
ゴッシュ:民衆は無知です

すっかり暗くなり、レーブレヒトが馬車を呼ぶよう言ったため
コンズルは港湾労働者スモルトと話し、なんとか解散させる

浮浪児が投げた石が馬車に乗るレーブレヒトの胸に当たり
レーブレヒト:下司ども という言葉を最後に亡くなる

1850年
家事で忙しいから乳母を雇ってと頼んでも、言い訳をするグリューンリッヒ
トーニ:だいたい今でも私を愛していらっしゃいますの?!
グリューンリッヒ:お前は私を破産させてしまうよ

銀行家ケッセルマイアーが金の取り立てに来る
喫煙室で大声で話す声を聞くトーニ

ケッセルマイアー:
義父さんにすがるほかないですよ!
あなたは思い切ったことをなさる しかも、それで儲けたことは一度もない



コンズルがグリューンリッヒの泣きの頼みでヴィラに来る
トムが喀血したので、養生のためポーに出発させ
ウェストファリア兄弟商会が破産した煽りを受けたゴタゴタをおさめたら
今度はグリューンリッヒが破産しそうだから大金を貸して欲しいと言われ
トーニの気持ちを尋ねる

トーニ:私、何も分かっていませんの 本当にバカな女ですもの(そう育てられるんだもんね
コンズル:お前は今でも主人を愛しているか?
トーニ:もちろんよ、パパ

トーニが愛情から結婚したのではないことを知っている父は
娘が小さい頃と同じウソをついているのを見て後悔する

グリューンリッヒが破産すると伝え、トーニとエーリカを預かる道もあると伝えると

トーニ:
一度だってあの人を愛したことはないわ 4年間も・・・
私はエーリカを心から愛している あの子とはけして離れません

グリューンリッヒの帳簿を見ると12万ほどの借金がある
無茶な金額を借りまくっていたのに、トーニとの結婚によるブッデンブローク家の信用がものを言っていたことが分かる

コンズル:私はあなたを助けてあげられません
グリューンリッヒ:私たちの罪のない子どもも私と一緒に破滅します!
コンズル:トーニは娘です 罪もなく苦しむのを黙って見てはいません

コンズルの金をあてにしていたケッセルマイアーはぶち切れて全部話す
結婚前にコンズルに見せた帳簿も、その後の調査でまったく問題ない帳簿も全部でまかせで
トーニの持参金は借金返済にあてられていた
ケッセルマイアー:誰に調査をさせた? みんな同じ穴のむじなですよ!

グリューンリッヒはまたもやトーニに跪いて行くなと懇願するが
コンズルはトーニとエーリカにすぐ発つよう言う



トーニとエーリカは実家の3階に住む
グリューンリッヒが破産すると、夫が妻子を扶養する能力がない場合、離婚できるという法律を使って離婚する

トーニ:私、再婚します 立派な結婚をして、汚点を消してしまいますから

クララは12歳
トムはポーから帰る アンナは花屋の息子と結婚した

クレーガー夫人が亡くなり、10万ターラーの大金を相続して
商会はなんとか立て直すことができた

トーニはまた社交の集まりに出る

ひどく暑い日、みんなで散歩しようとして、土砂降りになり
病気がちだったコンズルが急死する




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少年少女学研文庫 小馬のビック ドリス・ゲイツ 学研

2024-10-31 17:18:21 | 
1975年初版 斎藤数衛/訳 武部本一郎/画

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競馬と聞くと、賭け事の胡散臭さがイメージされるけれども
馬主や牧場主、調教師、馬ていなど、馬に関わる昔からの歴史があって
ヒトを育てるのと同じくらいの愛情と熱量で育てていることが伝わる

後半はアメリカに根強くある黒人差別問題も加わり
物語により厚みを持たせている

信じて、行動すれば、望みが叶うって
スピリチュアルの「引き寄せの法則」でもあるな


【内容抜粋メモ】
ブルー・グラス・カントリーで子馬が生まれる
母はジンジャー、父は素晴らしい競走馬ビクトリー号
そのまた父は二度と現れないほどの名馬と言われた戦士号

子馬を世話する少年ポニーは、6か月ほど前スプリング・バレイ牧場にやって来た
貨車に乗り、納屋で寝ていたのを支配人バービーさんが見つけた

ポニーの父は競馬の騎手で落馬して死に、1か月前に母も亡くなり
ビクトリー号がこの牧場にいると知ってやって来たと話すと雇ってくれる

大牧場では、馬に名前をつけるのはとても大事な仕事で
牧場主かその奥さんがつけることになっているが
ポニーは子馬をリトル・ビックと呼ぶ









牧場主と奥さんが牧場を見に来て、グレイ夫人の愛犬がリトル・ビックに吠えるのを見て
ポニーは犬をつまんで夫人に返すと、お礼に100ドルの小切手をあげてと夫に頼み
バービーさんはその代わりに子馬の名前をリトル・ビックにしてくれと頼む



リトル・ビックは1歳になり、ポニーとすっかり仲良くなるが
牧場主は春の競りに出すと決め、5000ドルでレフティに買われ
ジャック・ベイカーに預けられる







競馬を商売にしている人たちは、馬は金儲けの手段にすぎない
ポニーはリトル・ビックとともに雇ってほしいと頼み、調教する

鞍に慣れさせ、背中に人を乗せる稽古をする







ジャック:
騎手になるには大変な経験をつまなきゃだめだ
お前は一流の騎手になれるだろう
草競馬の短距離レースから始めればいい



リトル・ビックは2歳になった
将来有望な若手騎手のバディが乗って初めてのレースに出場したが
頭上をジェット機が飛ぶ音に気をとられて失速し、ビリになる

バディはかっとしてリトル・ビックの頭を激しくムチで打ち罰金となる
ポニーはバディにパンチを喰らわせて、スカッとしたレフティから100ドルもらう
ジャックはもう一度チャンスを与えてほしいと頼む

次のレースでリトル・ビックは騎手に最初からムチで思いきり尻を叩かれて怒り
ロデオのようにふり落として笑いものとなる

レフティはリトル・ビックを見限って、クレイミング・レースで3000ドルで売る
ジョー・ヒルズはリトル・ビックをアリゾナ州へ送り、世話をしたいと言うポニーを断る

こうなったことにも特別な意味があると思い、ポニーは騎手になると決心し
馬の世話でお金を貯めながら、草競馬に出場する







騎手がドタキャンした老人チャーリーの12歳になる老馬サン・フォックスに乗る
出場するのは農家の息子たちで、家族のペットの年取った馬が多い
レースに勝てば50ドルの賞金が出て、騎手は5ドルもらえる

サン・フォックスはどんどん追い抜いて、優勝するが
優勝者席も、新聞社の取材もない

ポニーが勝ち続けることを他の騎手はよく思わず
レースで邪魔をしたため、すごい力で柵にぶつかって落馬し大怪我を負う

2か月入院して骨折は治ったが、馬に乗るのが怖くなる「レース恐怖症」になる

ポニーはリトル・ビックに会いたくて
ハリー・ジョージ牧場まで来てハニーはパンとミルクを与える

ジョー・ヒルズ:
この辺じゃ黒人の騎手は喜ばれねえな
馬の世話なら雇ってもいい









リトル・ビックは3歳になった
ハニーは母代わりになってポニーを世話し、聖書を読む習慣をつける

ジョー・ヒルズの黒人差別のせいで幸せになれないポニー

このまま馬ていでいるか、リトル・ビックに乗る騎手になるか試したくて
夜にこっそり馬を連れだす

ハニー:山で酷い嵐があった かれ谷に巻き込まれると溺れ死ぬから近づくな

いつの間にかかれ谷にいて、キャンプファイヤーしている男女に注意するが笑われる
リトル・ビックが震えだし、鉄砲水が押し寄せてきたと分かり
ポニーはリトル・ビックを走らせて、洪水が来る前にキャンパーに知らせて命を助ける

キャンパーから話を聞いたジョー・ヒルズはポニーをクビにする
ジョー・ヒルズ:お前みたいな奴を刑務所にぶちこむ法律がなくて残念だ

ポニーはヒッチハイクしてサンタ・アニタに行き、牧場主のハリー・ジョージに
リトル・ビックについて熱く語る
ポニー:ボクが乗れば、あの馬はハンディキャップレースにだって勝ちます







翌日、ポニーは試しにサン・アラームという馬に乗り、どろんこのレースで優勝する
ハリー・ジョージはジョー・ヒルズと話して、2人は握手する



ハンディキャップレースには6000人を超える観衆がつめかけて
10万ドルの賞金を巡って、名馬と名騎手らが揃う中
ポニーとリトル・ビックだけ誰にも知られていない

リトル・ビックは見事優勝し、新記録のタイムを出した









ジョー・ヒルズ:
俺は白人はみな黒人より優れていると思い込むよう育てられてきた
体がこんなにデカくなきゃ騎手になっていた
オレはお前と握手したい お前を偉い奴だと思うから

ハリーはリトル・ビックをダービー(アメリカ最高の競馬大会)に出場させると決める
ポニー:リトル・ビックは勝つに決まってる






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海外ミステリーBOX とざされた時間のかなた ロイス・ダンカン/作 評論社

2024-10-30 16:59:39 | 
2010年初版 佐藤見果夢/訳

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不老不死というとヴァンパイアものかと思ったが違った
何百年も若く美しく生き続けたいという女性の執念に驚くとともに
現代はそうしたロマンも受け付けない無味乾燥な時代なのかもしれないなと思った


【内容抜粋メモ】

登場人物
チャック・ロビンス 父 作家
ノア 17歳 娘

リゼット・ベルジュ 父の再婚相手
ゲイブ 長男 17歳
ジョジー 13歳
ルイス 落馬で亡くなった

セリナ ベルジュ家の家事手伝い
デーブ 屋根工事店のアルバイト
チャーリー ベルジュ家で働いていた庭師 セリナの祖父



1年前、母が亡くなり、全寮制の学校に通うノア
作家の父は、リゼットと再婚して、シャドー・グローヴに来るよう誘う

感謝祭のダンスパーティーで一目惚れした
リゼットも未亡人で2人の子どもがいる
父はかれらと仲良くしてほしいと話す

大木の並木の奥に現れた3階建ての屋敷を見て『風と共に去りぬ』みたいだと思うノア
美しいリゼットを見て、悪意と死のイメージが浮かぶが気のせいと思う

リゼット:
バイユー・カントリーと言われる河口地帯には不思議な魔力があって
ここで生まれた人間は、どこへ移っても結局ここに帰ってしまう

角部屋を案内され、昼寝をしていると、亡き母が夢に現れる

母:
今すぐシャドー・グローヴを出て行きなさい
お前とお父さんに重大な危険が迫っている


(スティーブン・キングみたいな冒頭だな



ノアは時間の感覚が鋭く、時計を見なくても大体の時間が分かる

父は大きな屋敷に住みこみの手伝いが必要だと何度もすすめるが
プライバシーを気にして受け付けないリゼット

3人は屋敷を離れていた時期、いろんな大都会を転々としていたと話す
ジョジーが話したサーカスの火事の話は母から聞いて、40年前の話なのにひっかかるが
ジョジーは思春期特有の孤独で誇張した言い方をしているのだと思う

早朝に庭を散策していると、ランニングを日課にしているゲイブが来る
弟のルイスは落馬して亡くなった

昔の奴隷の居住区域の先にはベルジュ家の墓がある

ゲイブが町を案内すると言い張るが、リゼットは留守番するよう強く言いつける
ジョジーは屋根の修繕をしているデーブに夢中

町には映画館が1軒のみ
レストランがディスコになったのを喜ぶジョジー

父に頼まれた地域の歴史の資料を借りて、3人でスーパーに入ると
白髪の女性から話しかけられて、リゼットそっくりの母を知ってるという
リゼットは彼女を避けているのもフシギに思う

帰宅し、暑い日中はシエスタをするよう言われる
隣りのジョジーの部屋でリゼットと話している声が聞こえる
リゼット:ゲイブはあの子に惹かれている ノアは手ごわいわ 時間の感覚に鋭いってこと



屋敷は電話も通じていないのは仕事に不便だとこぼす父

ゲイブは2人に睡眠薬入りの“ぐっすりアニセット”を飲ませて眠らせ
ジョジーと3人でディスコに行って踊る

ゲイブは以前、フェリシテというGFがいた

デーブも来ていてジョジーは大興奮する
デーブはジョージが時々フシギなことを言うと話す

帰り道、ゲイブはデーブとノアに嫉妬し、危険なほどスピードを出してパトカーに捕まり
免許証を切らしていると言って、ノアが運転していたことにしてと頼む



ゲイブは釣りに凝りはじめ、ノアを避けている様子
リゼットがバイユー・カントリーを案内してあげてと言われても先延ばしにする

ジョジーにフェリシテのことを聞くと、だいぶ前に死んだという
デーブがノアをデートに誘いに来るが、ジョジーに気を遣って断る

ジョジーは傷ついて泣き、ノアはもう少しすれば美人になれると慰めるが否定する
ジョジー:いつまで経っても、今と同じままだもん!



リゼットはゲイブとノアのためにピクニックランチを用意する
ゲイブは気が向かない様子でノアをモーターボートに乗せる
ゲイブ:ここには時間が存在しないんだよ

ゲイブは急にノアに駆け落ちしようと誘う

ゲイブ:
誰かを好きになっても失わなければならないのは辛すぎる
フェリシテとは8年間夫婦のように暮らしていたが
年上の男が現れて、彼らは結婚して、僕はシャドー・グローヴに戻った

ノアは父のために誘いを断ると、ボートを急に発進させて沼地に落ち
ゲイブはそのまま行ってしまう

流木につかまって命拾いしたノアは、通りかかった婦人に屋敷までクルマで送ってもらい
父に事情を話すが信じてくれない

リゼットは睡眠薬入りのアニセットを飲ませて、ノアは眠る
ゲイブはボートで頭を打って、ノアが落ちたことに気づかなかったという
ジョジーはリゼットにより眠らされていた

ノアは父を説得する証拠を見つけるためにゲイブの部屋に入り
大昔に撮った家族写真を見つける

セリナの祖父が昔、ベルジュ家の庭師をしていたとデーブが話していたのを思い出す
リゼットはセリナも辞めさせていた

ジョジー:
私の父はママを愛していなかった
ケイジャン娘を愛人にしたとママが知った時はひどく傷ついて気が狂いそうだった

町の電話会社に行って聞くと、リゼットは電話を引く申し込みをしていないことが分かる

デーブに電話して、セリナの祖父チャーリーを訪ねる
ノア:あそこの人たちが私を殺そうとしているの

チャーリーの話から、リゼットは何度も金持ちと結婚しては事故死させて引っ越しを繰り返し
世代が交替するタイミングで10代の子どもと戻ってきていることが分かる
子どもたちは全然成長しないのがフシギだった



ジョジーは夜中にノアの部屋に来て、リゼットの財布から持ち出したお金で逃げて欲しいと頼む
ジョジー:ゲイブと私はママがいないと生きていけない あの人だけが大人なんだから

2人が寝ている部屋に忍び込み、リゼットの財布から鍵束を持ち出す
物置にしている小屋に入ると、たくさんの結婚証明書、死亡証明書、日記も見つかる

日記には、最初の主人と結婚し、ゲイブが生まれた年月日も記してある
30代になり、目にシワができると、主人がケイジャン娘と会っていることに気づいて訪ねる

リゼット:
シャドー・グローヴの所有者は私
私と別れれば、主人はお前にとって価値がなくなる

愛人は若さを保つ魔術を教える代わりに、主人との関係に目をつぶるよう約束させる
女:子どもたちも一緒に儀式を受けたらいい いつまでも今のままで留まるでしょうよ



父は仕事の打ち合わせでニューヨークに発つ
ノアは一緒に行きたいと泣いて頼み、部屋に置いた証拠を突き付けるつもりが
戻るとなくなっている

父:帰ったら話し合おう 精神科医のカウンセリングを受けて一緒に解決しよう

ノアはデーブと映画に行く約束をした18時まで墓の影で身を隠す
鉄の門に南京錠がかかっていて絶望し、物置から証拠の書類を持ち出そうとしてゲイブに会う

ゲイブ:
君が逃げれば、君のお父さんは安全だ
お父さんの遺言には、母と君の名前が書いてある
ママにも悲劇なんだ ジョジーとボクには永遠にママの庇護が必要なんだ

デーブが助けに来てくれるが、銃を構えたリゼットにより小屋に監禁される

ゲイブ:
ルイスは馬をコントロールできないと知ってて死の誘惑に負けたんだ
ママの命令に従うのに嫌気がさしていた

小屋に火をつけられて絶体絶命と思われたが、ジョジーが助け出してくれる
デーブはリゼットとともに車で消防隊を呼びに行った
ジョジー:2人は帰ってこないわ



ゲイブはスピードを出して木に激突し、2人とも即死した
シャドー・グローヴは敷地ごとルイジアナ州が買い上げ、歴史博物館となる

父は未成年のジョジーを預かることにした
ノアは自分が死んでも、自分の家族がずっとジョジーの面倒をみてくれるだろうと想像する



訳者あとがき

ロイス・ダンカン
1934年 フィラデルフィア生まれ
小さい頃から作家志望
『ラストサマー』は映画化されて大ヒットした(!驚
『夜にみちびかれて』
『ホテル・フォー・ドッグズ』

『風と共に去りぬ』の舞台となったジョージア州も、本作の舞台ルイジアナ州も
かつては綿花王国として知られたアメリカ南部

20世紀初頭に、綿花産業の不振で国内で最も貧しい地域となった
2005年ニューオーリンズにハリケーン「カトリーヌ」が襲い
被災者に低所得者が多かったと指摘された

ブードゥー教は、自然や動物の精霊を尊ぶ伝統宗教の一種
ハイチには多くの信者がいるし、発祥地のアフリカ ベナンでは国教で
けして邪悪な宗教ではない

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新・文学の扉 7 床下の古い時計 キット・ピアソン/作 金の星社

2024-10-29 18:51:54 | 
1990年初版 足沢良子/訳 葛西利行/画

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他館に予約した本が届く間に読むつなぎとして借りたけれども
とても素晴らしい物語で一気読み
「新・文学の扉」のほかの本も読んでみたい

近所の図書館にある蔵書は、何度も見ているから
もうめぼしい本は借りてしまったと思っていても
こんな掘り出し物があるなら、まだまだ発掘しがいがあるなあ

母と娘の関係って、難しいよね
でも、過去に飛んで同じ年ごろの母親を見ることができたら
かけ離れているように感じる気持ちも変わるかもしれないな


【内容抜粋メモ】

登場人物
ルツ・ライド 母 ニュースキャスター
ハリス 父 ジャーリスト
パトリシア 娘 12歳
ジョアンナ 父の恋人

ジニー叔母・ダグ叔父
ケリー 12歳
トレボォ
マギィ 6歳
ローズマリー

ロッド叔父(歯医者 ロドニー)・カレン叔母
クリスティ
ブルース

パトリシア・ライド 祖母 パット ナン
アンドリュウ・ライド 祖父
ウィルフレッド 祖父の弟 祖母の元婚約者



パトリシアの母はテレビのニュースキャスター
父と離婚話をするため、パトリシアはいとこのコテージで夏休みを過ごすことになった

初日、湖でカヌーを漕ごうとして落ちてしまい
いとこらにバカにされて無視され、ポティというイヤなあだ名で呼ぶ







ジニー叔母は小さい頃に撮った写真を見せる
仮装パーティーで母ルツだけが鋭い目をして笑っていない



ケリー:
毎日、午後、いっしょに出かけるふりをするのよ
母さんがカウベルを鳴らしたら、ここで会うの

パトリシアは「ラ・プチ」と呼ぶ丸太小屋に来て
床下から古い懐中時計を見つける

「いとしのパトリシアへ ウィルフレッドより 心からの愛をこめて」

と彫られている
パトリシアは祖母の名前でもある











時計のねじを巻くと動きだし、バドミントンコートに
10代の頃のゴードン叔父、ロッド叔父、ルツが来て驚く

ルツは2人の兄にまとわりついてイヤがられている
母からは妹ジニーの面倒を見るよう言われて嫌気がさしている

彼らからパトリシアが見えないと分かってホッとする

ライド氏はパットよりずっと年上で、子どもたちは「サー」をつけて会話している
ルツとロドニーは井戸の水を汲みに来て、パトリシアは冷たい水を飲む

懐中時計が切れると現在に戻るが、時間は経過していなかった
ねじを巻いた時間だけ35年前の過去に戻れることが分かる
パトリシアは時計をベッドのマットレスに隠す

ジニー叔母に祖父の名前を聞くと、アンドリュウで
時計に刻まれたウィルフレッドは弟
パットと婚約していたが、ポリオにかかって亡くなったと知る



次に過去に戻ると、前のつづきが見れる
ロドニーとルツは早朝に起きて、釣りをし、スズキを釣って焼く
パトリシアはたまらず1匹食べてしまい、2人は盗み食いしたと言い争う

両親は子どもたちにインディアン居住地に行くことを禁じている
彼らは不潔で怠惰だと偏見を持っている

ルツはトムからレクリエーション・ホールでやる仮装パーティーに行こうと誘われる
過去の時空で時計のねじを巻こうとしても動かない



みんなでピクニックに行く
ケリーは親に州立公園に行くとウソをついて、インディアン居住地に行き
ポール老人と挨拶を交わす

クリスティ:父さんはインディアンが好きじゃないのよ

ケリー:
あの人たちも同じ人間よ
白人があの人たちに酷いことをやってきたんじゃない

みんなで釣りをし、パトリシアがスズキを釣って
さばき方まで知っているのを見てケリーは感心する









ケリーは馬を借りて、パトリシアに大人しい馬だと言う
パトリシアはケリーを信じて乗ったのに、全速力で走り出して死にそうな思いをする
ケリーは馬が妊娠していたのを知らなかったと謝るが、パトリシアの気持ちは戻らない









過去にも同じ懐中時計が存在していて驚く

ゴードンは手製の天体望遠鏡から星空を見て、さそり座などを説明する
アンドリュウは子どもたちに将来の夢を聞く
アンドリュウ:もちろん、ルツとジニーにはいい結婚をして、大勢孫が欲しいよ

祖母ナンが来ると叔母に言われて、パトリシアは時計を返したくないと思う
ラ・プチに泊まるため、慌てて屋根裏部屋の靴箱の中に時計を隠す

ナンは過去の時代よりずっと支配的で頑固になっていた







ケリー:
トレボォはおばあさんのお気に入り 私のことは好きじゃない
私を見てるとルツを思い出すって言ってた

ナン:母親が働くことに反対したら、大変な言い争いになった
ナンはパトリシアから両親のことを聞きだそうとする

懐中時計の話になり、不注意でなくしてしまったと話す
ルツの離婚の話はみんなに内緒のはずが、みんなの前で話し出したため

パトリシア:私、おばあさん、大嫌い!

ケリーたちは事情を知って、パトリシアに同情し、気を遣う
パトリシアはなぜ過去の世界で時計が紛失したのか謎を解こうと思う



ゴードンとロドニーはソープ姉妹、トムらとインディアン居住地に行き
ルツもついて行く

聖ステファン教会収容所に水ばくだんを投げ入れるイタズラをして
逃げ遅れたルツが捕まり、ナンは怒り狂う

ナン:あなたは自分に魅力があるからなにもかもうまくいくっていつも思ってるんですよ!
ルツはその週、ずっと家の中に閉じこめられた



仮装パーティーの日、ナンは家族で服を交換するアイデアを思いつく
ゴードンはジニー、ルツはロドニー、ナンは夫の服を着てスナップ写真を撮った
ナンはチョッキに例の懐中時計をさげる

レクリエーション・ホールに行き、ダンスしたり、ごちそうを食べたり
ゴードンらは抜け出してメイン・ビーチでたき火をして酒を飲んだり、タバコを吸う

ホールに戻ると、ジニーが腹痛をおこして親が連れて帰った
兄たちはパーティーに行き、トムがルツを家まで送る

この時、ナンは時計を落として、トムが拾ってルツに渡した
トムはルツが好きだと告白してキスする
ルツは母を困らせるため、時計をラ・プチの床下に隠す

その後、どうなったか知りたいのに、現在に戻され、時計は壊れてしまった



パトリシアはケリーらと仲良くなり、砦を完成させ、いかだを作る







ブルースが斧で足を切ってしまい、ジニー叔母らが病院に連れて行く

ローズマリーがひどく泣いて、きょうだいはお手上げだが
パトリシアはお風呂に入れて泣き止ませ、みんなの夕飯も作って尊敬を集める



夏休みはあと2週間
ルツがパトリシアに会うため、久しぶりに仕事をを休んでコテージに来る
お化粧して、自信に満ちたルツは、少女時代とは全然違って見える

ルツ:
パトリシアがお父さんに会いたい時はいつでも会える
今は別居だけど、いつかは離婚になる
お父さんとジョアンナはあなたを引き取りたいと言っている
10月からロンドンのBBCで仕事がある
月末までに決めるんですよ

お母さんは、いつも大事な問題は私に任せてしまう

父からの手紙には「選択するのは君」と書いてある
父とジョアンナが結婚した時、私は邪魔にならないだろうか?

パトリシアは父と暮らすとルツに話す



ジニー叔母が例の写真をルツに見せると、仮装パーティーも時計も覚えてないと言う
ルツ:お母さんがカルガリーを訪ねるよう言ってるから、私たち、明日発つわ

パトリシア:
なぜ急に発たなきゃならないの
ダーリンて呼ばれるのも大嫌い!
私のことを分かってない 私とは暮らしたくないからよ

パトリシアは母が泣くのを初めて見る

ルツ:
お母さんはあなたと暮らしたい
あなたは世界中で一番、特別な子よ

パトリシアは母と暮らす決心をする









パトリシアはルツに懐中時計を床下から見つけたと話す

ルツ:
お母さんは私に、いい結婚をする善良なレディを押し付けようとしていた
ありのままの私は受け入れてくれなかった
あなたにも同じことをしていた
床下に隠して、その後話すはずだったけど、父が床を張ってしまって取り出せなかった
ナンにもみんなにも話しましょう

時には、過去を忘れることがいいことかもしれない
いや、過去を受け入れて、進んでいくのだ


パトリシアは湖にさよならを言い、初めてアビを見た
アビの鳴き声は時代を超越していた










訳者あとがき
本書の原題は『A Handful of Time』

キット・ピアソン
1947年 カナダのエドモントン生まれ
大学で児童文学を学び、子どものための図書館員として働き
本書は第二作目にあたる


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ジュニア世界の文学1 若い日の苦しみ リーゼ・ガスト 学研

2024-10-27 16:43:18 | 
1970年初版 小川超/訳 矢吹申彦/ケース・イラスト

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

思春期のもどかしさ、誰にも理解されない孤独な心情や
初恋の燃え上がるような興奮と、相手の言動にどうしようもなく振り回されて
意味もなく泣きたくなる気持ちなどなど、いちいち共感しながら読んだ

日記という形態だから、いろんな気持ちや事象を衝動にまかせて書き殴った感じで
時に支離滅裂だったり、急に大人びた表現を使っていたりして
意味がうまく読み取れない部分も多かった


【内容抜粋メモ】

登場人物
父 母の再婚相手
アクセル 父の亡き前妻の息子
母 ハイディー
ギーザ ハイディーの娘 18歳
ベルベル 学校の隣りの席の子
セバスチアン
ヒルパート 傷痍軍人
シビレおばさん ハイディーの古い友



事の起こりは、ギーザがアクセルのカバンを借りて、プールに行き
カバンを盗まれたことから始まる

その3日前、プールで感じのいい青年に会い
また会えるかと期待したがそんな偶然はなし

ギーザの母は高校教師で、父とは再婚同士
父の息子アクセルと同居していて、19時半の門限とか
古いルールにウンザリしている

アクセルは新品同様のカバンを買って返せと言い
母に相談しようにも、学校や家事で話し合う時間がない

隣りの席のベルベルに話すと、新聞の求人広告でバイトを見つければいいと教えられ
足が不自由な傷痍軍人ヒルパートさんの家の掃除をするバイトを始める
ヒルパートさんは画家で、しばらく通ううちにギーザを描きたいと言われてモデルになる

ベルベルの家に遊びに行くと、母親は子どもと一緒に話したり、遊んだりして
自分の両親、家庭と真逆で羨ましく思う



大学生から『限界状況下の若い世代』の講演を聞こうと誘われて行くと
プールで見かけた青年セバスチアンがいて、ハスキーな声に惹かれる(分かるな

それからギーザの生活は一変し、セバスチアン中心となる
ヒルパートさんはギーザの変化にいち早く気づく

アクセルに誘われた少年合唱団でもセバスチアンと会い、電話番号を教えた



ギーザ:私、家がイヤでたまらないの

アクセルはバカにしたような古い歌をうたって2人で盛り上がる

セバスチアンから電話がかかり、競馬場で夕食をとるデートに誘われる

ギーザは勉強に身が入らず、歴史の授業でカンニングしたのがバレて落第する

大人なんてなにも分かってない
子どもは黙っていても母親に分かってもらえるはずと無意識に思っていた
母親は察してくれると本に書いてあるが、現実は似ても似つかない

ヒルパート:
大事なのは、力いっぱい打ち込むことだ
人間なにかをやる時は火の玉になって燃え立つことだ(岡本太郎さんみたいだな

セバスチアンの心を勝ちとろう 私の中の熱い炎で
大人になるまで待ちなさい、という決まり文句はもう飽き飽きした



アクセルがガーデンパーティーに誘う
客が余興を披露して、教授が審査して賞をもらうから
2人で例の歌をうたおうということになる

アクセルはギーザに白いドレスまで新調してくれた
2人の歌は大喝采を送られ、ギーザはたくさんの男性と踊った
セバスチアンもギーザの新たな一面に驚いて褒めてくれて有頂天になる



夏休み
父とハイディーは旅行の予約をしていたが、ハイディーが病気になる
ギーザは祖父母の家に行く予定だったが、母の看病を口実に
セバスチアンと会えるのを楽しみにして
母の病気を喜んだことに罪悪感を感じる

なのに、セバスチアンと会えるのは週に1回か2回
次に会う日も決めずに別れるのも不安をかきたてられる
(分かる! 相手の都合に合わせすぎると消耗するよね

ハイディーは亡き実父の生命保険が下りて、ギーザの教育費としてまとまった金額を渡す
貯金通帳をつくり、ギーザを信用して自分で管理するよう言う

ギーザは部屋にカギをかける引き出しもないのを前から不満に思っているが
「18くらいの時は隠しごとはないほうがいい」という父の意見に押されている

ハイディーはギーザに親友のシビレおばさんの所に行ってはどうかとすすめる
セバスチアンは郷里へ帰るのにお金がないと愚痴り
ギーザはハイディーからもらった10マルクを貸す

セバスチアンに絵のモデルをしたと話すと、観たいと言うのでヒルパートさんの家に一緒に行く
絵の中のギーザはアマゾンのように大胆で、勇気にあふれている
セバスチアンは心の底から感心した様子

ヒルパート:人生はとても素晴らしいんだよ 本当なんだ!

ギーザはヒルパートさんといる時のほうが素の自分でいられて楽しかった
クラスの友だちも、母の前ですら“いい子に見せたい”と思って肩ひじ張って疲れてしまう
初めて踏み込んだ質問をして、一度結婚して、男の子がいると分かる



シビレおばさんは美人じゃないが、とても魅力的
バルテルス夫人も気に入る
診察室はいつも満杯で、シビレおばさんの婚約者“たわしさん”もいる

バルテルス夫人:
祈りには2種類しかない
1つは賞賛と感謝、もう1つは力をお願いするお祈り
「主なる神よ 汝が課したもうものに耐える力をお与えください」

シビレおばさん:私の宗教は人のために働くこと

ギーザは結婚して、男の子を持ちたいと思う

シビレおばさん:
自分の器量が悪いのをハンディキャップだと思っていた
でも、人間の価値は別のところにあると分かった

あっという間に滞在の10日間が過ぎる
恋がなくても幸福は存在するのだ 恋をしているとそれが分からない



ギーザはみんなが知らない間に体力章をとろうと頑張る

セバスチアンと喫茶店で会い、父とけんかしたと話す
ギーザ:ここを出る?
セバスチアン:そうだ 飛び出そう ましなことをやろう!



セバスチアンが2、300ほど金を貸して欲しいと言う
ギーザは迷いつつ、セバスチアンの力になりたいと思い、貯金通帳から下ろして渡す
(だから、相手が友だちでも恋人でもお金の貸し借りはトラブルにしかならんて/汗

全的な人がうらやましい
100%善良、100%不良になれる人が
私はなんでも中途半端だ

(これもよく感じるけど、自分以外になろうとすること自体違うんだよね

ハイディーの引き出しに睡眠薬を見つけて、ポケットにしまう

セバスチアンからなにも連絡がなく、不安な日々が過ぎる
誰にも相談できず、泣き暮らすギーザ
幼児か、生まれる前に戻りたいと考える

手紙を書いて問いただすと、長い返事が返ってきた

セバスチアンは28歳で、4年前に婚約した
婚約者の父のなさけで大学で勉強することになったが、法科は合わない

追い込まれていた時にギーザに会い、勇気、実行力、自由に生きる姿に感銘を受けた
友人がスペインに行こうと誘ってくれて、借りたお金で旅をしている

写真を送るから、新聞社に売って、半々にしよう
婚約は解消するつもりだ
(売れるかどうかも分からん写真をGFに売ってもらうってズルすぎる

ヒルパート氏は君を愛しているが、君には歳をとりすぎている


セバスチアンは一度も自分を愛してくれたことなどないと分かり
婚約者がいるのにキスしたりデートに誘ったのはどうしてだ!?と頭が混乱し
ギーザはヒルパートさんを訪ねる

ベッドを借りて寝て起きると、シビレおばさんが来ている
2人はギーザの日記を読んで事情を知る

シビレおばさん:
あなたは本物の恋をした 全的に
これは素晴らしい体験だ
大事なのは、あなたが彼を愛したということ
とにかく、力いっぱい生きること

相手は自分の都合だけで勝手に縁組を破棄するような男
仕事についてもすぐ辞めてしまうし
自分を「要求ばかりで行動のエネルギーを持たない」と言って
それを不敵と思って得意がってる

どんなに愛情や理解があっても、母親と話し合えるのは娘自身も子どもを持ってから
その自然法則は認めるより仕方ない

あなたのような体験をした人は、自分の子どもに今何が起きているか
いち早く気づくと思う

“明日の母親”は、夫と並んで、子どもたちの後ろに壁のように立ち
人生に飛び立とうとする時、背後を守ってあげられるでしょう

私の貯金からハイディーに返すから
診察室の助手になって、月賦で払って

アクセルはあなたが好き
ヒルパートさんの足は思ってるより悪いから医師に見せること
正式にお世話すること

両親とかけあって、ギーザの部屋にカギをかけられるよう交渉した
お父さんは「子どもらが30分早く起きてくれれば家族で話ができるのに」と言っていた



あとがき

リーゼ・ガスト
西ドイツの家庭小説・少女小説の作家として知られる
夫は戦死、8人の子どもを育てながら小説を書いた

『若い母ランディー』
『海辺のポニー』
『ポニーとわたしたち』
『山の家の少女』
など

「犬と子どものしつけは世界一」と言われるドイツの家庭で
当人は深刻に苦しんでいるのに、大人たちには鼻であしらわれる孤独感などが描かれる

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ジュニア・ベスト・ノベルズ 12 恐怖の地すべり ベロニク・デイ/作 岩崎書店

2024-10-26 21:00:22 | 
1973年初版 1975年 第3刷 三橋宣子/訳 織茂恭子/画

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タイトルからして私のニガテな状況で後回しにしていたけれども
ストーリーに引き込まれて一気読みした

地すべりの土砂に埋もれて、電気も通わない真っ暗な部屋で過ごすって息苦しすぎる↓↓↓
5人の子どもたちが、励まし合いながら生き抜く姿が逞しい

そして、ヒトの便利な暮らしのために丸裸になった山が
雨風にさらされると災害が起きやすいという自然保護の観点も重要だ


【内容抜粋メモ】

登場人物
コルソン家
ローラン 14歳
ベルティーユ 妹
ダニエル 弟 6歳

ベロニク 友 14歳
アレクシス ベロニクの弟 6歳
ノーティエ 兄妹 発明家



父は部屋で過ごすのが好きなローランを食べる時しか顔を出さないカタツムリに例えて
子どもたちだけでグンターさんのホテルで冬休みを過ごして
弟や妹たちの面倒をみる責任者となるよう言い聞かせる

グンターさんのホテルにいたのはたったの2日
ベルティーユはローランとケンカして、家に帰ると言ったため駅まで来たが
仲直りして、ホテルに戻る途中、発明家ノーティエさんの家に寄るが
兄妹は村の住まいへ行っていない










それを知らない子どもたちは、しばらく待っていて、そのまま眠ってしまう

3週間もぶっ通しで雨が降った後で、丸裸の山が地すべりを起こし
鉄道も道も、ノーティエ家も埋めてしまう

酷い吐き気がしてローランが起きると停電で真っ暗
ストーブが有毒ガスを出して、ムクドリのフリケは死んでいる









子どもたちは皆無事だったが、ドアを開けると土砂が入ってくる
台所には木が入りこんで、ようやく地すべりが起きたと知る

リュックに食べ物をたくさん詰めてもらったため、サンドイッチを食べる

家畜小屋の2階が落ちて、ヤギが鳴いている
ローランは父からもらった古いライターで火花を出した灯りだけを頼りに
なんとかヤギを2頭連れて来る

ベルティーユ:私たちがここにいることを誰も知らないわ
ローラン:便りがなければ、2、3日でパパやママが心配すると思うよ

ベルティーユは郵便局にいた女の子に頼んで
まとめて書いた絵葉書を毎日1枚ずつ出してくれと頼んだことを話して泣く
帰る予定の1月5日まで、あと8日もある







時間の見当もつかないため、カッコウ時計を持ってくる
ヤギが空腹で鳴くため、干し草を取りに行き
ローランは穴に落ちて、左腕を深く切ってしまうが
弟たちを心配させないために、傷を隠す

食器棚を探すと、砂糖やぶどう酒などが置いてある
ちびヤギからは乳がとれ、ベルティーユは乳しぼりができる
あるだけの食糧を10日間で割って、1人あたりにするととても少ないと分かる









ベルティーユは夕飯に食べるはずのバナナを昼に食べてしまう
ローランは父から責任者に決められたのだから、自分の言うことを聞かなきゃダメだと話すが
怒ったベルティーユは暗闇に隠れてしまう

地下室に水がたまっていて、ベルティーユが落ちて助けを求める
服や下着が濡れてしまっても乾かすこともできない









大事なパンやリンゴがネズミにかじられ、ペストに感染するのを怖れて
かじられた部分を切り取らねばならない








コルソン夫人は、ショウコウ熱が流行り、冬休みが1週間延びたと手紙を書く



ベロニクは退屈した下の子たちのために『ロビンソン・クルーソー』の話を聞かせる

子ヤギが2頭生まれて、ダニエルとアレクシスは夢中になる
ちびヤギは鎖で初めてつながれたのをイヤがって逃げ、地下室の水に落ちてしまう
かあさんヤギの初乳は不味くて飲めない









食料が尽きたら、子ヤギを殺すしかないと話し合うローランとベロニク
(生肉を食べるつもりだったのかな/汗

窓の土が落ちて、西日が入って、感動する子どもたち
互いに見ると、髪の毛はくしゃくしゃ、部屋も体も汚れ放題と分かる

天井に見事なハムが下がり、暖炉の上にはロウソクと石油ランプ、マッチがあって喜ぶ
窓の外は雪で銀世界 コップに雪をすくえば水問題も解決した









ローランの傷は痛みを増し、熱も出て、干し草を持って来る仕事などを
ベルティーユに頼むと、なぜ兄がやらないのかと不満をもつ








道路が雪に埋もれている間は、モンピエールから誰も来ないだろう
窓の外は崖で、谷底の川までは30mほどある

運動に自信のあるベロニクはシーツを割いてロープをつくり
体に巻いて、谷底まで降りると言い張るが、川は水かさが増し
土砂が崩れそうになって止められる









ローランは鏡で反対の斜面に光のモールス信号を送るアイデアを思いつく
ベルティーユは学校で教わった符号をなんとか思い出し
“SOS たすけて 地すべり ノーティエの家 とじこめられている”と送る

ローランは人が来たら火薬を破裂させるよう提案する



足を捻挫して学校を休んでいたジャン・ルイは
山の斜面に定期的に光が点滅するのを見てフシギに思い
モールス信号の本を弟に借りてきてもらう








モロー先生に光の点滅が4日連続あることを話して
2人でモールス信号を黒板に書くとノーティエになって
ノーティエ氏の発明の1つだろうと推測するが、ノーティエ氏は否定する

2人でふたたびアルファベットを入れ替えて試すと、SOSの意味が分かって救助隊を呼ぶ



コルソン夫人は筆無精のベルティーユが毎日きちんと絵葉書をよこすのに
ローランからは1通も来ないのをフシギに思い、グンターさんに手紙を書くと
12月28日にホテルを出てパリに帰ったと返事が来て、夫婦は慌ててホテルに向かう

村の青年が村長に言われて山からノーティエ家を見るが窓からは誰も見えない
ジャン・ルイ:あそこに人が絶対いるんです

2人が帰ろうとすると、爆発音がして驚く

アスピリンを飲んでなんとかしのいでいたローランは、もう限界
2人が通りかかったのを見て、火薬を爆発させた

コルソン夫妻が村に着き、少女がベルティーユに頼まれて絵葉書を出していたと話す







5人の子どもたちは救助隊に助けられ、ローランは病院に運ばれて治療を受ける
旅館の女将さんがごちそうを作って子どもたちにふるまう









ダニエルは種をまいて森をつくる夢を見る
地面をしっかりくいとめるための森だった




あとがき
本書の原題は『やみの中のロビンソンたち』

ベロニク・デイ
本名はマルセル・プティ
10人の子どもを持つ女性作家

彼女の子どもたちをモデルにした“イザベルシリーズ”で知られる
『イザベルのバカンス』
『イザベルと巨人たち』
『イザベルところがる家』
『SOSイザベル』







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ジュニア世界の文学2 草原の歌 Aitmatov Chingiz 学研

2024-10-25 13:47:19 | 
1970年初版 佐野朝子/訳 矢吹申彦/ケース・イラスト

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ロシアの小説はベースの社会や環境が厳しすぎて息が詰まる

【内容抜粋メモ】

■ジャミリャー
戦争が始まって3年目
15歳の少年たちは集団農場で働いていた

小さな家の主人が亡くなり
回教徒のしきたりで、父と結婚

母は2つの家の絶対的支配者
母:女の幸福は子どもを産むことと、家が豊かであることだよ

班長オロズマートは戦争に行ってる兄サドゥィクの嫁ジャミリャーに
穀物袋を馬車で駅に運ぶ仕事を頼む
セーイトとダニヤールはジャミリャーを守るよう言いつかる
ジャミリャーは快活で無邪気で美しい

ダニヤールは最近クルクレウ村にやって来た負傷兵
小さい時にみなしごになり、いろいろな地方を放浪した
無口で1人でいることが多く、みんなは彼を笑いものにした

ジャミリャーとセーイトはからかって
ダニヤールに100kgを超える袋を運ばせる
帰り道、ジャミリャーが歌い、ダニヤールにも歌わせると2人は感動する

セーイトも自己表現したい渇望を覚え
子どもの頃から好きだった絵を描きはじめる

ジャミリャーとダニヤールが寄り添い合って馬車に乗る様子も描き
ジャミリャーがその絵が欲しいというのであげる

帰還兵がサドゥィクは2か月ほどで帰ってくると教える
ジャミリャー:あの人は一度も私を愛してくれなかった

ジャミリャーとダニヤールは駆け落ちする
セーイトはジャミリャーを愛していたことに突然気づく

サドゥィクが帰り、セーイトが描いた2人の絵を見て「裏切り者」と責める
セーイトは絵の勉強をするために家を出る



■最初の先生
クルクレウ村に2本のポプラがたつ丘は「ヂュイシェンの学校」と呼ばれている
昔、学校があって、ヂュイシェンが教えていたが
彼自身あまり学がなかったのだと笑う村人たち

新しい学校の開校式に、私と学士院会員のスライマーノヴナ女史もゲストに呼ばれて
アルトゥィナーイ・スライマーノヴナはみんなから大歓迎される

ヂュイシェンも同席するよう言われるが郵便配達があるからと断る
戦争から帰った際「死にに帰ってきた」と言っていた

アルトゥィナーイは数日滞在する予定だったのに、急用があるからと汽車に乗って帰る
後日、私に彼女から長い告白の手紙が来て、すぐに発った理由が書かれている

14歳の頃、亡き父のいとこの家に引き取られていた
母も亡く、叔母はアルトゥィナーイに辛く当たる

ヂュイシェンは村に学校を開いて教えたいから、丘の馬小屋を使いたいと提案するが
代々百姓の村人は学問など必要ないと反対する

ヂュイシェン:
私たちは貧乏で無知でした
でもソビエト政権は私たちに読んだり書いたりするよう望んでいるのです

馬糞を集めていたアルトゥィナーイに勉強したいかと聞き
ほかの子どもたちも学校に連れて来てくれないかと頼むヂュイシェン

先生に馬糞を分けて、また探しに行くが袋の半分しか集まらず叔母に叱られる
叔母:学校なんかに近づいたら、足をへし折ってやるからね!

ヂュイシェンは農家を1軒ずつ回って子どもたちを学校まで連れて来る
擦り切れたレーニンの肖像画を見せて熱く語り
知っているすべてを文盲の子どもたちに忍耐強く教えた

村人たちが橋を造る手伝いもしなかったため
切るように冷たい川を渡る子どもたちをおぶって渡らせる
ヂュイシェン:君は才能がある

レーニンが亡くなった日、ヂュイシェンは子どもたちと一緒に喪に服す

ヂュイシェンが入党するため町に3日行っている間
アルトゥィナーイは仕事も手につかず、サイカルばあさんの家に泊まるよう言われる
そこはヂュイシェンが厄介になっていた
ヂュイシェンは生徒との約束を守るために飢えたオオカミに襲われ、老馬が身代わりに食われた

ある日、叔母はアルトゥィナーイを赤ら顔の太った男の第二の妻にする

ヂュイシェンは丘に2本のポプラを植えて
アルトゥィナーイが町で勉強できるようにすると約束する

赤ら顔の男が2人の男と学校に来て、アルトゥィナーイを連れて行く
叔母:こいつはあの娘ととうにデキてたんだよ あの雌犬をタダでたぶらかしてたんだ!
ヂュイシェンは止めようとして、殴られ、骨を折られる

気づくとテントの中にいたアルトゥィナーイ
15歳でトコール(第二の妻)にされ、テントに監禁される

ヂュイシェンが民警を連れて来て、赤ら顔の男を捕まえる
ヂュイシェン:お前の時代は過ぎ去って、彼女の時代がやってきたんだ!

アルトゥィナーイを守りきれなかったことを謝り
川で体を洗って、すべてきれいさっぱり忘れるよう言う

町に行く汽車に乗り、ヂュイシェンが名前を呼ぶ声が今でも忘れられない
私の初恋よ、さようなら

戦争が始まり、疎開に行く途中、2本のポプラがたっているのを見る
学校はなくなっていた

大学に出張に行った際、鉄道用の小旗を振っている男をヂュイシェンと間違える
客:可哀想に夫か兄弟かと思ったんだよ

アルトゥィナーイは結婚し、子どもを産み、哲学博士となった
ヂュイシェンの生徒の多くは戦死した

新しい学校を「ヂュイシェン学校」と名付けるよう提案したいと手紙に書いてある



■ラクダの瞳
ケメリはトラクターの運転を学ぶためにアナルハイの処女地開拓にやって来たが
すでに助手がいたため、水くみ係となり、アバキルに「学者先生」と呼ばれてバカにされる

歴史のアルヂヤーロフ先生がアナルハイのヨモギ草原の素晴らしさを何度も吹き込んだため
この地に来たのに、毎日アバキルにののしられることにウンザリするケメリ

母はケメリを医者にしたかったのを反対して家を出たから、帰るわけにもいかない
助手のカリーパはケメリをかばってくれる
誰も自分を非難できないよう夢中になって働こう

泉のそばに子羊を連れた少女がきて、泉の名を聞くので「ラクダの瞳」と教えるケメリ
アルヂヤーロフ先生を知っていて気が合う

サローキンはみんなを集めて、ケメリは水はこび係はイヤだと言うと
カリーパが仕事を替わってくれ、すきの上に乗る仕事になる

少女は畑にやって来て、アバキルはケメリにトラクターの乗り方を教えて
自分は少女を口説きに行き、羊飼いの少女は来なくなる

カリーパはアバキルの子どもを身ごもり、捨てられる

土から金が出てきて、昔、遊牧民がいた証拠だとアバキルに見せる
アバキルは具合が悪いとウソをついて、金を持ってアナルハイから去る

カリーパ:
よく働く人だと思った
優しく愛せば、あの人の悪意はなくせると思った
でも昔の彼のまま行ってしまった!

ケメリは全部の責任を持つことになり、この荒れた地に
素晴らしいアナルハイの国が必ずできると羊飼いの少女に信じてもらいたいと願う

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