1995年初版 堀内紅子・松本徹/訳 茂田井武/ジャケット・イラストレーション
「家庭小説」のくくりで借りてみたけれども、違ったか?
作者が10歳の頃を思い出して書いた物語
章のイラストはフランスの住所を表すプレート
当時のパリを知ってる人が読んだら懐かしいだろうけど
そうでなければ、ただひたすら延々と雑多な人たちが出てきては動いて、話している文章が続いて
主人公の少年のストーリーがさっぱり進まないのにイライラした
そのうち、登場人物たちが頭の中で固定すると
今度は、その人たちと別れるのが途端に辛くなるからフシギ
オリヴィエが無邪気な少年だから好かれることもあるし
それだけ繊細だから余計辛い思いもしたことだろう
【内容抜粋メモ】
登場人物
ピエール・シャトーヌフ 父
ヴィルジニー 母
オリヴィエ 息子 10歳
アルベルティーヌ 面倒見のいい女性
ジャン ヴィルジニーのいとこ 印刷機の操作係
エロディー ジャンの妻
クモ男 身体が不自由な男 ダニエル
リュシアン 吃音 ラジオを聴くのが好き 妻は肺病 子どもが1人
マック 不良青年
ブーグラ 硬貨を加工して指輪を作る 老いたアナーキスト
ルルー、カプドヴェール 小学校の同級生
ガストゥネ 元軍曹 戦争の手柄話が大好き
マドレーヌ マド マヌカン 以前はタクシーガールをしていた
パパ夫人 孫が唯一の自慢
グロマラール 管理人
父は5年前に亡くなり、オリヴィエと母ヴィルジニーは
ラバ通りの小間物屋をして仲良く暮らしていた
30歳のヴィルジニーは若く美しく、たまに恋人が訪ねて来るために、親戚からは非難されていた
ある朝、ヴィルジニーが起きなくてフシギに思っていると、亡くなっていた
その日からオリヴィエは学校を休み、母のいとこジャンと妻エロディーの家に世話になる
何度も「親族会議」が開かれ、金持ちの伯父夫婦に引き取られるまで
毎日、モンマルトルの通りをうろつき歩く
映画が子どもの小遣い程度で観れるっていいなあ!
ローレル&ハーディ、チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド・・・
(マルクス・ブラザーズは?
オリヴィエは母が亡くなってから暗闇を怖れるようになり
いつもマッチ箱をポケットにしのばせている
映画で観た焚書のシーンがショッキングで
落ちていた紙に火をつけてボヤ騒ぎを起こし
ブーグラがかばってくれる
ブーグラ:
元気を出すんだ あんなのは大したことじゃない
そもそも大したことなんて何もありゃしないのさ!
リックとラックという犬を飼ってる美しいマドは
ちょくちょくオリヴィエを誘って散歩したり、カフェでおごってくれる
(リギッテ・ヘルムにそっくりとあって、調べたら映画『メトロポリス』の女優だった
不良のマックは学友にいじめられているオリヴィエを見て
ボクシングを教えてくれる
マック:
世間ってなジャングルだ しぶとい奴が生き残り、ヤワな奴は潰される
親父は飲んだくれ、おふくろは家出 だがこのマックは最高のタフガイだぜ!
ラバ通りのどんづまりの住人は、いろんな所から集まった人たちだった
スペイン人、イタリア人、アラブ人、ユダヤ人、ポーランド人、白系ロシア人、、、
ジャンは印刷所の仕事が減り、撮影所でエキストラをしたりして食いつなぐ
エロディーはヴァカンスのために貯めていた貯金も崩さなければならなくなる
ブーグラも酒や食べ物に困るといろんな仕事をした
サンドイッチマン、高級住宅の床磨き、、、
ブーグラ:今に分かる どんなことがあったって、人生ってのはいいもんだ
“生きてくって、なんて楽しいんだろう! なんて寂しいんだろう!”
*
いつからか、クモ男が通りから消えたのに、誰も気にかけない
アパートを訪ねると、管理人はダニエルは大声で叫びだして、病院に運ばれて行ったと話し
ダニエルが持っていた難しい本をオリヴィエにあげる
ヴィルジニーは、オリヴィエにとって母であり、恋人であり、姉であり、娘であり
乾いたすすり泣きと湿った涙だった
ヴィルジニーが死んでから、他へ出ていけない場所、閉ざされた空間は
すべてが棺桶みたいに思えた(パニ障の広場恐怖と似てるな
ある日、マックはブーグラを悪事の仲間に誘うが断わられる
その後、盗品の横流しがバレて警察に連行される
“誰かが急に消えても、残りの人には大した出来事でもなんでもない”
“人は本当に愛し合うことはない
友だちはこれからもできるだろうが、しょせんは通り過ぎていく人たちだ”
ブーグラ:神さまってのは、お前やわしや、他のみんなのことだ
*
夏休みになり、子どもたちは家族と一緒にヴァカンスに出かけてしまう
“通りには幸せな人なんて、もうほとんどいやしない
ヴィルジニーのいた頃には、そんなことに気づきもしなかった”
マドもヴァカンスに出かけてしまった
ジャンは製版工場で働きだし、エロディーと3人で久しぶりのご馳走を食べた後
オリヴィエは伯父夫婦が引き取ることに決まり、15時に迎えに来るといきなり告げる
ブーグラ:
友だちにさよならの挨拶もなしか?
きっとうまくいくよ、大丈夫
2フラン硬貨で作った指輪をあげる
■あれらは、どこに? ラバ通りとオリヴィエのあのときといま ジャン・クリスチャン・ブーヴィエ
東京が今世紀の間に大きく変わったのに比べれば、パリはほぼ変わっていないが
小説内の町を歩けば、子どもの姿はなく、活気のない住宅街になっている
貧民街の悲惨、蔓延するアルコール依存症、ファシズムの台頭・・・
すべてが本当に変わったのは、60年代に消費社会が到来してから
冷蔵庫、テレビ、自家用車の普及が通りと世界との断絶をハッキリさせた
オリヴィエの物語は1995年現在6冊に達している
(このシリーズは3冊までだけど?
ロベール・サバティエ
1923年 パリ生まれ
幼くして両親を失い、第二次世界大戦では対独レジスタンス運動に参加
戦後いくつかの職業を経て、詩集、小説を刊行
「家庭小説」のくくりで借りてみたけれども、違ったか?
作者が10歳の頃を思い出して書いた物語
章のイラストはフランスの住所を表すプレート
当時のパリを知ってる人が読んだら懐かしいだろうけど
そうでなければ、ただひたすら延々と雑多な人たちが出てきては動いて、話している文章が続いて
主人公の少年のストーリーがさっぱり進まないのにイライラした
そのうち、登場人物たちが頭の中で固定すると
今度は、その人たちと別れるのが途端に辛くなるからフシギ
オリヴィエが無邪気な少年だから好かれることもあるし
それだけ繊細だから余計辛い思いもしたことだろう
【内容抜粋メモ】
登場人物
ピエール・シャトーヌフ 父
ヴィルジニー 母
オリヴィエ 息子 10歳
アルベルティーヌ 面倒見のいい女性
ジャン ヴィルジニーのいとこ 印刷機の操作係
エロディー ジャンの妻
クモ男 身体が不自由な男 ダニエル
リュシアン 吃音 ラジオを聴くのが好き 妻は肺病 子どもが1人
マック 不良青年
ブーグラ 硬貨を加工して指輪を作る 老いたアナーキスト
ルルー、カプドヴェール 小学校の同級生
ガストゥネ 元軍曹 戦争の手柄話が大好き
マドレーヌ マド マヌカン 以前はタクシーガールをしていた
パパ夫人 孫が唯一の自慢
グロマラール 管理人
父は5年前に亡くなり、オリヴィエと母ヴィルジニーは
ラバ通りの小間物屋をして仲良く暮らしていた
30歳のヴィルジニーは若く美しく、たまに恋人が訪ねて来るために、親戚からは非難されていた
ある朝、ヴィルジニーが起きなくてフシギに思っていると、亡くなっていた
その日からオリヴィエは学校を休み、母のいとこジャンと妻エロディーの家に世話になる
何度も「親族会議」が開かれ、金持ちの伯父夫婦に引き取られるまで
毎日、モンマルトルの通りをうろつき歩く
映画が子どもの小遣い程度で観れるっていいなあ!
ローレル&ハーディ、チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド・・・
(マルクス・ブラザーズは?
オリヴィエは母が亡くなってから暗闇を怖れるようになり
いつもマッチ箱をポケットにしのばせている
映画で観た焚書のシーンがショッキングで
落ちていた紙に火をつけてボヤ騒ぎを起こし
ブーグラがかばってくれる
ブーグラ:
元気を出すんだ あんなのは大したことじゃない
そもそも大したことなんて何もありゃしないのさ!
リックとラックという犬を飼ってる美しいマドは
ちょくちょくオリヴィエを誘って散歩したり、カフェでおごってくれる
(リギッテ・ヘルムにそっくりとあって、調べたら映画『メトロポリス』の女優だった
不良のマックは学友にいじめられているオリヴィエを見て
ボクシングを教えてくれる
マック:
世間ってなジャングルだ しぶとい奴が生き残り、ヤワな奴は潰される
親父は飲んだくれ、おふくろは家出 だがこのマックは最高のタフガイだぜ!
ラバ通りのどんづまりの住人は、いろんな所から集まった人たちだった
スペイン人、イタリア人、アラブ人、ユダヤ人、ポーランド人、白系ロシア人、、、
ジャンは印刷所の仕事が減り、撮影所でエキストラをしたりして食いつなぐ
エロディーはヴァカンスのために貯めていた貯金も崩さなければならなくなる
ブーグラも酒や食べ物に困るといろんな仕事をした
サンドイッチマン、高級住宅の床磨き、、、
ブーグラ:今に分かる どんなことがあったって、人生ってのはいいもんだ
“生きてくって、なんて楽しいんだろう! なんて寂しいんだろう!”
*
いつからか、クモ男が通りから消えたのに、誰も気にかけない
アパートを訪ねると、管理人はダニエルは大声で叫びだして、病院に運ばれて行ったと話し
ダニエルが持っていた難しい本をオリヴィエにあげる
ヴィルジニーは、オリヴィエにとって母であり、恋人であり、姉であり、娘であり
乾いたすすり泣きと湿った涙だった
ヴィルジニーが死んでから、他へ出ていけない場所、閉ざされた空間は
すべてが棺桶みたいに思えた(パニ障の広場恐怖と似てるな
ある日、マックはブーグラを悪事の仲間に誘うが断わられる
その後、盗品の横流しがバレて警察に連行される
“誰かが急に消えても、残りの人には大した出来事でもなんでもない”
“人は本当に愛し合うことはない
友だちはこれからもできるだろうが、しょせんは通り過ぎていく人たちだ”
ブーグラ:神さまってのは、お前やわしや、他のみんなのことだ
*
夏休みになり、子どもたちは家族と一緒にヴァカンスに出かけてしまう
“通りには幸せな人なんて、もうほとんどいやしない
ヴィルジニーのいた頃には、そんなことに気づきもしなかった”
マドもヴァカンスに出かけてしまった
ジャンは製版工場で働きだし、エロディーと3人で久しぶりのご馳走を食べた後
オリヴィエは伯父夫婦が引き取ることに決まり、15時に迎えに来るといきなり告げる
ブーグラ:
友だちにさよならの挨拶もなしか?
きっとうまくいくよ、大丈夫
2フラン硬貨で作った指輪をあげる
■あれらは、どこに? ラバ通りとオリヴィエのあのときといま ジャン・クリスチャン・ブーヴィエ
東京が今世紀の間に大きく変わったのに比べれば、パリはほぼ変わっていないが
小説内の町を歩けば、子どもの姿はなく、活気のない住宅街になっている
貧民街の悲惨、蔓延するアルコール依存症、ファシズムの台頭・・・
すべてが本当に変わったのは、60年代に消費社会が到来してから
冷蔵庫、テレビ、自家用車の普及が通りと世界との断絶をハッキリさせた
オリヴィエの物語は1995年現在6冊に達している
(このシリーズは3冊までだけど?
ロベール・サバティエ
1923年 パリ生まれ
幼くして両親を失い、第二次世界大戦では対独レジスタンス運動に参加
戦後いくつかの職業を経て、詩集、小説を刊行