メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

楳図かずお 『こわい本 闇のアルバム』ASスペシャル

2018-05-12 15:42:33 | マンガ&アニメ
2016年初版 朝日新聞出版



「楳図かずお」さんカテゴリーに追加

コレを買ったのはいつだったか?

コンビニで楳図さんのマンガが500円ワンコインで買って読めると喜んで買ったはいいが
そこらへんに置いておくだけで怖い
背表紙だけで怖いため、しばらく目の届かない所に置き直したほど

楳図さんを初めて読んだのは、小学校か中学校くらいの時か
ホラーマンガ、ホラー映画が好きで、夏になると書店に真っ黒に並ぶ平棚が嬉しかった

中でも今でも記憶にあるのは、美少女の眼(額だっけ?)に異物が入って
病院に入ったら、初めて来たのに看護婦や医師が恐怖で震え、手元が狂ってしまう

後で知ったが、昔、少女とうり二つの美少女が来て、手術を失敗して
顔に出来た傷を治してくれと何度も執拗に迫られ、後に自殺したとかいう話だった気がする

最近、楳図さんとファッション業界がコラボして、自分の選んだ恐怖の絵で
Tシャツなどがデザインできるってとても惹かれるけれども、怖すぎて着れません・・・





本書は短編集の『闇のアルバム』と、その他6作が収められている
短いものはほんの数ページ それでもストーリーとして、作品として完成度が高いのが凄い
中篇ものは、怖さよりも哀愁といった感が強い

怖いくらいに美しく整った顔の女性が特徴的だけれども、
醜さから生まれるストーリーには、計り知れない悲しみがあるのも独特


【内容抜粋メモ】

『闇のアルバム』 1974年『ビッグコミック』連載



洞穴の女
男が洞窟に入ると、美しい女が全裸で誘い、何日か過ぎて
男が帰ろうとすると化け物に変わり、逃げようとしているのを妻が見つける
男は開いている入り口とは逆のほうを一生懸命に手で掘っていた

電話
夫の出張中にセールスマンと過ごしていると、夫から電話があり
誤魔化すと、天井からかけていた

バー“ラララ”
つまらない男だとバカにされている浦井は、バー“ラララ”に入った途端チヤホヤされる
同僚に話しても信じないため、連れていくと、あんたなど知らないと言われる

しあわせの日々
夫が自分たちはどうしてこんなにも順風満帆に幸せなんだろうと毎日聞くため
妻はこれが夢だと気づいてしまう
目が覚めると、貧しい家で、自分も夫も親も病身


女を殺して崖から捨て、恋人を家まで送るが、いつものように手を振らないのをフシギに思う
男が運転していたクルマには、殺した女を縛ったはずの縄が絡んで、恋人が引きずられていく

空より
男はハムテレビで美女が助けを求めているのを見る
空に黒い穴が開き、毎日迫ってくるのだと言う
互いに好きになり、女はUFOに乗って脱出し、地球にやって来るが
山より大きい体だったというオチ

井戸
食べ物の中に女の長い毛が入っていたり、前に結婚を約束していた女への婚約指輪が出てきて
男は井戸の中を覗く
翌日、妻は夫は昔の女のもとへ行ったんじゃないかと言って、井戸を埋めてくれと女中に頼む
(謎が多いけど、男は井戸に女を埋めたの? それを知った妻が夫を井戸へ落としたのか?

来客
美人だがただならぬ様子の女から道を聞かれて教えてから
近道をして帰ってきた妻 隣りの家から妻を刺し殺した女が出てくる
嫌な予感がして表札を取り替えたと夫に話す
(浮気をされていたかもしれないのに、家庭を壊されたくなかったのか、すごい瞬時の判断!

小さな出来事
誰も見向きもしない地味な事務の女は、何気なく薔薇の刺繍をスーツに入れたが誰も気づかない
その後、その刺繍に気をとられたせいで交通事故で恋人が死んだと泣き叫ぶ女が来る

火事
デパートで火事が起き、屋上に逃げた夫婦
夫だけが助かり、妻を助けられなかったと病院で泣いていると、妻が来て全部ウソだという
男の足には、おいすがった時の妻の手がしっかり残っている


共働きの夫婦 夫の母が弁当を作り、夫は妻の弁当を持ってきたことに気づいて
中を開けてみると蛾が入っている 仲良さそうなのに、2人はケンカをしているのかと心配になり、
家に戻って、弁当を換えて妻のあとを尾けると、ランチで普通に蛾入りの弁当を食べていた



背後の影
醜くなった危篤の妻が、真珠のネックレスの女性を見たと言って死ぬ
夢の通り、夫には恋人がいて、部屋に入ってくるが、夢には続きがあり
恋人の背後から死んだはずの妻が首を絞める

見知らぬ女
男は乱暴なクルマにぶつけられたせいか、家に帰ると妻が別の女になっていて
警察を呼ぶというと、女は妻なら2人で殺して壁に埋めたでしょ、と見せる

首飾り
美しくもの寂しげな美女に惹かれて、なんとか交際を求めても拒んでいたが
とうとう愛してしまったが、愛した男は首飾りにして永遠に自分のものにしたいのだと
首にさげた小さくミイラ化した男たちの首を見せる その男も首飾りにされてしまう


夫婦でボートで漂流して、やっと陸が見えると、妻を海に突き落とす夫
妻はその後、船で助けられるが、ショックで「私には海しか見えない」と言う
その頃、夫は見えたはずの陸が見えず、まだ漂流している

墜落
墜落する夢ばかり見て、いつか現実になるのを恐れて、高い所を避け
地震のない外国に引っ越した男を周りは笑うが、
同じ頃に銀河は謎の黒い空間に落ちつつあった

見知らぬ男
電車で知らない女性から見つめられ、そのままホテルに誘うと
自分と結婚してくれないと困るとナイフで脅される
婚約者がいるから困るというと、股に男の顔にソックリな大きなアザがあり
これのせいで結婚を断られ続けたから、あなたのほかにいないと言われる

再会
ロケットに乗った恋人の男女は、別々に緊急脱出しなければならず
何億年かかってもまた再会しようと誓う

男はまだ何もない星(たぶん地球)に自分のたんぱく質を流して
それが様々な生物に進化していく

女が来た星は文明の誤りで滅びつつあり、前から恋人に似た男が
ボロボロになって這って来るが、あまりに空腹だったため、男を殺して食べてしまう

(こうしたSFものも時々描いてたのね 『14歳』もそうか


貴族の屋敷に幸運をもたらすという白い蛇が現れて喜ぶが
民は飢饉、疫病などが重なり、貴族の生活は贅沢なまま
部下が蛇のせいだと刺し殺すと黒く変わる
黒い蛇が白く化けていたのか、世を救うために現れたのに殺してしまったのかは分からない

隣の人
マンションの隣りに美人だが影のある女が引っ越して来る
妻は夫に話すが興味のない様子
彼女が独り身と分かり、どちらが幸せか比べるようになる

ある日、急に遊びに来て、楽しく喋るうちに夕方になり
公園で遊んでいた息子が貯水池で死んでいるのを見つける妻
(これも謎が多い 夫の浮気相手かも

発作
ホームにいる女を発作的に突き落とした妻
夫が大阪で飛び込み自殺があったという話をしてから
実は別れて他の女性と結婚したいと打ち明ける
「それは大阪の人でしょう?」




再婚し、妻の娘が自分に馴染まず悩む男
娘は亡くなった父親の鞄をいつも持ち歩いていて
中には再婚相手の心臓が入っているという
気になって、転んだ隙に見てみると、自分の心臓がドクドクと動いている

予告
これから結婚する2人が科学者に未来を見たいと頼む
見た後、記憶は消えてしまうと言う科学者 気づくと時間が過ぎていて、もう見たのだという
その後、2人は結婚し、幸せに過ごすが、ある日、夫は妻を驚かせようと早く帰る
でも、ドアノブを開けるのをなぜかためらう

終末
地味で顔もよくないが、女は男を愛していて、2人の平凡な日常が最上の幸せだった
ある日、「愛しています」と言うと、男は「薔薇が喋った!」と恐怖で鉢を壊してしまい
植物の生まれたばかりの意志は終わる


本 1968年『プレイコミック』掲載
平凡な男は、上司から紹介された可愛い女性と見合い結婚し、毎日幸せだったが
妻の指に赤いアザができ、医師から悪性腫瘍で全身に広がり助からないと言われる

絶望した夫は、可愛い妻が痩せて醜くなる前に楽にしたいと絞殺する
死体を布に包んで運ぶのを、同じマンションの男が見てしまい気になる



その後、夫はひきこもり、毎日同じ本ばかり読んでいることに気づき
気になって部屋に侵入して読むと、とんでもなく面白いとひきこまれる
そこに夫が来て、岩で殴り殺される

その後、本にまでアザが広まり、夫は絶望する その本は妻の皮膚で作ったものだった
夫は本に火をつけ、自分も一緒に火事で自殺する


ダリの男 1969年『プレイコミック』掲載



醜く、内気な男は、憧れの少女から「醜い」と言われたことがショックで
さらに陰気になり、人目を避けるように暮らしてきた



ある日美人に想いを寄せ、ある計画を思いつき、フシギな家を建てる
彼女は結婚したが、夫は工事現場から落ちて亡くなり
男は多額の借金を肩代わりして、家に入れると、中はとてもグロテスクでショックで倒れる女





その家に閉じ込めてしばらくすると、女は慣れてきて、外に出ると倒れてしまうため家にひきこもる
ようやく、醜い男に愛情を注ぐが、彼女の趣味がすべて歪んでいることに恐怖する男

その家は、男の醜さに慣れるよう、少しずつ歪めて造った家だったが
それに馴染んだ女は、自らの顔や体も歪み始めて、それが美しいと思うようになった

実は、男は平凡な顔立ちで、自身を醜いと思いこんでいただけだった


凍原(ツンドラ)(この殴り書いたようなタイトル文字もステキ
いつものように出勤した夫を見送り、いつも通りのベルの鳴らし方で
夫だと思ってドアを開けると、覆面男が入ってきて、ナイフで脅され、レイプされそうになり
指を齧り取って、男は痛みで逃げ出す



妻は夫が帰る前に血の跡などをすべて片付ける
帰ってきた夫は顔色が悪く、ポケットから片手を出さず部屋に行ってしまう
夜も唸る声が聞こえ、もしやさっきの暴漢は夫だったのでは?でもなぜ?と疑う妻

翌朝、やはり病院へ行くという夫を尾けると、電車に手を出して、
すべての指を切断する夫 助けを呼ぶ妻

(ワケが分からない 夫の異常愛か? 助けてあげる妻も複雑だ・・・


残酷の一夜 1969年『少年キング』掲載



子どもがなかなか出来なかった夫婦に第一子が産まれて喜んでいると
謎の男が現れ、その子はヒトラーのように世界を破滅させるから今すぐ殺したほうがいいという

その証拠に未来が見えるこの箱の中を見ろという
半信半疑で見ると何も見えず、男を追い返す



その後、すくすくと育つ男の子だが、次第に残虐性を表す
カエルを八つ裂きにしたり、猫が腕を噛んだとバラバラにしたり

青年になると、付き合ってた女性が自分を怖がって避け始めたという理由で
髪を引きちぎり、そのまま行方知れずになる

その後、あちこちで殺人事件などが頻発し、あの謎の男のことを思い出す両親
夜中に息子はすっかり変貌して戻ってきて、父母を殺す



気づくと箱の中を覗いていた夫婦 男は「これで分かったでしょう」と
幼子の息の根を止め、部屋から出て行く


首 1979年『プレイコミック』掲載
男は娘婿として結婚したシホ子が高慢で、自分に冷たく当たるが、それでも心底愛してしまう



シホ子は隠しもせずに浮気を重ね、ある夜、男はシホ子を轢き殺す
タイヤは首を切り落としていて、あたりを探しても見当たらなかった

その後、平凡な直子と結婚するが、首がどこに消えたのか気がかりで仕方ない
ちょっとした膨らみや、容れ物の中身まで気になるようになる

直子が妊娠して喜ぶが、お腹が大きくなるにつれて疑惑が大きくなる
家で助産婦に出産させると、案の定産まれたのは、シホ子の首

シホ子の白骨死体が見つかり、参考人として行くと、ちゃんと首があるのがおかしいという男
直子は気が狂い、産婆はショック死する
あの首は男の観念が作り出したものか、誰も分からない


谷間のユリ 1972年『女性セブン』掲載



地味で、目立たない女は、会社に入っても誰からも気づかれないほどだが
同じようにカッコよくなくて、地味だが優しい社員を好きになり、毎日見つめるようになる



彼がずっと独り身なことを望むが、美人で性格も良いイズミと付き合いだして絶望し
彼女の顔に硫酸をかけてしまう



2人は結婚する予定だったが、自分の醜くなった顔を見たイズミはショックで号泣する



その後、女は退職し、自分の顔にも硫酸をかけて、イズミと偽り、男に会う
男は避けると思いきや、優しく受け止めたため、別れを告げて去る
男のもとにイズミが自殺したと聞き、さっきの女は誰だったのかといぶかる

女は一生醜い顔のまま、罪を背負って生きていこうと決心する



コメント (2)

「こんにちは! 変形菌」@ビッグイシュー

2018-05-12 15:17:17 | 
【THE BIG ISSUE VOL.332】


私は南方熊楠さんも好きで、先日、企画展を観たけど、いまいち分からなかった粘菌の世界
今回の記事を読んで、なんてフシギな生物なんだ!と驚いた

「南方熊楠-100年早かった智の人-@国立科学博物館(2018.2.14)

脳がないのに、意識のあるような動きをしたり、
たくさんの性をもつって、こないだの「LGBT」の話とリンクしたり

「東京レインボープライド2018」@代々木公園イベント広場

昔からヒトと違う体液をもつ虫類や、全部透けて何もなさそうなのに生きているクラゲたちとか
とてもフシギだと思っていたけど、まだまだいろんな生きものが地球にいるんだなあ!


【内容抜粋メモ】

変形菌は、粘菌とも呼ばれる単細胞生物
3人の方に「変形菌」について聞いた

単細胞生物として進化を極めた「変形菌」 川上新一さん



『変形菌入門』川上新一 (著) 新井文彦、髙野丈 (写真)



「日本変形菌研究会」

「変形菌」は、世界に900種以上、日本に500種以上が生息
アメーバ、、変形体、子実体、胞子と姿を変えることで環境に適応し、何億年も生き続けてきた
DNAの研究が進んだ今は「アメーバ動物」の仲間と考えられている

倒木や落ち葉、土の中のバクテリアを食べ、
水分が多い場所では鞭毛を出して泳ぐこともある 鞭毛でエサをとっている説もある


「変形菌の性」
1つだけ、オス・メス、7つあるものも見つかっている/驚


「変形菌」のライフサイクル



「変形体」
性別の異なるアメーバ同士が接合して数cm以上になることもある
脳はなく、細胞の表面で受けた刺激がネットワークを通して情報交換される
“自立分散型システム”の生きものと言われる

小さいアメーバ、カビ、キノコ、酵母などを食べることがある
体外に消化酵素を出し、分解したものを吸収する

「変形体」がほかのアメーバと違うのは、DNAを収めた核だけが分裂して増えていく
細胞は分裂せず、身体だけ大きくなるところ

気温の低下、乾燥などの変化にも臨機応変にふるまう
「休眠体」となり、活動を休止することもできる
砂漠、南極でも発見されたことがある

「変形体」が成長し、エサがなくなり、乾燥すると、胞子のつまった「子実体」に変わり、美しいものが多い



バクテリア、菌類は、森の落ち葉、倒木の分解者
「変形菌」がそれらを食べて、分解スピードをゆるめているのかもしれない

南方熊楠の功績は、日本で見つかる「変形菌」の種類をまとめた目録を作ったこと、
「ミナカタホコリ」など新種をいくつも見つけたことなど


川上さん:
山、公園に行き、大きな倒木、落ち葉のある場所で、じっくり探してみてください
先入観のない子どものほうが大人より見つけてくれたりする
私は一心不乱に探していると、雑念が消えて、坐禅をしているような感覚になる


5歳で「変形菌」に出会い、6歳から飼育 7歳から研究を始めた 増井真那さん(16)



「変形菌」ファンは宝石のように美しい「子実体」の人気が高いが、マナさんは「変形体」派
温度変化が苦手な「変形菌」の管理が難しい季節は、天気予報を常に確認し
ワインセラーなどで温度調節し、タッパー60箱の「変形菌」と暮らしている

「変形菌」との出会い
赤ちゃんの頃から食虫植物、多肉植物、キノコが大好きだった
テレビでみた「変形菌」を実際に見てみたいと、母親と公園に行ったが見つからず

母親がネットで調べた「日本変形菌研究会」のフィールドワークに参加し
自分で見つけられるようになって以来、ずっと「変形菌」と暮らしている



毎日の世話は2時間 エサはオートミールを与え、
タッパーの底には培地としてキッチンペーパーを敷いている

古いキッチンペーパーから広がる「イタモジホコリ」



いろいろな方向に身体を伸ばし、ほかの変形体に触れるとビックリして急に引き返すおっちょこちょいもいる

排泄物で培地が汚れたら、エサで誘導し(驚)、汚れた部分を切り落としていく
新しいキッチンペーパー完全に下りてくれるまでに早くて1日かかる

世話を続けるうちに、匂いで調子の良し悪しも分かるようになった(!

マナさん:ボクが連れてきたからには、元気で長生きしてほしい


<マナさんは年に1度論文を発表>

「変形体」は夜も眠らず、1時間に1cm程度しか動かない
1個体を2つに分けてもまたくっつくフシギな生きもの
同じ種類でも、産地が違うとくっつかない場合も多い

透明でネバネバした「粘液鞘」で互いが相手を判断していることに気づいた
自分の情報を拡散し、非接触の自他認識をするという第3の役割を発見した
国内の学会に発表し、海外の論文誌への投稿にもチャレンジしている


『世界は変形菌でいっぱいだ』増井真那(著)




粘菌がつくる“賢いネットワーク”は知の原型 中垣俊之さん



2度「イグ・ノーベル賞」を受賞
“1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるノーベル賞のパロディーである。”(ウィキ参照

最近AIのニュースが増えた しかし、知性、賢さって一体何だろう?
その謎を探り、中垣さんは30年近く粘菌と付き合ってきた

脳、神経が存在せず、環境の変動に応じて戦略的に動く
脳による「中央司令的」ではなく、「自立分散型」な行動は、「知の原型」を感じさせる


<粘菌は迷路を解けるか?>

迷路の入り口と出口にエサを配置したら、最短経路に身体を引き上げた
中垣さんは、この研究で2008年「イグ・ノーベル賞」を受賞


<粘菌で関東の鉄道網を作る>

今度は関東圏の主要な都市30ほどにエサを配置し、粘菌を放った

中垣さん:
ボクは人間社会が作った鉄道網は不合理なものに違いないと思っていた
利益誘導する大物がいて、あるべき鉄道網を歪めているんじゃないかと
だから、粘菌が作った合理的な鉄道網を持って国交省に行くつもりでしたw




だが、粘菌が作った鉄道網は、現実のものとソックリだった
どこかの管が断線してもつながりを保てるよう、「耐故障性(保険)」を表現した

中垣さんの最新の実験は、いくつかの街の地形情報に基づく仮想空間をつくり
粘菌がどう広がるかコンピュータで再現するもの

中垣さん:
主だった街がほとんど同じ位置に現れる
人の集住地がどうできるかは、地形、気候などが大きいというのが作業仮説


<粘菌のためらい>

細長いレーンの途中に毒物のキニーネを塗ると、
粘菌はしばらくためらうように止まるのが観察される

その後、1.引き返す、2.乗り越える、3.一部は乗り越え、一部は引き返すという行動をとる
人間の意思決定とよく似ている


<私たちに必要な賢さとは?>

中垣さん:
個体と集団の齟齬をいかに埋めるか、だと思う
生物は、個体の生存と、犠牲を払ってでも集団の益を優先する、2つの方向性で揺れる

人間が社会的な圧力・権力とどう折り合いをつけるか?
社会はどんな規範をよしとするか?という問いかけと関係してくる


『粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う』中垣俊之著




***


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