メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

国土社版 世界の名作 10 故郷の人びと ルイザ・メイ・オルコット/著 国土社

2024-01-13 12:40:15 | 
昭和52年初版 昭和60年 第3版
中山知子/訳 梶鮎太/装幀 山本典子/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


前回読んだ『愛の四少女』でジョーは叔母から継いだ別荘を学校にするところまでだったが
急にたくさんの子どもの名前が出てきて驚いた

この間にもう1冊『プラムフィールドの少年たち』が入るんだな
これまでの全集に入ってないのはなぜだろう?

全30巻のこのシリーズにも、まだ読んだことのない名作がたくさんあるから借りて読みたい
ちなみにこれも閉架だった








【内容抜粋メモ】

登場人物

プラムフィールド
父 牧師
母 亡
ベス 亡

メグ 夫ジョン亡
双子デミ 新聞記者志望
双子デイジー
ジョジー 14歳 女優志望

ジョー 小説家
ロブ
テッド
フリッツ ベーア先生  夫 ローレンス大学学長
フランツ 亡き姉の子 ドイツのハンブルク在住 26歳
エミール・ホフマン 亡き姉の子 貨物船ブレンダ号の二等航海士 妻ルミドラ(ドイツ人)

ローレンス大学
ディック、ビリー 亡
ダン さすらいの人 25歳 馬のオクトー(輝きの意






ジャック、ドリー(オシャレ好きな法律学部学生)、ジョージ(太めの意のスタッフィー)、ネッド
ナット バイオリンを勉強中 辻音楽師をしていたが、父を亡くした デイジーが好き
ナン 医者を目指して働きながら勉強中 20歳
トム 大好きなナンのために医学を勉強

パルナッソス
エミー 画家
ローリー 夫 実業家
ベス 15歳
ローレンス ローリーの祖父 亡




●序曲
「あれから10年になる」と懐かしく思い出すジョーとメグ
夫はローレンス大学学長となり、ジョーも子どもたちの世話に忙しい







エミーとローリーの住む家は“美の殿堂 パルナッソス”と呼ばれ
芸術に関心のある子どもたちが集う







ジョー:
昔、お母さまがメグ姉さまに“子どもの教育には
父親も協力しなくちゃいけない”
って言ったわね

ベスは彫刻に夢中
粘土は生命、石膏は死、大理石は不滅の魂をあらわすと言われる






二等航海士に進級したエミールが帰郷し、みんなは大喜び






ジョーは数年前の不景気で苦労が重なり、過労で病気になった
それを機に大急ぎで書いた一篇が出版されて大好評を得て、次作の注文が殺到
家に関係のない人が大勢来るようになる

さすらい人ダンが帰郷し、いつか西部で農場をしたいと夢を語る

ナットは音楽の都ライプチヒに留学が決まる
デイジーと結婚したいが、メグはまだ若いと反対している
ジョー:メグが自慢に思い、尊敬し、信用する人間になればいい








●ロブとテッド兄弟
ダンがいなくてイライラしている愛犬ドン
テッドが怒ってぶつと、ドンが向かってきて
間に入ったテッドの脚を噛んで出血する







狂犬病を怖れて、ナンを呼ぶと、一刻も早く傷口を焼いたほうがいいと言う(!
真っ赤に焼いた火かき棒で1分焼くってなんて粗悪な医療だ・・・↓

その後、外科医のモリスン先生に診てもらう
狂犬病ではなく、主人恋しさと、暑さのせいだと言う

責任を感じて苦しむロブに、ジョーは妹エミーを危うく溺死させそうになった話をする
ジョー:これからも一緒にかんしゃく玉の悪魔と戦いましょう
フリッツ:命に係わるような危険に出合うことは、神さまのお試しなのだよ



●小さな人魚
避暑地に来たら、有名な舞台女優ミス・キャメロンが保養に来ていると知って大興奮のジョジー
なんとか近づいて、将来、女優になれるか聞いてみたいと願う









ベスと泳いでいる時にミス・キャメロンが現れて
大事な腕輪を落としてしまったから探して欲しいと頼む







何度も潜って、やっと腕輪を見つけ
一度お訪ねしたいと言うと、明日11時の約束をしてくれる

ミス・キャメロン:
とてもつらい道ですよ
美しいバラの花の影は本当に痛いトゲだらけですわ

翌日、『ハムレット』のオフィリア、『ヴェニスの商人』のポーシャ姫の演説は褒められるが
『ロミオとジュリエット』は笑われる

ミス・キャメロン:
あなたのような小さい人に、愛や怖れが分かるでしょうか
器用な少女ならだれでもできるが
シェイクスピア悲劇を分かるのは難しい
やっぱりあなたは若すぎる 熱心に勉強していらっしゃい

ミス・キャメロンはクリスマスの家庭劇を見に来てくれる約束をする

トムはナンの紹介した17歳ドーラ・ウェストと婚約する

デミは編集者になりたいと思う
アリス・ヒースが好きだが、なかなか伝えられない



●船火事
貨物船ブレンダ号に乗りハンブルクを目指すエミール
乗っているのは船長とハーディ奥さん、娘メアリー

いきなり船倉から火事が出て、あっという間に船ごと燃え上がる
救命ボートに乗るも、波にのまれ、残ったのは、エミールらが乗った1隻のみ
船長は倒れたマストで大怪我







航路から外れて4日も漂うと、食糧や水も尽き
いら立った2人の水夫は争って海に落ち
盗んだ酒で酔い潰れてそのまま死ぬ

ようやく雨が降り、すっかり元気が戻り、大きな船が通り収容される








●正義ゆえに
その頃、ダンは刑務所にいた
ブレアという頼りない青年が、悪い詐欺師に騙されているのを見過ごせず
もみ合った末、殴った男が頭をぶつけて、そのまま死んだ
ブレアを逃がして、罪を負い、1年間の労働の刑となる

看守は情け知らずで、悪い囚人2人から脱獄に誘われる
体の弱いメイソンを助けるため、自らも脱獄を計画していたが
感謝祭に婦人がした説教で心が揺らぐ

「ここは人生の戦いで傷ついた人たちの病院なのです
 病気の心、弱すぎた意志、間違った情熱
 でも、希望を捨ててはいけない
 たとえ両腕を失っても、魂を失うことにはかえられない」

唯一、親切な牧師がメイソンの死を伝え
最期に“立派に刑期を終えたら、妻メアリの所に行ってくれ”と言っていたのを伝える

心を入れ替えたダンは、ジョーがくれた聖書と童話に愛の救いを求めながら
絶望の谷から這い上がり、メアリに頼んで、プラムフィールド宛ての手紙を出してもらう
“西部行きは止めて、来年の秋まで帰れないが安心してくれ”



●ライプチヒの冬
ナットは有望な若い音楽家としてデビュー







無邪気な自慢話がエスカレートして、贅沢なアパートに引っ越し
練習もおろそかになり、芝居見物、パーティー三昧の日々から抜け出せなくなる

金持ちと結婚させたい老婦人の計画に気づかないまま、娘ミンナと仲良くなり
デイジーと婚約していること、貧しい留学生であることを正直に話す
ミンナは感激して泣き、目が覚める

大量の領収書と、プラムフィールドからの懐かしい手紙を見て心を入れ替え
見栄と贅沢を捨てて、音楽で暮らしを立てる決心をする

もとの下宿に戻ると、誕生日祝いに二流オーケストラの席を世話してくれる大家さん
学校で英語の教師を見つけてくれたフォーゲルシュタイン嬢



●クリスマス劇
ジョーが劇の台本を書き、演出もする
時代劇、現代劇、風刺劇の3本立て
ミス・キャメロンも約束通り見に来てくれる

メグ夫人の名演技にみんな涙する
劇の後の食事でミス・キャメロンはジョジーの勉強をみると約束
素質がある理由は母にあると見抜く








●待つということ
エミールの船が沈んだ知らせが届き
喪に服す半旗をかかげて沈む家族のもとに
無事のしらせが届いて歓喜に変わる








フランツとルドミラの結婚

ナットは教授の弟子とともに、ロンドンの大音楽祭出演が決まり
その後、演奏旅行に連れていってもらえるとのこと

ジョジーがテニスでドリーとスタッフィーを負かした





ジョー:
お人形じゃないのだから、女性として扱ってもらいたいのが本当なのよ
見かけばかりで可愛がるのはマイナスよ

当時の上流階級はまだ封建的だったが
プラムフィールド共和国では、誰もが自分の力を見つけていた
はっきりした校則はなく、どの子にも自由平等、義務、権利がある
(理想的で発展した教育の姿だな



●キルティングパーティー





週に一度の土曜の番に3軒のうちどこかで開かれる
参加は自由 つくろいもの、縫物を教えながら
生地の話とともに化学、神学、哲学、詩など、あらゆるお喋りを弾ませる

女性と職業の話になり、みんな「~結婚するまで」という条件で夢を語る

ジョー:
余ったなんて考えはダメ
一度結婚して未亡人になっても、メグは余ってなんかいない

少女:
オールドミスも昔ほどバカにされなくなったわ
女一人でも、半分の人間じゃない

メグ:
小さなことにも喜びを見つけるように心がけるの
探せばいくらでもできる仕事は転がっている
細々となんて遠慮する必要はない

少女:女の子の脳が男の子より小さいはずはないと思うわ

アンバークロンビー卿がアメリカの刑務所の制度を調査に来て
夫人は学校制度の視察でキルティングパーティーを見て褒めたことを誇りに思う



●卒業記念日
アリスが晴れの演説をして、みんなの心をつかむ

フランツとルドミラ、エミールとメアリが新婚旅行から帰る
メアリはエミールとともに航海する決意








●白ばらの花束
ジョジーはデミを励まして、ばらの花を贈るよう助言する
ジョジー:蕾と、半びらき、すっかり開いたバラを贈る話をアリスも知ってるはず

デミは手紙を添えて開いたバラを贈る
家にいる病気の母と高齢の父を思い迷うアリス

隣りの部屋から2人の噂話が聞こえる
「デミはお金持ちではないけど、幸せになれる」と聞いて感動するアリス







●命の恩がえし
ダンは刑務所を出所し、西部鉱山で働いていたが、落盤事故が起きて
20人が生き埋めになり、ダンが助けて瀕死の重傷となる
ローリーが代表として見舞いに行くと、テッドが隠れてついていく

英雄となった病人のダンがプラムフィールドに帰るがすっかり別人
ジョーは心配し、なにもかも許すから話してほしいと頼む

ダン:あれは正当防衛だった

ジョー:
私の罪人はもう立派に償いをした 元気になって出直すのよ
みんな、それぞれ間違いをして身もだえをしている人間なのですもの

ダンに明るさが戻り、ロケットにベスの写真を見つける
ジョー:これは永久に私たち2人の秘密にするのですよ
ダン:あの暗い独房で、僕は姫君を夢見ることでどんなに和んだかしれない

ダンは回復し、オクトーとドンを連れて去る








●フィナーレ
ジョー:人生って、まるで別れでできているようなものね
エミー:そして、めぐり逢いとね

青年音楽家ナットが帰郷し、また賑やかになるプラムフィールド








ジョー:
心から後悔した罪びと一人の値打ちは
大勢の聖者にまさる素晴らしさをもつ

『若草物語』から20年も書き続けてきた
いわばノンフィクションの今作を書くのにいささかくたびれた

大地震でも起こして終わりにしようかとも考えたが
心やさしい読者に叱られる

そのかわり、おとなしく
「どの結婚もうまくいって、それぞれ、ステキな家庭をつくった」と答えよう

ベスは美術家、ジョジーは女優となり夫を得た
ナンは女医となり、苦しむ人たちに一生を捧げた

ダンも独身を通し、仲間を守るため敵の弾に倒れた

スタッフィーは市会議員になったが、歳を取り、宴会後、卒中で亡くなった
ドリーは社交界の花形となり、財産を使い果たして一文なしとなり、仕立て屋で働いた

デミは編集局長、ロブはローレンス大学の教授
一番やんちゃなテッドは牧師となった

これこそ、フィナーレの楽しさだ
では、音楽を終わらせよう
照明を消そう
そして、マーチ一家の舞台の上に、永遠の幕を!





訳者解説











ルイザの家族
父 エイモス・ブロンソン・オルコット
母 アバ・メイ
長女 アンナ
次女 ルイザ
三女 エリザベス
四女 メイ

ルイザはとくに父を尊敬し、影響を受けた

南北戦争では、奴隷解放の北軍で看護婦としてワシントンの野戦病院で働き
ムリがたたって健康を崩し、父に連れられて帰郷
生死をさまよい、ワシントンから手紙を書いた『病院スケッチ』が出版された

『若草物語』の続編は3冊
第三部『プラムフィールドの少年たち』を書いてから14年後
5年がかりで本作を書いた



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