メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

アーサー・ランサム全集 1 ツバメ号とアマゾン号 アーサー・ランサム/作 岩波書店

2024-10-03 21:12:00 | 
1967年初版 1986年 第19刷 岩田欣三・神宮輝夫/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

船のタイトルとこの厚みだとヴェルヌや『ロビンソン・クルーソー』などの長編冒険を期待して一気読みした
アーサー・ランサムも大好きな作家の1人になったし
その他の全集もぜひ全部読んでみたい

作者自身が描いた挿絵も味わい深い

子どもたちだけでキャンプするって素晴らしい体験だなあ!
全面協力してくれる親や近所の農家さんもステキ

想像力をフルに使っている様子を読んでいたら感動で胸が熱くなった

私もトタン屋根の下で雷雨をしのいだり
秘密基地を持ったりした時期があったのを思い出した
こうした子ども時代って過ぎるのはあっという間なんだ










【内容抜粋メモ】

登場人物
ハリ・ハウ農場のウォーカー一家
ジョン 長男 船長
スーザン 長女 航海士・外科医
ティティ 次女 AB船員
ロジャ 7歳 ボーイ
ヴィッキイ 末女

ジャクソン 百姓
ディクソン夫婦

ルース・ブラケット 海賊名ナンシイ
ペギイ 妹
ジム・ターナー 叔父 フリント船長










父からの電報で「オボレロノロマハノロマデナケレバオボレナイ」と来て
夏休み中、湖の島に子どもたちだけでキャンプする許可がおりる

早速、船員雇用契約書をつくり、ツバメ号に乗せる荷物を整える
母は地面が岩だった場合も考えてテントを作ってくれる
ティティは青いツバメのついた三角旗をつくって掲げる









船を出してすぐ大砲をつけた屋形船を見かける



キャンプ地を探すと、すでに誰かがたき火した跡を見つける
そこにテントを2つ張る
島を一周すると無人島だと分かる

ツバメ号を隠すのに最適の入り江を見つける
近くの木に十字の印を見つける







毎朝、ディクソンさんの農場で牛乳をもらうよう約束する
百姓のジャクソンさんは、屋形船にいるのはターナーでひと財産持ってる噂があると教える



1日目
ハリ・ハウ農場に戻り釣り道具を持って行く
翌日、パーチをたくさん釣って、はらわたを出して調理する










大きな音がして、2人の女の子が操縦する帆船アマゾン号が通る
海賊を意味するドクロの旗を上げている

あとを追いかけてツバメ号を出すと
ターナーが花火を爆発させたのはジョンらだと誤解してげんこつを振っているのが見える

翌朝、ディクソン夫人はターナーが文句を言っていたと話す

2人の少女が島に上陸して休戦交渉する
ナンシイとペギイはここはヤマネコ島で自分たちのものだと主張する








2組は攻守条約を結ぶ
ターナーは叔父で、世界一周して、去年帰り、本を書くために屋形船に住んでいる
船に近寄るなと言われたから花火をつけたと明かす

2組は明日から戦争して、勝ったほうが旗艦になると決める

ナンシイはジョンに聞かれて十字の印の意味を教える
2点が縦に並ぶよう船を進めれば、どこにもぶつからずに入り江に入れる
ジョンは印の所に導灯を置く



翌日はなぎ
海賊は来れないと予測し、炭焼きを見に行く

老人ビリーは息子のビリーと一緒にマムシを見せてくれる
居酒屋で屋形船に財産があるという噂があり
カギをかけるようターナーに伝えてほしいと言われる







ヤマネコ島に戻ると、屋形船に手を出すな、とターナーのメモがある

翌日もなぎのため、ジョンは仕方なくターナーに伝言を言いに行くが
ジョンをうそつき呼ばわりして、取り付く島もない









母がヴィッキイの2歳の誕生日を祝いに来る
たくさんのご馳走と懐中電灯も渡す

母:あと1週間したら、南に帰らなきゃならないのよ

4人は明日こそ決戦しなければならないため、口笛を吹いて風を起こす



翌日は南風
ティティだけを島に残し、3人が船を拿捕して戻ったら、カンテラをつける役目を担う







1人でロビンソン・クルーソー気分に浸っていると
母が来て、ブラケット夫人に手紙を書いたほうがいいか、ジョンに聞くよう約束する

母:ハリ・ハウへ一緒に帰らない? という誘いを断り
1人になると、急に寂しくなる



アマゾン川に行った3人は、海賊の家を見つけるが、船は見つからない
夜もふけて、ティティが心配になって戻ることにする







ティティは見張りをしていて寝落ちし、フクロウの合図を聞いて慌ててカンテラをつけるが
上陸したのは海賊たち

負けたと思ったが、彼らがキャンプ場に行っている間にアマゾン号を操縦してウ島にいかりをおろす
夜中に2人の男の声がして、屋形船から盗んだものを島に隠す会話を聞いてしまう

ジョンらが戻る際、アマゾン号を乗っ取ったティティと再会して喜び合う
海賊は白旗を上げて降参し、朝ごはんまでに家に戻る



翌日、警官が来て、屋形船に強盗が入り、ターナーは犯人がジョンだと言っている
夏中かかって書いた本の原稿とタイプライターが入ったトランクだけが盗まれてしまった

海賊姉妹は、ジョンから事情を聞いて怒り、叔父に黒丸(海賊仲間の脅迫的な呼び出し状)を渡す
そこには、花火を仕掛けたのは姉妹で、うそつき呼ばわりした叔父は追放だと書いてある

ターナーは誤解していたことを謝りに来て、一緒に食事し
明日の15時から第一級の戦争をしよう、と提案する

ティティの証言からみんなでウ島を探すけれども、盗まれたものは見つからなかった



戦争が始まり、ターナーは紙の玉の大砲を撃ってくる
大人数には勝てず、捕虜となり、渡り板を歩いて海(湖)に落とされる
最後は宴会をして、ティティにはオウム、ロジャにはサルをあげると約束する










最後の日はみんなで捕鯨(釣り)に行く
ティティはロジャを連れて、もう一度ウ島に宝探しに出かける

諦めかけた時、木のパイプと、トランクを見事に見つける!
ターナーは、犯人が取りに来た時にギャフンと言わせるために
木で魚を彫り、パイプと一緒に埋めていく







ティティへのお礼に飼っていたオウムをあげる
以前は「かわいいポリー」しか言わなかったのに
「8銀貨(ピース・オブ・エイト)」と言えるようになっている



夜、ものすごい嵐になり、ウォーカーらのテントは風で倒され
6人で海賊のテントで過ごす

難破した水夫になりきり、食べるものも尽きてヤマネコ島にたどり着き
20年間住み、船が通りかかるのを待つ、という気分になる









嵐がおさまると、ディクソン夫妻が熱いおかゆ、母は熱いココアをもってきて
ターナー、ブラケット夫人まで来て、“土人話”に花が咲く

家族の船に乗る誘いを断り、船にたまった水をかい出して出発

屋形船から盗まれたトランクを見つけたニュースはたちまち広まっていて
ジョンらにバンザイの声がかかる

入り江でたき火をしてお茶を飲んでから、岬で艦隊は解散する

♪まもなく船長はいうだろう
おりろよ、ジョニイ
陸にあがって給料もらえ
これがわしらの旅路のおわり
おりろよ、ジョニイ 船乗りらしく
船に未練が残らぬうちに
これがわしらの旅路のおわり










訳者のことば

アーサー・ランサム
1884年 イギリス生まれ 本書を出したのは46歳の時
舞台になっている湖は、イングランド北部のウィンダミア湖









物語の舞台になる場所を読者の目に見えるように描いたり
登場人物を生きた人間として描くのは、よい物語に欠かせないこと

新鮮な興味、行動への意欲、自然の恵みの享受など
時代が変わっても、人間が持ち続ける喜びをとらえている






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