メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『水で書かれた物語』(1965)120min

2025-01-10 12:56:26 | 映画
監督:吉田喜重

出演
松谷高雄、静雄の父:岸田森
松谷静香、静雄の母:岡田茉莉子
松谷静雄:入川保則
少年時代の静雄:中川わたる

橋本伝蔵:山形勲
橋本光枝:益田愛子
橋本ゆみ子、伝蔵の娘、静雄の婚約者:浅丘ルリ子
芸者 花絵:弓恵子
山谷みさ子:加代キミ子
下島京子:三村薫
村田:中村孝雄
山崎、静雄の上司:桑山正一 支店長
ばあや:田中筆子




「岡田茉莉子さん出演作まとめ」に追加します

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終始、暗くて、不安になる音楽と映像
幽霊みたいな人物で気が滅入る


【内容抜粋メモ】
冒頭から不穏な音楽

銀行でたくさんの札を数える女性たち

松谷静雄の引き出しに手紙が入っていて驚く
「松谷静雄よ 橋本ゆみ子はバージンでしょうか」

仕事終わりにクルマで待ってるユミコと父・伝蔵
山崎はシズオの母シズカと結婚したいのを茶化すユミコ

伝蔵:この10年ずっと1人だったかい?
伝蔵とシズカは男女の仲







山奥の温泉旅館に来るユミコとシズオ
少年時代に父母と来た記憶が戻る
父が体を洗ってくれるが喀血する

ユミコは手紙の件を知っている
シズオ:結婚する時は相手の過去を気にしない
シズオは手紙を焼く



橋を歩くシズカ
友だちから母が美人だとからかわれる



芸者・花絵は接待で酔ったシズオを誘惑する
ユミコとは中学の時からの同級生
ハナエをよこしたのは社長の伝蔵

シズオは結婚がイヤになりシズカに言うが失礼だと言われる



山谷みさ子が娘を連れて結婚祝いに来る

みさ子が結婚する際、処女でないことをさとられない方法を教える母の話を盗み聞きする少年シズオ








シズカは買い物に出かけるからみさ子に留守番を頼む
結婚するのが嬉しいと話してシズオを誘惑するみさ子



またシズオの引き出しに手紙が入っている
同じ部署の女性社員が犯人で泣いて謝るが男の字
書いた男性社員は謝り、平手打ちするシズオ

シズカは結核の夫タカオを看病し、キスするのを見るシズオ
シズカ:生きて呼吸してくださるだけでいいのよ!

空襲警報が鳴り
タカオ:早く家に帰ってお母さんを守ってやれ!



ユミコの母・光枝は長患いで伝蔵はあちこちに愛人をつくっていたのをユミコも知っている
シズカもそのうちの1人だった
シズカ:シズオもうすうす知ってるかもしれないわ

シズオはハナエとの関係も続いている
ハナエ:あんたってお母さん子でしょ

おままごとをする友だちを影から見ている少年シズオ
シズオ:僕、妾の子か? と母に言うと、泣きながら棒で殴られる

シズオはシズカに伝蔵との関係を問い詰める
シズカ:いつかは聞かれると思ってた
シズオ:僕が伝蔵の子どもならユミコと異母きょうだいになる

シズカ:あなたはお父さんの子です!
シズオ:結婚なんて誰が考えた形式なんだろう



4人で写真を撮り、シズオとユミコを見送り涙するシズカ







死の床にあるタカオはずっと覚えておきたいから裸を見たいと頼む
タカオ:おまえにはずっと美しくいてほしい

伝蔵:タカオの代わりにわしが愛してあげる



ユミコ:私との結婚を後悔してるのかと思ってた









同じ旅館に母の日傘が干してあるのに気づくシズオ

夜、バーベキューをしていると、酔った支店長・山崎が来て
シズオを係長に昇進させると約束し
嫁を探してくれとしつこく頼む

ユミコ:愛してないならハッキリ言ってちょうだい

シズオ:
この家にいると自分が自由な気がしない
君のお父さんにいつも見られてる気がする

ユミコ:私たちアパートに移りましょう



仕事帰りに実家に寄る
ユミコとの仲を心配するシズカ

シズオ:
新婚旅行の旅館に母さんの日傘が干してあった
お願いだから、もう会わないでほしい!

アパートでユミコは村田と浮気しているところにシズオが帰る

ユミコ:
今のあなたの眼、夫の眼じゃなかった
わざと村田さんを来させたのね
あなた、人間じゃないわ

シズオは母と伝蔵が関係していると明かす



シズオ:僕たち結婚するべきじゃなかった

伝蔵:
わざわざユミコに話すべきじゃなかった
わしも不幸な男だ 女房は寝たきりだし

父が亡くなった日
焼き場に伝蔵、妻、ユミコもいた
シズカはタカオが生きてる間に伝蔵と関係していた
シズオ:僕とユミコは異母きょうだいかもしれないですね

口論してクルマが事故る

人形を乗せた箱の後を喪服のシズカ、ユミコが歩いていく夢
自分の溺死体が眼を開けて白衣のユミコらが担いでいく
ユミコと抱き合い、気づくと母になっている








シズオは病院で意識が戻る
軽い脳しんとう、伝蔵もかすり傷
シズオ:ウチに帰ろうよ
シズカ:あなたはユミコさんの元へ戻らなくちゃいけないわ



シズオは銀行に辞表を出してしばらく休みたいと山崎に言う

マンションのベランダから中を覗くと
ユミコがペディキュアをしている

ひどく酔って実家に帰るシズオ
シズカは睡眠剤を飲んで眠る

シズカ:
夢を見ていた
大きな川をどこまでも流されて
前に来たことのある入江にいるの
夕日がキレイだった

シズオ:
いっしょに死のう
僕たちが自由になるには死ぬしかない

逆さになった能面のような顔が左右に揺れるトラウマになりそうなシーン







シズカはまた日傘をさして松谷の家から出てくる
ユミコはタクシーからおりてシズカを見かける







シズオ:母がいなくなった

今度はカメラが暗闇でグルグル回る

シズオとユミコは温泉旅館で聞くと
伝蔵とシズカは夜遅くに来たが、また出かけたと聞いて探す









伝蔵はクルマで事故って死んでいる
湖でボートに乗るシズオとユミコ
すれ違ったボートから女ものの草履を投げこまれる
湖に母の日傘が浮かんでいるのを見て
シズオは泣いてユミコにすがる




特典 「反メロドラマの時代」30min
吉田喜重、岡田茉莉子(聞き手:上野昴志)
収録日 2004年 場所:椿山荘







吉田喜重は1964年に松竹を離れて、独立して第1作目が本作

吉田喜重:
1年ほど暗中模索で大変だった
原作を読んでコレでやろうと決めた
中日新聞の映画部が資金を引き受けてくれた

岡田茉莉子:出来上がっても誰にも見せられないのかと泣きました

吉田喜重:
日活から浅丘ルリ子さんを借りて
封切にふっきれてホっとした

原作の石坂洋次郎さんは『青い山脈』のイメージがあるが、本作は違っていた
内容が母子相姦
日本における家庭、母と子を鮮やかに描けると思った

父権のピラミッド型、男性社会がいろんな不幸を招いた
たとえば戦争
母親的視点から日本を見直したかった

夫が早死にして、生活するため、1人息子を育てるために体を預けた女

岡田は私のために松竹を離れてしまった
男性から見られた可愛い、悲しい女はあっても
女性側から描いた映画がなかった
岡田を通して追及した

女性の性は何であるか?
ずっと欲望の対象として描かれていたのを反転させた
岡田は普通の奥さん、母親を演るにしても違ったものがある

岡田:
この役は難しかったです
まだあの時はまだそんな歳じゃないので
入川保則さんが私の子ども?!て驚いたw
イメージ通りの日傘を探すのも楽しい仕事だった

吉田喜重:
映画の最大の魅力は作ろうとしたもの以上はできない
俳優さんのもって生まれたものが加わって
それを封じ込めるようなことは言わない

岡田:
私はあまり説明されたことがない
シナリオを読んで、人物をつくる
吉田の作品に出る自分は違う
変な魔力があるんでしょうかw
他の俳優さんもみなそうだと思う


・『女のみづうみ』につながる4作

松竹から岡田主演で2年で4本契約しないかと提案があった
京都の撮影所が封鎖され、大船も縮小され、本数が減り、外注して作らざるを得ない
2本立てが1本立てになる端境期

撮影所を否定した作り方、両方体験した
撮影所はセット中心
独立してからは太陽が中心
自然光で撮るスタイルに大きく変わった

今でいうロードムービー
わずかなスタッフで町に泊まって協力を得ながら集中的に撮る

岡田:
問題は今はワイヤレスマイクがあるが、当時は全部アフレコ
撮影したものを全編あてるのが大変だった


一番大変だったのは『樹氷のよろめき』
ニセコで撮影して、私は高い所は得意じゃない
「雪玉を投げて、あそこまで行ってください」て言われて
寒いし、足がとられて大変だったw

吉田喜重:
一番ラスト マイナス20度 記録的な寒さで
岡田のアップを撮るとまつげが凍っていた
それぞれ作品のテーマは違うが1連の時代だった

・『さらば夏の光』でATGと組んだ

吉田喜重:
日本航空から企業映画を依頼された 企業のPRもできる
すべての国に発着するようになったのを記念して
いくつかの国を背景にできないかと言われて引き受けた

ATGは外国映画だけを上映していたが
日本の作品も上映する流れがあって配給をお願いした

岡田:
わずか7人で行った スタッフ5人 キャストが2人
ヘアスタイリングなどを兼任した

吉田喜重:
音は全部、日本に帰ってからのアフレコ
大半が行ったことのない国
まずヨーロッパに行って、場所に合わせて台本を書いて
岡田らはそれから演じる
現在進行形でつくった

岡田:
台本を書いてる間はアイロンがけしたりして
最後は観光もできたw


ギャラリー

撮影スナップ
すごい暗い映画だけど、撮影中は笑顔もあって楽しそうだな













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