メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ジュニア世界の文学3 マリアンネ ゲルトルート・ホイザーマン 学研

2024-10-02 13:34:51 | 
1970年初版 大島かおり/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


家族の問題は大なり小なりみんな共通してあるよね

母の死で終わるんじゃなくて、そこから家族関係を見直して
1人1人が自立していく過程に見ごたえがある物語


【内容抜粋メモ】

登場人物
マリアンネ・ハルトマン
クリスチアン 長兄 工場勤め
ベアート 次兄 教師になるために勉強している
ヒルデ 女中
ヨーゼフ 下男
祖父 母エルゼの父 元教師

エメネガー ウァルデック農場を乗っ取ろうと画策している
ペーター 息子

ハルダー先生 園芸学校の校長 恩師




マリアンネは16歳で園芸学校に入り、1年間過ごしたが
父から電話があり、母の具合が悪いから
すぐウァルデックに帰って来いと言われる

2年前と同様、手術になるかもしれない
母は慣れない農家の厳しい生活で体を壊して長い

父はストレスからアルコール依存症になっている
マリアンネ:ハルダー先生、私怖いんです 母が死ぬようなことになったら・・・

ハルダー先生
(若い人はぐずぐずしないものだ
心は重くても、一段おきにのぼっていく 絶えず前へ!



ウァルデックに着いて、まず祖父の家に寄る
この魔法のような庭がなかったら園芸家になろうとは思わなかっただろう

祖母はたくさんの喪服の人たちの夢を見たと繰り返してマリアンネをさらに不安にさせる
祖父:エメネガーはキツネだ もっと注意しなくてはいかん

母が惨めにやつれ果てて見えて愕然とする

母:
お父さんとクリスチアンを手伝うのよ
みんなで力を合わせて、仲良くね
ベアートに勉強を続けさせて
お父さんには忍耐が必要なのよ

そう言ってクルマに乗って病院に運ばれる
女中ヒルデ:死んでしまうんだわ! と号泣する

寝室で寝ていると、父や兄が起きて動いているのが聞こえる

ウァルデックには呪いがかかっている、という噂は昔からあった

最初の定住者は元ナポレオン軍兵士のカスパー
人の住めない荒れ地にわざわざ住み
周りは悪魔が手を貸しているに違いないと噂した

カスパーが脳卒中で死んでからは、彼の亡霊が出ると言われた
母はそんな噂は本当じゃないと笑い飛ばした

畜産農家のほかに、酒場兼食堂をやり、町からの行楽客が来るが
その収入ではマリアンネを学校に上げるのが精一杯だった



母は亡くなる
葬列が通ると人々の好機の視線が怖くなるマリアンネ

マリアンネ(人も花も、育ち、咲きほこり、そして散る いつも同じ繰り返し

クリスチアン:おまえにずっと家にいてもらうしかないと思うよ
マリアンネ:できないわ!

ベアート:僕はもう学校へは戻らないさ
クリスチアン:おまえじゃ2日ともたないよ

クリスチアン:
オレは百姓だ 親父が年をとったら、俺が農場を引き受ける
それまでは工場で働いて金を貯めるんだ

父はベアートの学費をびた一文出さなかったため、母が調達していた
母はベアートを立派な教師にするのが悲願だった

マリアンネが自分の学費をベアートに譲ると話すと、それも断るベアート
父とクリスチアンはまったく肌が合わない



マリアンネが荒れたクリスチアンの部屋を掃除していると
ヒルデはふくれる

マリアンネは苦しい事情を手紙に書いて、ハルダー先生に出すと
「苦しみを通して、その中で自分をもう一度見出すのです」と返事が来る

祖父が訪ねて来て、事情を話すと、孫たちが相続するはずのお金の一部を使って
ベアートとマリアンネの学費にあてると言ってくれる

叔母が手伝いに来てくれることになり、5月には園芸学校に戻れると喜ぶマリアンネ
だが、父は「ウァルデックの主人はオレなんだぞ!」と意地を張り
クリスチアンが農場を手伝うのを頑として断る

父は借金の足しに大事な牛を勝手に売ってしまい
クリスチアンと一触即発の状態になる

クリスチアン:
あんたは借金で首が回らなくなった!
あんたの友だちのエメネガーは、息子のペーターを主に据えると村で喋ってる

父が息子に無残に敗北したのを見て大きなショックを受けるマリアンネ
家も土地も抵当に入ってると分かり、安心していたことすべてが崩れはじめた

なにもかも儚いものだ
うつろわぬものは何一つない


追い出されるかもしれない今になって、初めて故郷の真の美しさに気づく

ウァルデックの夏祭りで、ペーターは「君と踊るのでなくては楽しくない」と言った
あれは嘲笑だったのか?
ペーターはかつてクリスチアンと友だちだったが
兄が工場勤めを始めてから会わなくなった

マリアンネ:私はこの家が好きなの、クリスチアン
クリスチアン:自分で農場を譲り受ける 父が承知しなければ非常手段をとる
マリアンネ:忘れないで、私たちのお父さんなのよ!

祖父が間に入り、クリスチアンが農場をしきることに決まる
神よ、父を救いたまえ!



学校に行く日、ヒルデは教会に行くと言って仕事を休んだ
4人分のランチの注文が入り、呼びに行くと家を出た後だった

隣家のエリカが来て、2人で急いで料理を作り急場をしのぐ

クリスチアン:
オレは自分に誓ったんだ 抵当に入った農地を取り返すまでは休まない
お前が協力してくれないとどうにもならないんだ

マリアンネは退学手続きをして荷物を取りに学校に戻る

ハルダー先生:
あなたの家族にはあなたがどうしても必要ですよ
あたながここで勉強したことは、けしてムダになりません
大庭園だろうと、古い農家の軒先だろうと、花の美しさに変わりはありません
夏と冬、雨と太陽、夜と昼、いずれも代わる代わるやってきます
歓びと苦しみも同じですよ


ハルダー先生に言われて、生徒たちは自分の好きな花の苗をマリアンネにプレゼントする



干し草作りのためにクリスチアンは1人で夜明けまで働く

ヒルデは工場勤めをして、あることないことハルトマン家の悪口を言いふらした
父も「子どもたちは親を親とも思わない」と息子の悪口に一役買っていた

雌豚が6匹のばら色の子豚を産んだ
それまで無関心だったが、可愛い姿に感動し、情がわくマリアンネ

だが、農家では常に予測不能なことが起きるのを覚悟している必要がある

豚の耳に斑点を見つけ、慌てて獣医を呼ぶと、すぐと殺して
全部に予防接種を打ち、他の豚を隔離するよう言われる

父はまったく協力せず、息子より下男を優遇する
かつては頼もしい庇護者であり、友だった父
あの頃は幸せだった



役所から手紙が来て、届けた牛乳が不潔だったため罰金をかするとある
細心の注意をはらっているマリアンネは下男ヨーゼフを疑う

仕事をさぼってばかりいるヨーゼフをクリスチアンは解雇する
ヨーゼフ:村にいい口がある

ヨーゼフの仕事はマリアンネに周り、毎朝、村まで牛乳を馬車に運ぶ

ペーター:
君たちの下男がおとといからうちにいるよ
なぜ追い出したんだい?

ヨーゼフが戻ってきて、エメネガーはこれまでよりいい給料を払うと約束したのに守らなかったと話す
牛乳の異物混入も、ブタの病気もエメネガーの指示だったと分かり呆然とする父
クリスチアン:お前に用はない!



ペーターの友人から今年はウァルデックのダンスはないのかと聞かれる
マリアンネはクリスチアンから父に聞いてみるよう促す

最初は断った父だが、次第に態度が和らぐ
父:ダンスをやれば金が入る 夏祭りには賛成だよ

ベアートも帰省し、友人らが楽団員を務める
ペーターの友人たちは舞台の設置を手伝う

席は満席になり、ペーターは父親を連れて来て、マリアンネをダンスに誘う
ペーター:僕は親父の意図は知ってるが、友だちの不幸を利用するような人間じゃない

夏祭りは大成功
クリスチアンとエリカが親密なのを見かけて、自分だけ孤独に感じる

母の言った忍耐とは何だろう?
母は忍耐の連続だった

私はこの世に生まれてこのかた、ただひたすら待っていた
子どもの頃は大きくなるのを待ち、学校を卒業するのを待ち
大人になるのを待ち、職業を身につけるのを待ち、、、

待つということは、何もしなことではない
自分の力のすべてを尽くし、なお希望を捨てないことだ

私はペーターと踊りたい!

ペーターはマリアンネの父が家に来て、エメネガーと口論になったと話す
ペーター:僕が少しも変わっていないと証明したかった
マリアンネは来年はダンスすると約束する

その日から父は農場を手伝うようになる
麦刈りは父と息子、イズラー家も手伝った

ペーター:
トラクターを持ってくる
昨日、親父と話したんだ

ペーターとクリスチアンの友情も戻り、父の笑い声が戻る




あとがき

ゲルトルート・ホイザーマン
スイスの女流作家

『河畔のふるさと』
『イレーネ』
『アンネとルート』ほか、十代の少女たちの作品が多数

無心な子ども時代に決別して、未知の人生に歩み出す精神の葛藤と成長の過程を描く

学業の中断、将来の断念、家族の経済的精神的崩壊、親子の不信や離反など
私たちの多くが経験する問題を瑞々しく描いている



コメント

映画『黒の奔流』(1972)

2024-10-02 13:12:55 | 映画
原作:松本清張 監督:渡辺祐介

出演
貝塚藤江:岡田茉莉子 多摩川渓谷の旅館の女中
矢野武:山崎努 弁護士
若宮正道:松村達雄 弁護士会会長
若宮朋子:松坂慶子 娘
由基子:谷口香


※プラス松竹対象作品

「岡田茉莉子さん出演作まとめ」に追加します


途中からまんま『陽のあたる場所』になってた/驚
執着で相手をつなぎ留めてもどうにもならないのになあ


【内容抜粋メモ】
電車が通ると揺れる貧乏法律事務所
興奮して結婚詐欺だと訴える母親(菅井きん)

矢野:
訴えるのか示談にするのか決めないと
法律上の制裁を期待するのは難しい
娘さんの男性認識の正しい目を養うか



事務所の女性社員と寝てる矢野
あわよくば若宮のお嬢さんをお嫁にもらいたいと狙っている



弁護士会館
若宮が娘・朋子と事件の話をしている

アベコンツェルン御曹司・阿部タツヒコの殺人事件
起訴されたのは貝塚藤江25歳
奥多摩に突き落とした 極刑の死刑

フジエ:私はやっていません

面会で当時の事情を聞く矢野
奥多摩駅まで2km フィルムを買ったのが17時半頃







アベが案内してくれと声をかけて山道を戻った
吊り橋の手前で旅館までの道を教えて別れた 18時5分頃

土手のそばで30分ほどたたずんでいたが誰も見ていない
体を与え、金をとって突き落としたというのが検察側の推測
橋にTAとイニシャルのついたアベの万年筆が落ちていた

部屋で着替えているのを同僚のモリモトに見られた
乱れた髪を直してて、質問しても何も答えなかった

裁判の検察:
5万円は貯金というが、そんな大金を財布に入れるだろうか?
下着まで当夜に洗っているのは証拠隠滅のため

裁判・矢野:
決めてがないのに起訴したのはおかしい
自殺や過失死の可能性を消している
唯一の物的証拠は万年筆だけ
犯罪には直接結びつかない
証拠品をわざわざ持ちかえるのはおかしい

往復に約1時間かかる
55分の過剰時間 13分間でできる犯行だろうか?
和服で走れば通常より遅くなる

新たな証言者・食堂の女性(吊り橋の手前に住んでる):
アベがフジエと歩くのを18時過ぎに見た

フジエはウソをついていたのを認める
フジエ:橋を渡ってから別れました 不利になると思ったから

また新たな証人
バスに乗った女性が18:50に聞いた男の絶叫はアベのものかは分からない
橋から落ちた時の絶叫かもしれない
現場から旅館に5分で帰ったことになる

アベの私生活は正しくなかった
死の前日、女性のもとに立ち寄っている
数千円しか持っていなかったのは女性に与えた可能性もある
フジエは無罪である

若宮と朋子も裁判を見ている

強盗殺人事件の判決は、無罪
フジエは涙を流して矢野を見る

新聞でも大きく報じられる

ビールで祝杯を上げる

矢野:
プレッシャーからやってもいないのにやったと言ってしまう人もいる
辞める女性の代わりにフジエを雇ってもいい
アパートを探してやらんと

フジエ:何も差し上げるものがない 先生さえよかったら私の体を
矢野は断るが下心みえみえ



翌日、記者から取材を受ける
フジエを雇ったのも美談として載せると請け合う
山村産業の顧問弁護士の席もある

若宮の家でも祝杯を出される
若宮:君の勝負はこれからだ 娘ともども期待してるからね

テレビでドリフターズやってる

矢野はフジエのアパートに来る
慌てて隣りからビールを借りて出す

フジエ:はしたないこと言って怒ってると思った バカだから、私・・・
矢野:裁判が終われば男と女だ

2人は関係をもつ

フジエ:こうなる予感がしてた

矢野:
君たちのような弱い人の味方になりたい
周りの目があるから慎重に行動しよう

フジエ:私ずっと影の女でいいんです

矢野:いったん無罪が決まれば、二度と同じ事件で裁判を起こすことはできない
(これが犯罪に使われる小説がたくさんあるよね 見直さないのか?



矢野とフジエがデキてることに気づいてる岡橋

岡橋:
気をつけたほうがいい
若宮先生のお嬢さんも女ですから
ホテルのマッチなんか持ち歩くものじゃないわ

岡橋はフジエにも忠告する

岡橋:
あの人はあなたに道草食ってるだけ
気をつけないと雑巾みたいに捨てられるわよ
若宮先生の娘はとても私たちの敵じゃない



朋子といい雰囲気で帰る矢野
矢野:僕は亭主関白ですよ
朋子:私、ついていけるかしら







フジエが玄関前で待ってる

フジエ:先生、岡橋さんとも関係してるんですね

矢野:
余計な詮索はしないでほしい
一生影の女でいいと言ったのは君だ
オレといるか離れるかも君の意志だ



若宮:頭取が朋子との媒酌人になると言って聞かない

レストランにフジエが来て、わざわざ矢野から見える席に座って見つめる

矢野は朋子を家まで送る
フジエが公衆電話からかけるが無言(コワっ

フジエのアパートに来て責める

フジエ:
影の女でいいって言ったこと撤回します
生まれてくる子どものために父親がほしい
結婚してください

矢野:
オレの子どもか分からない
もともと愛しちゃいなかった
無学なお前とオレが釣り合うと思ってるのか!
日陰者らしくしてりゃいいんだ!
鉄格子で臭い飯を食べてたかもしれないのに誰のお陰だと思ってる!

フジエ:
あなたは私から離れることはできない
アベ殺しの真犯人は私です

あの男と吊り橋を渡った
私を強姦してみせるとゴルフ仲間と賭けていた

アベにレイプされる

アベ:
銭を払うと強姦にならない せっかく賭けしたのにオレの負けだ
銭払うとパンパンと変わらない
貧乏人は銭、銭ってかなわないなw

アベともみ合って、崖から落ちた
5万を盗んで走って逃げた
ちょうど外人のクルマが通りかかった 通行止めの看板が読めなかった

アベの革表紙の手帳を見せる

フジエ:
私、先生を誰にも渡したくない
若宮先生のお宅に行きます
裁判所へ行って、矢野先生は共犯者だって言います!

矢野:法律でかたがついてる やれるもんならやってみろ!



フジエをアパートから尾ける矢野
若宮家からすぐ出て来るフジエ
女中:矢野が急用で来ると言っていた

事務所から出て来るフジエ
フジエ:明日、出直してきます

矢野:なんとか知恵を貸してくれ

岡橋:
六本木あたりに洋裁店が欲しい 500万かかる
交換条件よ フジエを事故死に見せかけて殺すのよ
私が証言してあげる
過失死にするか、事故死にするか

フジエは裁判長に真実を手紙に書く

矢野はフジエを家に呼ぶ

矢野:
この家にずっと住んでもらいたい
バラされるからじゃない
朋子さんとの結婚はやめる
もう一度、君といっしょに裸で出直そうと思う
生まれてくる子どものためにも結婚しよう

裁判長への手紙を破る
矢野:2、3日、旅行しないか?



クルマで湖畔の旅館に泊まる
女中:オフシーズンで人が少ない
矢野:釣りに出るからボートを出したい
女中:明日は霧が出る
フジエは泳げない

矢野は眠らずに考えているのを疑うフジエ



釣り道具を乗せてボートを出すと霧が出てくる








フジエ:
私を殺そうと思ってるんでしょ
昨夜、あなたの目を見て分かった

矢野:お前はこのボートと一緒に眠るんだ

ボートの栓を抜く

矢野:自分の命を守るために相手を助けられなくても罪にはならない

フジエは果物ナイフで矢野を刺す
フジエ:先生は私だけのもの!

裁判長にまた手紙を書いた
「2人で死を選びます アベ殺しも私です」





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