沢田洋太郎ほか/訳 市川英夫&プラスB/装丁 シドニー・バッジェット/挿絵
1983年初版 1989年8刷
※「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します
【内容抜粋メモ】
●白銀号事件
ウェセックス杯の人気馬の奇怪な失踪と
その調教師ジョン・ストレーカーが殺された事件
ホームズ:
たくさんの利害が絡んで
新聞記者らが尾ひれをつけて
いろんな推測や仮説が飛び交って困っている
白銀号の持ち主ロス大佐は白銀号を守るために3人の不寝番をつけていた
2マイル離れた所にはライバルの馬がいて、預かっているのはサイラス・ブラウン
メイドのエディスは食事を持っていくとシンプスンという男が現れて
お金を渡し、たしかな予想を教えてくれと粘る
見張りのハンターが犬をけしかけようとした頃には男は消えていた
3人はカレーに入れられたアヘンで眠らされ
ストレーカーは鈍器で殴死、馬は消えていた
調教師がシンプスンのネクタイを持っていて、シンプスンは捕まり
鉛の入ったステッキが凶器と判断された
ロス大佐とグレゴリ警部に会うホームズとワトソン
すべて状況証拠で動機も分からない状況
ストレーカーのポケットには白内障ナイフがあった
ダービシャーという金のかかる女性が絡んでいる
ホームズ:
馬は群れをなして生きるものだ
1頭になったら厩に戻るかケープルトンに行くか
厩にいないのだからケープルトンにいるはずだ
ケープルトンに行くと白銀号の蹄鉄の跡がある
サイラスに会い、最初は威勢よく追い出そうとしていたが
ホームズがすべて明かすとすっかり人が変わり弱気になって
レースには必ず白銀号を出すと約束
3頭のヒツジが脚を怪我していると分かり喜ぶホームズ
夜中に犬が吠えなかったのも重要と考える
ウェセックス杯当日、ロス大佐とレースを見て
見事に快勝した馬こそ白銀号だと言う
栗毛をアルコールで拭くと特徴の白い毛があらわれる
ホームズ:
正当防衛だったのです
犬が吠えなかったのは、馬を連れだしたのはストレーカーだったから
調教師が賭け屋を通して対抗馬に賭けて
自分の馬を負けさせ、大金を手にした事件は過去にもいくつもある
ストレーカーは二重生活をしていて、金のかかる婦人が絡んでいた
見ても分からないようにナイフで腱に傷をつけた時
馬が蹴ってストレーカーの額に当たって死んだ
その手術の練習をヒツジでした
馬はケープルトンに逃げて、サイモンが隠していた
●黄色い顔
ホームズの食事は大抵質素なもので
ホームズの精力と才能は難しい事件の時にこそ発揮された
ハイドパークに散歩に出て戻ると来客があり、パイプを忘れていったため
どんな人物かを推理する
ホームズ:
パイプは懐中時計と靴紐を除けば
これほどその人の個性を示すものはない
グラント・マンロがいきなり部屋に入ってきて
自分の妻エフィの不審な行動で気が狂いそうだと相談する
グラント・マンロ:
エフィは未亡人で旧姓はヘブロン夫人
若い頃はアトランタにいて、子どもが1人いたが
黄熱病で夫と子どもを亡くした
結婚し、全財産を私に譲ったが
ある日100ポンド欲しいと言い、わけを言わない
別荘にようやく借り手がついて
その窓からなんとも異様なくすんだ土気色の顔が出てきてすぐ消えた
気になって訪ねると怖い女に押し返された
ある夜、妻が部屋を抜け出し
わけを聞くと「外の空気を吸いたかった」とウソをついた
その後、別荘から妻が出て来たため
中に誰がいるのか確かめようとすると
エフィ:
あなたのためを思えばこそ隠しておこうとしているのよ
このまま帰ってくだされば、すべては丸くおさまるわ
こんなことを二度と繰り返さないなら、今回は目をつぶると言い
しばらくは何も起きなかったが、いつもより早く帰宅した日
エフィがいなかったため、別荘に入ると誰もいない
部屋には妻の写真があった
ホームズ:
もう一度別荘に戻っていないか確かめて
もしいたら電報を打ってください すぐ伺います
それからすぐに電報が来て、ホームズとワトソンはマンロ氏と落ち合い
部屋に押し入ると、仮面をかぶり、手袋をした黒人の少女が笑っている
エフィ:
夫はアトランタで死にましたが、子どもは生きていました
夫はこの世でもっとも高潔な男でした
私はこの人と結婚するため、白人と縁を切りました
子どもは黒人の血を濃くひいたのは不運でした
けれど、黒かろうと白かろうと、この子は私のかけがえのない子です
体が弱くて、土地が変わるとよくないと思いアトランタの女性に預けていた
たまたまあなたと知り合って結婚し、話す勇気がなかった
でも数週間でも手元に置こうと、乳母に100ポンド送り別荘に住まわせ
噂がたたないように、顔と手を隠した
マロン氏は子どもを抱き上げてキスをし
マロン:私は自慢できる男じゃないが、お前が考えてるよりましだと思うよ
ホームズ:
僕が少し自惚れたり、手を抜いてると思ったら
ノーバリと囁いてくれたら大いに有難いよ
●株式仲買店員
ワトソンが結婚して間もなくの話
しばらく会っていなかったホームズが珍しく病院に来た
ワトソンを誘ってバーミンガムへ向かう途中
依頼人のホール・バイクロフトという青年が改めて事件のあらましを話す
株式仲買店に勤めていたが、ベネズエラ公債の問題で行き場をなくし
一文無しになり、求人広告に応募した
計理士アーサー・ピナーはバイクロフトの仕事ぶりを褒め
月曜から行く予定のモースンの仕事を蹴って
金物株式会社の支配人になれば給料は相当はずむと言う
兄のハリー・ピナーが発起人で専務取締役
100ポンドを前払いしたため、バイクロフトはそれを受け
モースンに断りの手紙を書くと言うと止めるピナー
バーミンガムの事務所に行くとホールと瓜二つで
髪の色が違い、ヒゲを生やした兄ハリーに会う
フランス中の代理店に大量に陶器を出荷するため
パリの人名録を全部書き抜いて欲しいという仕事をもらう
それを終えると次は家具屋のリストを作らされる
彼が笑った拍子に同じ歯に金を詰めてあるのが見えて
兄弟は1人2役と分かる
どうしてそんなことをするのかホームズに相談し
ホームズとワトソンが職を探している友人だと紹介する
ハリーは悲しみと恐怖の入り混じった顔をして
奥の部屋に入り、大きな音がしたため、ドアを蹴破って見ると
ズボン吊りを首に巻いて死のうとしていたのを助ける
ホームズ:
彼は君の筆跡を手に入れたくてリストを作らせた
モースンには君のフリをして会い、そこで働き始めた
“モースンで殺人 強盗のくわだて 犯人は逮捕される”
という新聞記事を読んでみせる
ホームズ:
人間性はいろいろな面がある不思議なものだよ
人を殺すような悪党でも弟には愛されていて
兄貴が首をくくられるとなると、自殺しようとまで思うんだからね
(1回読んだだけじゃ意味が分からなかったけれども
弟は1人2役で青年を騙していたけど、兄は本当にいたのか
●グロリア・スコット号
これはワトソンの結婚前の事件
冬のある日、ホームズはこれまで話そうとしなかった
最初に関わった事件の記録をワトソンに見せる
ホームズ:
トレバーは私が大学に2年いた時の唯一の友だちだ
彼のブルテリアが僕のくるぶしに噛みつくという偶然で知り合った(w
勇気と精力にあふれ、どこも僕とは正反対だったが
同じところもいくつかあると分かった
彼の父は妻に先立たれ、友人はたった1人の息子だった
僕の観察と推理のくせの話になり
「わしを見てなにか推理できるかな」と言われて
採掘で財産を作ったことのほかに
J.A.と彫られた刺青を消したことから
とても親しかったが忘れたがっていることを話すと
心臓が弱いトレバー氏は急に発作で気を失う
トレバー氏:
これこそ、君の進むべき道だ
わしはいくらか世間を見てきた
そのわしが言うのだから信用していい
この言葉が後にホームズを私立探偵にさせるきっかけとなった
その後、トレバー氏はホームズが何か推理してはいないか気にかかり
ホームズは気をきかせて友人宅を発とうとしていた日
くたびれた船員ハドスンが来て
トレバー氏はまたひどく狼狽する
ハドスン:
30年ぶりで ベドーズさんかあんたの所に来れば
なんとかしてくれるとアテにしてましたんで
その後、ホームズは大学に戻ったが、友人から電報が来て
トレバー氏が瀕死と聞いて、また友人宅に戻るが
トレバー氏は息を引き取った後
ハドスンが来て、執事にさせ、家の中を好き放題にしていたため
友人は怒ってつまみ出したら、父から謝ってくれと言われて驚く
その日の夕方、ベドーズを訪ねると言ってハドスンは家を出た
それから手紙が1通届いて、それを読むと父は卒中を起こした
ホームズは差出人はハドスンではなくベドーズではないかと推理
3語ごとに読んで解読すると
“万事休す ハドスンがすべてをばらした 死にものぐるいで逃げろ”
トレバー氏が死ぬ前に息子に書き遺した書きつけをホームズも読む
トレバー氏:
自分の地位を失うより、わしを愛し、尊敬してくれたお前が
わしのために恥をしのぶと思うと苦しいのだ
若い頃はジェームズという名で、賭博で借金を作り
勤めていたロンドン銀行の金に手をつけた
すぐ返せると思ったが使いこみがバレてしまい
オーストリアに向かう小型帆船グロリア・スコット号に乗せられた
昔からの囚人船はクリミア戦争に使われ、茶を運ぶ船の壁はやわなものだった
隣りのジャックは船を乗っ取る計画を立て
囚人と牧師、船員まで買収したと明かす
医者が病気の囚人を診察した際、ピストルが見つかって
計画より早く実行に移され、船員を射殺した
自由になった祝い酒を飲んでいると
生き残った中尉と部下に撃たれ血の海と化す
怒ったジャックは彼らを射殺して海に捨てる
残った看守、航海士、医者も殺そうとするが
もう血生臭いことは勘弁だと言う者が出て
ボートを1艘やると言われてそれに乗った
少し漕ぐとグロリア号から黒煙があがり慌てて戻る
若い水夫ハドスンを助けて顛末を聞く
生き残った船員がどうせ助からないなら火薬樽に火をつけて船ごと沈めてやると言い
囚人が早まって撃ったことで爆発して沈んだらしい
その後、仲間と私は名前を変えて鉱山で成功し
植民地帰りの金持ちとしてイギリスに戻り屋敷を買った
ベドーズが暗号でハドスンがすべてをバラしたと書いてきた
神よ 憐みを!
ホームズ:
友人はその後、インドのテライ茶園に行き成功したそうだ
ハドスンとベドーズは行方知れず
ハドスンは脅しだけだったが、ベドーズは信じたのだろう
警察はハドスンがベドーズを殺したと思っているが逆だろう
ベドーズがハドスンを殺して、金を持って国外へ逃げたのが真相だ
君のコレクションに役立つなら使ってくれたまえ
●マスグレーブ家の儀式
ホームズの生活ぶりはとてもだらしなくてイライラするくらいだ
壁に弾丸でV.R(ビクトリア女王の頭文字)と穴をあけたこともある(!
事件を解決した後は、ソファとテーブルの間を行ったり来たりするほかは
ほとんど動かない
たくさんの資料もそのままで捨てる気はないため山積みで
これから2時間一緒に片付けないかと誘うと
ブリキの箱にたくさん事件の記録が入っているのを見せる
若い頃の記録で、蓋つきの木箱から分からない物がいろいろ出てきて
それに関する事件の話を始めて、ワトソンは聴き入る
ホームズ:
『緋色の研究』の頃はもう職業として安定していた
ロンドンに出て来ると、大英博物館のそばに部屋を借りた(驚
マスグレーブ家の儀式は仕事の3番目だ
レジナルド・マスグレーブは同じカレッジにいた指折りの名門出身
2年ほど前に父が亡くなり、屋敷を管理することになった
「君の知恵を借りたい」と相談を受ける
ハールストンの屋敷は広くて、かなりの召使がいる
一番古いのは執事のブラントン
よく働くが男やもめになってから年中ごたごたを起こしている
メイドのレイチェルと婚約したが捨ててしまい
彼女は気がふれた状態になった
ある夜、彼が事務机の引き出しから書類を出しているのを見つけた
マスグレーブ家の儀式を行う際の問答を書き写した紙きれだ
家を出て行くよう命じた翌日姿を消した
家じゅう探したが持ち物全部置いて出て行くなんて信じられない
その後、レイチェルも行方不明になった
池から奇妙な物がいろいろ出てきたが、遺体はなかった
ホームズ:どんなにもつれた糸にも必ず端っこはあるものだ
問答は木から何歩という宝物の隠し場所を口伝したものの様子
ハールストンの屋敷に来たホームズは、その問答に沿って
地下室にある箱につっぷして死んでいる執事を見つけるが
中身はすでにない
ホームズ:
相手の立場になってみるのさ
僕が同じ条件に置かれたらどうふるまうか想像するんだ
この石は1人では動かせない
レイチェルに手伝わせて中身を渡したのだろう
女は自分を傷つけた男に復讐の炎を燃やした
つっかい棒が外れたために、恋人は窒息した
池に中身を投げて証拠をなくそうとした
チャールズ一世は逃げ出す時に財産を埋めた
平和になったら取り戻すつもりだった
これは昔のイギリスの王冠だ
手元に置く許可を得るには法律上のゴタゴタがあるだろう
レイチェルは国外に逃げたのだろう
●ライゲートの地主
ホームズが大きな事件を解決した疲労で病気になったと電報が来て
ワトソンはすぐに駆けつける
その事件のためにホームズの名はヨーロッパ中に知れ渡った
アフガニスタンにいた時の患者ヘイター大佐が
サリー州の家に来て欲しいと言っていたので
ホームズを誘って休日を取らせる
アクトンという金持ちの家に泥棒が入り
詩集や燭台など奇妙な物が盗まれた
事件の匂いを嗅いだホームズをいさめるワトソンw
カニンガム治安判事の御者ウィリアムが胸を撃たれて死んだ
アクトンはカニンガムの土地の半分は自分のものだと言ってモメていると知る
ホームズ:強盗団は盗みをやる場所をあちこちかえるのが普通だ
フォレスター警部はホームズが必要とする情報を即座に提供する
ウィリアムを撃ち殺した犯人をカニンガム親子が見ている
ウィリアムが握りしめていた紙切れは半分がちぎれている
会う約束を書いたメモらしい
ホームズの顔がみるみる赤みをおび、目が輝くのを見て
事件解決を止めるのを諦めるワトソン
カニンガムの家を訪ねて、紙きれの話になると
ホームズは急に発作を起こして倒れて驚かす
ホームズ:
犯人逮捕のために懸賞金をかけてください
火曜日の午前1時・・・
犯行時刻は12時のため、カニンガム老人に書き直してもらう
こうした失態を重ねて、ワトソンはいよいよ心配になる
わざとテーブルをひっくり返して、それをワトソンのせいにして
ホームズは姿を消し、次に「助けてくれ! 人殺し!」と叫んだため
駆けつけると、カニンガム親子がホームズにのしかかり殺そうとしている
ホームズ:ウィリアムを殺した容疑で逮捕するんだ!
警部はまさか町の名士が犯人とは信じがたいが
手紙の残りを持っていたため逮捕する
ホームズ:
犯罪を見破る上で一番大切なのは、たくさんの事実から
本当に重要なものとそうでないものを見分けることです
僕は絶対偏った見方をしません
この手紙は2人が代わる代わる書いたものです
書いた文字を見て、その人の年齢を推定する方法は
専門家の研究でかなり正確なところまできています
この文字には1つの家族のクセが表れている
正体不明の男など始めからいなかった
カニンガムとアクトンは土地のことで争っていた
2人は裁判に影響する書類を手に入れようと家に入り
泥棒に見立てるために手辺り次第盗んでいった
警部があの手紙のことを話しかけて
僕が発作を起こしたおかげで話題が変わった
カニンガム老人に12という文字を書かせた
紙きれの文字と比べるために
ドアにガウンがあり、ポケットをさぐるともう一方の紙が見つかった
そこに親子が襲いかかってきた
ウィリアムはあとを尾けて、彼らに口止め料をゆすったため殺された
ワトソン、田舎で静かな休暇を過ごす計画は大成功だ
明日は元気いっぱいでベーカー街に帰れそうだよ
■シャーロック=ホームズを推理する 各務三郎
●贋作ホームズ物語
ホームズ物語に感銘を受けたオーガスト・ダーレスは
ドイルに続きを書かないのかと尋ねて書かないと言われて
自分で書いたのが『黒水仙の冒険』
ボンス探偵を人々は「ブレード街のシャーロック・ホームズ」と尊敬している
こうした物語は贋作、パロディと呼ばれる
パロディは、もじり詩、偽文、模倣したもの
日本の川柳、狂歌もパロディの一種
『贋作展覧会』では21人の名探偵が描かれている
パロディにされる回数が多いほど、有名な探偵ともいえる
ホームズ物語の贋作とパロディが一番多いのではないか
最初に書かれたホームズパロディは『ペグラムの謎』
エラリー・クイーンの編集した初めてのホームズパロディアンソロジー
『シャーロック・ホームズの不運』は素晴らしい本だが
ドイルの息子アドリアン・コナン・ドイルから文句をつけられ
店先で売るのを禁止され、残るのは、ベーカー街イレギュラーズに配られた125冊だけ
日本でのパロディ・贋作アンソロジーは『ホームズ贋作展覧会』
宇宙で活躍するホームズ物語もある
『バスカビル家の宇宙犬』(w
モリアーティ教授が活躍するビカレスク(悪漢小説)
『犯罪王モリアーティの生還』もある
ホームズ物語にあり、書かれなかった事件簿については別の機会にする
(やっぱりあるのか!
「セサミ・ストリート」で放映された
『シャーロック・ホームズ・ヘムロックといたずら虫の怪事件』は小冊子になっている
ネズミの国のホームズと言われる名探偵シリーズ
ホームズの下宿の地下室に住み、テクニックを盗み聞きしたのですから
素晴らしい推理力を発揮するのも当然でしょう(w
■作品解説
●白銀号事件
当時、イギリスが海外に多くの植民地を持っていたことが分かる
ドイルは動物にあまり詳しくなく、時に間違いを書いている
馬の帰巣本能を無視して、自分の厩舎に帰らず
遠い別の厩舎に行ってしまったことは非難された
(たまたまそういう馬がいるかもしれないのに?
●黄色い顔
「片側だけひどく焦げているのはランプやガスで火をつける習慣があるから」
という一文もパイプ愛好家の顔をしかめさせた
(たまたまそういうクセの人がいるかもしれないのに?
●株式仲買店員
『赤毛同盟』に似ているが江戸川乱歩は本編をホームズ物語ベスト12に数えている
●グロリア・スコット号
ホームズが学生時代に解決した事件
●マスグレーブ家の儀式
血生臭いイギリス王朝の王位継承の歴史が浮かび上がる
●ライゲートの地主
筆跡鑑定の歴史は6世紀の東ローマ帝国までさかのぼるといわれる
1983年初版 1989年8刷
※「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します
【内容抜粋メモ】
●白銀号事件
ウェセックス杯の人気馬の奇怪な失踪と
その調教師ジョン・ストレーカーが殺された事件
ホームズ:
たくさんの利害が絡んで
新聞記者らが尾ひれをつけて
いろんな推測や仮説が飛び交って困っている
白銀号の持ち主ロス大佐は白銀号を守るために3人の不寝番をつけていた
2マイル離れた所にはライバルの馬がいて、預かっているのはサイラス・ブラウン
メイドのエディスは食事を持っていくとシンプスンという男が現れて
お金を渡し、たしかな予想を教えてくれと粘る
見張りのハンターが犬をけしかけようとした頃には男は消えていた
3人はカレーに入れられたアヘンで眠らされ
ストレーカーは鈍器で殴死、馬は消えていた
調教師がシンプスンのネクタイを持っていて、シンプスンは捕まり
鉛の入ったステッキが凶器と判断された
ロス大佐とグレゴリ警部に会うホームズとワトソン
すべて状況証拠で動機も分からない状況
ストレーカーのポケットには白内障ナイフがあった
ダービシャーという金のかかる女性が絡んでいる
ホームズ:
馬は群れをなして生きるものだ
1頭になったら厩に戻るかケープルトンに行くか
厩にいないのだからケープルトンにいるはずだ
ケープルトンに行くと白銀号の蹄鉄の跡がある
サイラスに会い、最初は威勢よく追い出そうとしていたが
ホームズがすべて明かすとすっかり人が変わり弱気になって
レースには必ず白銀号を出すと約束
3頭のヒツジが脚を怪我していると分かり喜ぶホームズ
夜中に犬が吠えなかったのも重要と考える
ウェセックス杯当日、ロス大佐とレースを見て
見事に快勝した馬こそ白銀号だと言う
栗毛をアルコールで拭くと特徴の白い毛があらわれる
ホームズ:
正当防衛だったのです
犬が吠えなかったのは、馬を連れだしたのはストレーカーだったから
調教師が賭け屋を通して対抗馬に賭けて
自分の馬を負けさせ、大金を手にした事件は過去にもいくつもある
ストレーカーは二重生活をしていて、金のかかる婦人が絡んでいた
見ても分からないようにナイフで腱に傷をつけた時
馬が蹴ってストレーカーの額に当たって死んだ
その手術の練習をヒツジでした
馬はケープルトンに逃げて、サイモンが隠していた
●黄色い顔
ホームズの食事は大抵質素なもので
ホームズの精力と才能は難しい事件の時にこそ発揮された
ハイドパークに散歩に出て戻ると来客があり、パイプを忘れていったため
どんな人物かを推理する
ホームズ:
パイプは懐中時計と靴紐を除けば
これほどその人の個性を示すものはない
グラント・マンロがいきなり部屋に入ってきて
自分の妻エフィの不審な行動で気が狂いそうだと相談する
グラント・マンロ:
エフィは未亡人で旧姓はヘブロン夫人
若い頃はアトランタにいて、子どもが1人いたが
黄熱病で夫と子どもを亡くした
結婚し、全財産を私に譲ったが
ある日100ポンド欲しいと言い、わけを言わない
別荘にようやく借り手がついて
その窓からなんとも異様なくすんだ土気色の顔が出てきてすぐ消えた
気になって訪ねると怖い女に押し返された
ある夜、妻が部屋を抜け出し
わけを聞くと「外の空気を吸いたかった」とウソをついた
その後、別荘から妻が出て来たため
中に誰がいるのか確かめようとすると
エフィ:
あなたのためを思えばこそ隠しておこうとしているのよ
このまま帰ってくだされば、すべては丸くおさまるわ
こんなことを二度と繰り返さないなら、今回は目をつぶると言い
しばらくは何も起きなかったが、いつもより早く帰宅した日
エフィがいなかったため、別荘に入ると誰もいない
部屋には妻の写真があった
ホームズ:
もう一度別荘に戻っていないか確かめて
もしいたら電報を打ってください すぐ伺います
それからすぐに電報が来て、ホームズとワトソンはマンロ氏と落ち合い
部屋に押し入ると、仮面をかぶり、手袋をした黒人の少女が笑っている
エフィ:
夫はアトランタで死にましたが、子どもは生きていました
夫はこの世でもっとも高潔な男でした
私はこの人と結婚するため、白人と縁を切りました
子どもは黒人の血を濃くひいたのは不運でした
けれど、黒かろうと白かろうと、この子は私のかけがえのない子です
体が弱くて、土地が変わるとよくないと思いアトランタの女性に預けていた
たまたまあなたと知り合って結婚し、話す勇気がなかった
でも数週間でも手元に置こうと、乳母に100ポンド送り別荘に住まわせ
噂がたたないように、顔と手を隠した
マロン氏は子どもを抱き上げてキスをし
マロン:私は自慢できる男じゃないが、お前が考えてるよりましだと思うよ
ホームズ:
僕が少し自惚れたり、手を抜いてると思ったら
ノーバリと囁いてくれたら大いに有難いよ
●株式仲買店員
ワトソンが結婚して間もなくの話
しばらく会っていなかったホームズが珍しく病院に来た
ワトソンを誘ってバーミンガムへ向かう途中
依頼人のホール・バイクロフトという青年が改めて事件のあらましを話す
株式仲買店に勤めていたが、ベネズエラ公債の問題で行き場をなくし
一文無しになり、求人広告に応募した
計理士アーサー・ピナーはバイクロフトの仕事ぶりを褒め
月曜から行く予定のモースンの仕事を蹴って
金物株式会社の支配人になれば給料は相当はずむと言う
兄のハリー・ピナーが発起人で専務取締役
100ポンドを前払いしたため、バイクロフトはそれを受け
モースンに断りの手紙を書くと言うと止めるピナー
バーミンガムの事務所に行くとホールと瓜二つで
髪の色が違い、ヒゲを生やした兄ハリーに会う
フランス中の代理店に大量に陶器を出荷するため
パリの人名録を全部書き抜いて欲しいという仕事をもらう
それを終えると次は家具屋のリストを作らされる
彼が笑った拍子に同じ歯に金を詰めてあるのが見えて
兄弟は1人2役と分かる
どうしてそんなことをするのかホームズに相談し
ホームズとワトソンが職を探している友人だと紹介する
ハリーは悲しみと恐怖の入り混じった顔をして
奥の部屋に入り、大きな音がしたため、ドアを蹴破って見ると
ズボン吊りを首に巻いて死のうとしていたのを助ける
ホームズ:
彼は君の筆跡を手に入れたくてリストを作らせた
モースンには君のフリをして会い、そこで働き始めた
“モースンで殺人 強盗のくわだて 犯人は逮捕される”
という新聞記事を読んでみせる
ホームズ:
人間性はいろいろな面がある不思議なものだよ
人を殺すような悪党でも弟には愛されていて
兄貴が首をくくられるとなると、自殺しようとまで思うんだからね
(1回読んだだけじゃ意味が分からなかったけれども
弟は1人2役で青年を騙していたけど、兄は本当にいたのか
●グロリア・スコット号
これはワトソンの結婚前の事件
冬のある日、ホームズはこれまで話そうとしなかった
最初に関わった事件の記録をワトソンに見せる
ホームズ:
トレバーは私が大学に2年いた時の唯一の友だちだ
彼のブルテリアが僕のくるぶしに噛みつくという偶然で知り合った(w
勇気と精力にあふれ、どこも僕とは正反対だったが
同じところもいくつかあると分かった
彼の父は妻に先立たれ、友人はたった1人の息子だった
僕の観察と推理のくせの話になり
「わしを見てなにか推理できるかな」と言われて
採掘で財産を作ったことのほかに
J.A.と彫られた刺青を消したことから
とても親しかったが忘れたがっていることを話すと
心臓が弱いトレバー氏は急に発作で気を失う
トレバー氏:
これこそ、君の進むべき道だ
わしはいくらか世間を見てきた
そのわしが言うのだから信用していい
この言葉が後にホームズを私立探偵にさせるきっかけとなった
その後、トレバー氏はホームズが何か推理してはいないか気にかかり
ホームズは気をきかせて友人宅を発とうとしていた日
くたびれた船員ハドスンが来て
トレバー氏はまたひどく狼狽する
ハドスン:
30年ぶりで ベドーズさんかあんたの所に来れば
なんとかしてくれるとアテにしてましたんで
その後、ホームズは大学に戻ったが、友人から電報が来て
トレバー氏が瀕死と聞いて、また友人宅に戻るが
トレバー氏は息を引き取った後
ハドスンが来て、執事にさせ、家の中を好き放題にしていたため
友人は怒ってつまみ出したら、父から謝ってくれと言われて驚く
その日の夕方、ベドーズを訪ねると言ってハドスンは家を出た
それから手紙が1通届いて、それを読むと父は卒中を起こした
ホームズは差出人はハドスンではなくベドーズではないかと推理
3語ごとに読んで解読すると
“万事休す ハドスンがすべてをばらした 死にものぐるいで逃げろ”
トレバー氏が死ぬ前に息子に書き遺した書きつけをホームズも読む
トレバー氏:
自分の地位を失うより、わしを愛し、尊敬してくれたお前が
わしのために恥をしのぶと思うと苦しいのだ
若い頃はジェームズという名で、賭博で借金を作り
勤めていたロンドン銀行の金に手をつけた
すぐ返せると思ったが使いこみがバレてしまい
オーストリアに向かう小型帆船グロリア・スコット号に乗せられた
昔からの囚人船はクリミア戦争に使われ、茶を運ぶ船の壁はやわなものだった
隣りのジャックは船を乗っ取る計画を立て
囚人と牧師、船員まで買収したと明かす
医者が病気の囚人を診察した際、ピストルが見つかって
計画より早く実行に移され、船員を射殺した
自由になった祝い酒を飲んでいると
生き残った中尉と部下に撃たれ血の海と化す
怒ったジャックは彼らを射殺して海に捨てる
残った看守、航海士、医者も殺そうとするが
もう血生臭いことは勘弁だと言う者が出て
ボートを1艘やると言われてそれに乗った
少し漕ぐとグロリア号から黒煙があがり慌てて戻る
若い水夫ハドスンを助けて顛末を聞く
生き残った船員がどうせ助からないなら火薬樽に火をつけて船ごと沈めてやると言い
囚人が早まって撃ったことで爆発して沈んだらしい
その後、仲間と私は名前を変えて鉱山で成功し
植民地帰りの金持ちとしてイギリスに戻り屋敷を買った
ベドーズが暗号でハドスンがすべてをバラしたと書いてきた
神よ 憐みを!
ホームズ:
友人はその後、インドのテライ茶園に行き成功したそうだ
ハドスンとベドーズは行方知れず
ハドスンは脅しだけだったが、ベドーズは信じたのだろう
警察はハドスンがベドーズを殺したと思っているが逆だろう
ベドーズがハドスンを殺して、金を持って国外へ逃げたのが真相だ
君のコレクションに役立つなら使ってくれたまえ
●マスグレーブ家の儀式
ホームズの生活ぶりはとてもだらしなくてイライラするくらいだ
壁に弾丸でV.R(ビクトリア女王の頭文字)と穴をあけたこともある(!
事件を解決した後は、ソファとテーブルの間を行ったり来たりするほかは
ほとんど動かない
たくさんの資料もそのままで捨てる気はないため山積みで
これから2時間一緒に片付けないかと誘うと
ブリキの箱にたくさん事件の記録が入っているのを見せる
若い頃の記録で、蓋つきの木箱から分からない物がいろいろ出てきて
それに関する事件の話を始めて、ワトソンは聴き入る
ホームズ:
『緋色の研究』の頃はもう職業として安定していた
ロンドンに出て来ると、大英博物館のそばに部屋を借りた(驚
マスグレーブ家の儀式は仕事の3番目だ
レジナルド・マスグレーブは同じカレッジにいた指折りの名門出身
2年ほど前に父が亡くなり、屋敷を管理することになった
「君の知恵を借りたい」と相談を受ける
ハールストンの屋敷は広くて、かなりの召使がいる
一番古いのは執事のブラントン
よく働くが男やもめになってから年中ごたごたを起こしている
メイドのレイチェルと婚約したが捨ててしまい
彼女は気がふれた状態になった
ある夜、彼が事務机の引き出しから書類を出しているのを見つけた
マスグレーブ家の儀式を行う際の問答を書き写した紙きれだ
家を出て行くよう命じた翌日姿を消した
家じゅう探したが持ち物全部置いて出て行くなんて信じられない
その後、レイチェルも行方不明になった
池から奇妙な物がいろいろ出てきたが、遺体はなかった
ホームズ:どんなにもつれた糸にも必ず端っこはあるものだ
問答は木から何歩という宝物の隠し場所を口伝したものの様子
ハールストンの屋敷に来たホームズは、その問答に沿って
地下室にある箱につっぷして死んでいる執事を見つけるが
中身はすでにない
ホームズ:
相手の立場になってみるのさ
僕が同じ条件に置かれたらどうふるまうか想像するんだ
この石は1人では動かせない
レイチェルに手伝わせて中身を渡したのだろう
女は自分を傷つけた男に復讐の炎を燃やした
つっかい棒が外れたために、恋人は窒息した
池に中身を投げて証拠をなくそうとした
チャールズ一世は逃げ出す時に財産を埋めた
平和になったら取り戻すつもりだった
これは昔のイギリスの王冠だ
手元に置く許可を得るには法律上のゴタゴタがあるだろう
レイチェルは国外に逃げたのだろう
●ライゲートの地主
ホームズが大きな事件を解決した疲労で病気になったと電報が来て
ワトソンはすぐに駆けつける
その事件のためにホームズの名はヨーロッパ中に知れ渡った
アフガニスタンにいた時の患者ヘイター大佐が
サリー州の家に来て欲しいと言っていたので
ホームズを誘って休日を取らせる
アクトンという金持ちの家に泥棒が入り
詩集や燭台など奇妙な物が盗まれた
事件の匂いを嗅いだホームズをいさめるワトソンw
カニンガム治安判事の御者ウィリアムが胸を撃たれて死んだ
アクトンはカニンガムの土地の半分は自分のものだと言ってモメていると知る
ホームズ:強盗団は盗みをやる場所をあちこちかえるのが普通だ
フォレスター警部はホームズが必要とする情報を即座に提供する
ウィリアムを撃ち殺した犯人をカニンガム親子が見ている
ウィリアムが握りしめていた紙切れは半分がちぎれている
会う約束を書いたメモらしい
ホームズの顔がみるみる赤みをおび、目が輝くのを見て
事件解決を止めるのを諦めるワトソン
カニンガムの家を訪ねて、紙きれの話になると
ホームズは急に発作を起こして倒れて驚かす
ホームズ:
犯人逮捕のために懸賞金をかけてください
火曜日の午前1時・・・
犯行時刻は12時のため、カニンガム老人に書き直してもらう
こうした失態を重ねて、ワトソンはいよいよ心配になる
わざとテーブルをひっくり返して、それをワトソンのせいにして
ホームズは姿を消し、次に「助けてくれ! 人殺し!」と叫んだため
駆けつけると、カニンガム親子がホームズにのしかかり殺そうとしている
ホームズ:ウィリアムを殺した容疑で逮捕するんだ!
警部はまさか町の名士が犯人とは信じがたいが
手紙の残りを持っていたため逮捕する
ホームズ:
犯罪を見破る上で一番大切なのは、たくさんの事実から
本当に重要なものとそうでないものを見分けることです
僕は絶対偏った見方をしません
この手紙は2人が代わる代わる書いたものです
書いた文字を見て、その人の年齢を推定する方法は
専門家の研究でかなり正確なところまできています
この文字には1つの家族のクセが表れている
正体不明の男など始めからいなかった
カニンガムとアクトンは土地のことで争っていた
2人は裁判に影響する書類を手に入れようと家に入り
泥棒に見立てるために手辺り次第盗んでいった
警部があの手紙のことを話しかけて
僕が発作を起こしたおかげで話題が変わった
カニンガム老人に12という文字を書かせた
紙きれの文字と比べるために
ドアにガウンがあり、ポケットをさぐるともう一方の紙が見つかった
そこに親子が襲いかかってきた
ウィリアムはあとを尾けて、彼らに口止め料をゆすったため殺された
ワトソン、田舎で静かな休暇を過ごす計画は大成功だ
明日は元気いっぱいでベーカー街に帰れそうだよ
■シャーロック=ホームズを推理する 各務三郎
●贋作ホームズ物語
ホームズ物語に感銘を受けたオーガスト・ダーレスは
ドイルに続きを書かないのかと尋ねて書かないと言われて
自分で書いたのが『黒水仙の冒険』
ボンス探偵を人々は「ブレード街のシャーロック・ホームズ」と尊敬している
こうした物語は贋作、パロディと呼ばれる
パロディは、もじり詩、偽文、模倣したもの
日本の川柳、狂歌もパロディの一種
『贋作展覧会』では21人の名探偵が描かれている
パロディにされる回数が多いほど、有名な探偵ともいえる
ホームズ物語の贋作とパロディが一番多いのではないか
最初に書かれたホームズパロディは『ペグラムの謎』
エラリー・クイーンの編集した初めてのホームズパロディアンソロジー
『シャーロック・ホームズの不運』は素晴らしい本だが
ドイルの息子アドリアン・コナン・ドイルから文句をつけられ
店先で売るのを禁止され、残るのは、ベーカー街イレギュラーズに配られた125冊だけ
日本でのパロディ・贋作アンソロジーは『ホームズ贋作展覧会』
宇宙で活躍するホームズ物語もある
『バスカビル家の宇宙犬』(w
モリアーティ教授が活躍するビカレスク(悪漢小説)
『犯罪王モリアーティの生還』もある
ホームズ物語にあり、書かれなかった事件簿については別の機会にする
(やっぱりあるのか!
「セサミ・ストリート」で放映された
『シャーロック・ホームズ・ヘムロックといたずら虫の怪事件』は小冊子になっている
ネズミの国のホームズと言われる名探偵シリーズ
ホームズの下宿の地下室に住み、テクニックを盗み聞きしたのですから
素晴らしい推理力を発揮するのも当然でしょう(w
■作品解説
●白銀号事件
当時、イギリスが海外に多くの植民地を持っていたことが分かる
ドイルは動物にあまり詳しくなく、時に間違いを書いている
馬の帰巣本能を無視して、自分の厩舎に帰らず
遠い別の厩舎に行ってしまったことは非難された
(たまたまそういう馬がいるかもしれないのに?
●黄色い顔
「片側だけひどく焦げているのはランプやガスで火をつける習慣があるから」
という一文もパイプ愛好家の顔をしかめさせた
(たまたまそういうクセの人がいるかもしれないのに?
●株式仲買店員
『赤毛同盟』に似ているが江戸川乱歩は本編をホームズ物語ベスト12に数えている
●グロリア・スコット号
ホームズが学生時代に解決した事件
●マスグレーブ家の儀式
血生臭いイギリス王朝の王位継承の歴史が浮かび上がる
●ライゲートの地主
筆跡鑑定の歴史は6世紀の東ローマ帝国までさかのぼるといわれる