先日のブログに対し、「排水するのに塩ビ管を使うノウハウは誰かに教わるのでしょうか。?」と東京在住の
sunasanさんからコメントが入っていたので経緯を説明したい。

就農当初の秋、稲刈りに備えた排水促進のため、妻が鍬を使って田んぼの周囲に溝を作っていた。
まだ稲が立っている泥沼状態の田んぼで、鍬を使うのはかなりの重労働となり、妻は汗をかきつつも顔面は蒼白だった。
こんな過酷な作業を毎年繰り返していたのでは「命を縮めてしまう」と心底危機感を持った。
その後、「何か手立てはないものか」と田んぼの周囲をグルグル廻りながら数日間思い悩み、ようやく出した結論が
「水は低きに流れる」を応用した塩ビ管排水システムだった。
排水出来ずに水が溜まる場所に排水口を設け、「水を一気に流す」作戦で、水を放出する先の排水路までは塩ビ管を
埋める土木工事が必要となるが、そこはバックホーが解決してくれた。
田んぼに水が必要な時季は、排水口に短い塩ビ管を煙突のように立てておけば、漏水の心配は全く無かった。
この排水システムの採用によって、過酷な労働から解放されただけでなく田んぼの乾きも早くなり「快適な稲刈り」が
可能となった。
このように塩ビ管を活用した排水対策は、中山間地特有の「段差のある土地」の特性を活かした100%オリジナルな対策で、
就農してから果敢に挑戦して来た「仕事の見直し」の一つとなっている。
今、行っている畑の排水対策も、その経験を活かしたもので、田んぼと異なり「排水オンリー」なので明渠で実施して
いる例も多い。
なお、蛇足ながら、この排水対策は「バックホーを活用した実践例」として「現代農業」(月刊誌)でも紹介されたが、
読者から照会があったのは僅か二件のみだった。