私は、姉と兄の三人兄弟の末っ子として生まれ、両親から可愛がられて育った。
しかし、父は「勉強などする必要はない。中学を出たら大工になればいい」が口癖だったので、それでなくとも
勉強嫌いの私は、中学に入っても勉強することもなく無為無策の内に過ごした。
そんな父が「尊敬できる人間ではない」ことぐらいは子供心にも知っていたので、父からの影響は「皆無」と
思って生きて来た。
(今、田畑周囲の雑草の中で、白い野菊が咲き誇っている)
ところが、幼稚園或いは小学校一年の頃、父が早朝に聞いていたラジオの浪曲「野菊の墓」を、布団の中で
聞くともなしに聞き、その悲しい恋の物語が「私の生き方」を決定づけてしまった。
そんな人生を振り返ってみるみと、実は、私の一生は「100%父の影響だった」ような気がして来た。