去年の9月に出たらしいからもう半年になるか。書店で気がついてドストの悪霊1(光文社文庫)を買った。三分冊になるらしい。まだ1しか出ていないようだ。
前に新潮文庫の改版が出たときには随分読みやすくなったな、と思ったが、今度の光文社のはさらに目にやさしい。
亀山郁夫氏のドスト新訳は三冊目だ。からまん棒(古いですね、分かりますか)のときはおや、とちょっと感心したが、二回目の罪と罰はなんだ、と思ったね。なんか大学院生の演習で訳させたものをつぎはぎしたようだと「憶測印象」を書いた。
こういうこともあるから、大学の先生の翻訳は読まないのだが、悪霊はかなりいい。もっとも、ロシア語は読めないから日本語としてということだ。
2と3も読んでみたい。亀山氏は読書ノート(解説)を読むのも楽しみだ。ドストの冗長性のだいご味に改めて感心した。晩年三作では一番油ののった筆ではないのかな、と思う。