
世の中の流れがどうあれ、「荷物は最小に、楽しみは現地で調達」をモットーに
旅をする身には、予め買い込んで持ち込むなんてことはタブーであり、まして弁当
はコンビニのおにぎりより、やはり可能ならそこは現地で駅弁を手に入れたい。

こんな状態で旅をしているので、車内販売は無い、駅についてもホームには立ち
食いそばも売店も何もない、まして乗換の時間に余裕も無い、となると時に食事を
喰いっぱぐれることも少なくはない。

特に地方の駅の売店などは、意外と早い時間に閉まってしまうので、夜遅くに着
いた時なぞ、どうしようかと思案に暮れてしまう。
そんな時、時間に余裕が無ければ食事を諦めるより仕方が無いが、そうでなけれ
ば、最後の頼みをその駅前に求める。
一旦改札を出て、たいていは駅前で食堂を探すのだ。

それは駅前には昔から、大きな木製のガラス戸に金色の太文字で「○○旅館」
と書いた老舗の旅館や、お土産屋さん、古めかしい建物に「丼・うどん」などと染
め抜かれた、年季の入った暖簾を掲げた大衆食堂などが軒を連ねていて、細や
かに今でも営業を続けているものだと言う先入観や、ある種の期待感を込めての
ことである。

ところが最近では、こういった原風景のような駅前のそれは、再開発などでだん
だんと見られなくなっている。
そしてそんな駅前の一等地にも、全国的にお馴染みの「コンビニ」の店舗が、見慣
れた看板を掲げ、赤々と明かりを灯し、堂々と店を構えたりしているのだ。(続)

(写真:弥彦線・弥彦駅 本文とは無関係)

