本多勝一の『リーダーは何をしていたか』を、読み始めた。
遭難を検証する本である。本多勝一は信州の伊那谷に生まれ山を良く知っている新聞記者である。検証と取材、現地を歩くことで臨場感が半端ない。
寝る前に読んだら、眠れなくなって困った。
第一部 1980年、逗子開成高校の北アルプス遭難。冬山を登ったことのない先生が、山岳部の高校生5人を連れて、北アルプス唐松岳の八方尾根で遭難し全員死亡。
雪山にワカンも持たずに出発、ツェルトなし、磁石なし。山の初心者のわたしでもぞっとする話だ。降り積もる雪に、ラッセルし、つぼ足で歩く。雪の闇夜は想像しても怖い。わたしたちは雪国にいてホワイトアウトを想像できるが、雪の怖さを知らないリーダーである先生はどこまで危険を予測できたか。
生徒たちがこの山行に消極的だったようで、父親に「こんどは山の歌ができるよ」と、もらしていたという。
さて、山の歌というところで、逗子開成高校といえば、旧制中学時代(1910年)にボートで12人遭難し、有名な歌「真白き富士の根、緑の江の島~♪」が作られた。
この吹雪の北アルプス遭難の後、遺族と学校との裁判が続く。
リーダーは過失致死の責任を問われる。
高校生たちの遭難直前の遺影を見たら眠れなくなったのである。雪の中で肩を並べ笑顔で写っている彼らをみて心が痛む。
そのあとも、別の遭難の話が続くが、常にリーダーの無謀ではなく、無知であることを本多勝一は訴えている。
この本を読破するには勇気がいる。
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